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【zz side】
ロスサントスの夜
街中に響き渡るのはサイレンでも銃声でもない
ウェスカーの怒号だった
「ズズを返せ…….!さもなくば、この街を地図から消し去る!」
ブレラの構成員が街の主要な道路をすべて封鎖 まるで街そのものが牢獄と化していた
ロスサントスは今やひとりの芸人を巡る愛憎で飲み込まれようとしていた
ヴァン・ダーマーの隠れ家
ズズはモニター越しに、街が封鎖されていく光景を呆然と見つめていた
「…..いやいや……たかが芸人一人に、街封鎖って これ、ドッキリ大賞レベルやろ……」
冗談めかす声は震えていた
ヴァン・ダーマーはその肩を抱き寄せ耳元
で囁く
「ほら見ろ、お前はそれほどの価値がある。怪物すら狂わせる。だが安心しろ。ウェスカーに戻る必要はない。俺がお前を守り、閉じ込め永遠に支配する」
ズズは必死に笑いを取り繕う
「…..いや、守るって言いながら檻に入れるやつお る? それ保護ちゃうで、捕獲や」
その時一一隠れ家の外で爆音
壁を揺らすような衝撃と共に、餡ブレラの車両部隊が突入してきた
ウェスカーが姿を現す
血走った眼で、ヴァン・ダーマーとズズを睨みつける
「……ズズ、お前を奪い返しに来た」
ヴァン・ダーマーは笑みを浮かべて立ち上がる
「来ると思っていたが遅かったな。ズズの笑顔はもう俺のものだ」
ウェスカーが銃を構え、低く唸る
「その口を閉じろ。ズズの笑顔は一一俺だけのものだ!」
二人の怪物の間で、ズズは声を振り絞った
「俺は笑いで人を幸せにしたいだけやのに、なんで街ごと戦争になるんや!」
「…なぁ、二人とも俺を奪うんやなくて、俺の“漫才”見て笑ってくれたらええやん!」
だが二人はズズの言葉を振り切るように、互いに銃口を向け合う
支配か、独占か――愛の名を借りた戦争が、今始まろうとしていた
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