テラーノベル
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壱月に手を握られ、いざなわれ、壱月の部屋――もとい、私たちの寝室へやってきた。
昨日までは間に花斗がいたのに、急にいないから変な感じがする。
変なだけじゃない。
壱月との親密すぎる距離に、胸がおかしいくらいに暴れている。
いつもは、「しよう」となっても花斗がいる手前、堂々と触れ合うことはできない。
キスやボディタッチをするだけで、なんとなく行為自体からは遠ざかってしまっていた。
けれど、もう私たちを止めるものは何もない。
それに、先ほどはっきりと壱月に言われた。
『赤ちゃん、つくろうか』
その言葉の意味を考えれば、壱月との触れ合いは必然的なものになる。
「愛音、顔真っ赤」
私の耳元でそう言いながら、壱月は部屋の照明を落とす。
それだけで肩がピクリと揺れてしまう。
意識しすぎている。
なにもかも、久しぶりすぎる感覚に。
固くなってしまった私を労るように、壱月は優しく私の手を引く。
そして、ベッドの縁に私を座らせた。
隣に腰かけた壱月が、私の顔を覗く。
整った顔が目の前に現れて、私は視線を泳がせた。
「嫌?」
「そんなわけ、ない……けど」
その続きの言葉が見つからない。
心臓ってこんなに早く動いたっけと思うほど、ドクリ、ドクリと胸が高鳴っている。
その瞬間、壱月の唇が私の唇に触れた。
はっと目を見開くと、壱月はふっと優しく笑う。
「久しぶりだな。……嬉しい」
言いながら、壱月がこちらに身を乗り出す。
思わずのけ反ると、今度は壱月のキスが耳たぶに振ってきた。
「愛音は?」
耳元で囁かれるように聞かれ、一瞬で全身が熱くなる。
「なあ、答えてよ」
おでこ同士がこつんと触れ合って、壱月の瞳が目の前に迫る。
整った顔は、あの頃と変わらない。けれど、高校時代よりも重ねた歳のぶん、そのかっこよさは増している気がする。
「……嬉しい、です」
喉が絞まってしまったように苦しい。
けれど、その瞬間に、唇を塞がれる。
壱月の舌が私の舌に絡み、そこから壱月の愛情がなだれ込んでくる。
「あふ、ん……」
息ができない。
けれど、幸せはあふれる。
恋しさが、愛しさが、目頭を熱くする。
すると、流れる涙まで包み込むように、壱月の手が両頬に添えられた。
私たちはそのまま、ベッドにもつれ込む。
「わあ、ふかふか……」
もつれ込んだ反動でベッドのスプリングが軋んで、マットレスが背中を優しく受け止めたのだ。
壱月が目の前に迫っているのに、こんなことを呟いてしまった私はなんなのだろう。
「だろう? 俺のチョイスだからな」
壱月がそう言って、離れた唇をまた塞いだ。
「愛音はまだ余裕みたいだから、もっと欲しいと思っても、構わないよな?」
「ふ、ん……」
返事は激しいキスによみ込まれてしまう。
そのまま、壱月の手が私のパジャマの裾をめくり、素肌に触れた。
「あ……」
思わず身をよじると、壱月の手はそのまま背中に触れる。
「悪い、止まれない」
言いながら、素肌を全部さらけ出される。
恥じらう暇もないほど、体のあちこちに壱月の愛が落とされていく。
パジャマはどこかへ落ちてゆき、壱月の素肌が私の素肌と触れ合う。
ぎゅっと強く抱きしめられて、胸のドキドキが最高潮になる。
「すごいドキドキしてるな」
耳元で囁かれ、ひときわ大きく胸が跳ねた。
「ごめん、久しぶりすぎて――」
「違う、俺のほう」
壱月はわざと私の上にのしかかり、胸元でぐっと私の頭を抱いた。
壱月の心臓の音が聞こえる。
けれどそれは、耳元で打つ私自身の脈のような気もする。
「謝る必要もないから。ドキドキしてくれてるのは嬉しいし、そう言う愛音はかわいいし、愛しいし、大好きだから」
嬉しくて恥ずかしくて、でも大好きがあふれ出す。
目の前の大きな胸に手を伸ばし、愛しい旦那のたくましい背中をぎゅっと抱きしめる。
「というか、ドキドキしなくなるなよ。いつでも、いつまでも俺に惚れていろ」
「もちろんだよ……」
高校生の頃から、ずっとずっと好きだった。
十年以上たった今も、大好きなんだから。
たくさん支えてもらっている。
私に成長の機会をくれる。
こんなに優しくて愛しい旦那様に、ドキドキしなくなる日なんて来るのだろうか。
幸せすぎて、高鳴る心臓を置いてきぼりにするくらい、頬が緩んでしまいそうになる。
「愛音」
名を呼ばれ、壱月を見上げた。
その瞳に灯る欲情の熱は、雄だからというだけでは気がする。
愛しさと、切なさと、優しさとが入り混じった、愛情みたいなそれに、不思議な安心感を覚える。
「壱月、来て?」
泣きそうになりながら懇願すると、私の中を壱月が射貫いていった。
コメント
1件
いやもう、甘すぎてクラクラするわ。久しぶりの距離にドキドキする愛音の心情が細かく描かれてて、壱月の「ドキドキしなくなるなよ」がカッコよすぎる。赤ちゃんつくろうって言われるシーン、めちゃくちゃときめいた。この優しい夜に溶ける感じ、温かくてずっと読んでたい。朝永さん、今夜も最高の恋人をありがとうございます。