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【zz side 】
ズズは黒塗りの車に押し込まれ、連れて行かれた先で目隠しを外された
そこは【MOZU】の隠れ家
壁には無数のモニターが並び、街のあらゆる映像が映し出されていた
「…監視カメラだらけやん何これ、セキュリティー会社の宣伝部屋?」
ズズは強がりの冗談を飛ばす
だが、声の端に震えが混じっていた
ヴァン・ダーマーはゆっくりとズズの肩に手を置く
「違う。これはお前の舞台だ」
「……舞台?」
「お前の笑顔を、俺が独り占めするための。街に向けて笑うな。俺の前だけで笑え。そうすれば、この街全体が”お前の檻”になる」
ズズは乾いた笑いをもらす
「檻を広くしただけやん..! 誰が笑ってくれるん?」
ほな、客席は?
ヴァン・ダーマーはズズの顎を掴み、強引に顔を上げさせる。
「俺だ。お前は俺のためだけに笑え。俺の声で笑い、俺の目で泣き、俺の手で踊れ。……それ
が支配だ」
ズズの心臓は早鐘のように打っていた
必死に軽口を探し、震える声で吐き出す
「….そんな熱烈なファン、一人で十分やわ。チケット代高そうやなぁ……」
だがヴァン・ダーマーは一歩も引かない
「お前を洗脳してでも、俺の道化にする」
背後のモニターが切り替わり、ズズの過去の大道芸の映像が流れ出す
街の人々の笑顔と歓声だがその音声は徐々に歪み、やがて消えていった
静寂の中、ズズは小さくつぶやく
「….俺の笑いが、消えていく…..」
ヴァン・ダーマーは耳元で囁いた
「安心しろ。消えるんじゃない……俺の中に溶けていくだけだ」
ズズの瞳にかすかな恐怖と、逃げられない諦めの色が浮かぶ
それでも彼は最後の抵抗として、かすれた声で冗談を放った
「…..ほな、せめて漫才の相方やってくれる?
ボケは俺、ツッコミは……あんたや」
その瞬間、ヴァン・ダーマーは初めて小さく笑った
その笑みは支配の始まりだった
次回「2人の怪物」デュエルスタンバイ!
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