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うわ、第39話…胸がギュッとなったわ。 百合子、事務とキャバクラ掛け持ちで翔麻くんのために必死に働いてて、見た目もやつれてて…。そんな彼女を見て、学生時代に惚れてた早瀬が「うちの女房だ」って嘘ついて連れ出して「結婚しよう」ってプロポーズするとこ、熱すぎる🔥 「♡♡♡」ってヤキモチ混じりの脅しに「怖すぎるよぉ」と泣く百合子、もうこの2人は幸せになってほしい…!
羊と亀のお遊戯会
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#名探偵
空蝉 桜
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おきつね
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112 ◇早瀬と息子と──百合子
月が変わるごとに『夏休みがきたら翔麻を呼んでちょうだい。
またあの子の可愛らしい顔を見たいのよ。お泊りで来るように言っといてよ。
子供だけのお泊りといっても百合子さんにも都合があるだろうから早めに
連絡しといたほうがいいわよ』
早瀬は毎月清子にせっつかれる。
母親ほどせっつきはしないが、父親も翔麻に会うことを心待ちにしているのが
分かる。
自分の言い分は真っ当なことで何も間違ってはいないと思うが、
それでも早瀬の中で百合子を非難し、彼女たち親子を追い出してしまった形に
なったことに多少の悔いがあった。
そして早瀬自身もまた、翔麻は今頃どうしているだろうかと
気にはなっていたのである。
伸之から請求のあった百合子への慰謝料は、半分自分が持つことにした。
残りの建て替えた分を百合子はこれから少しずつでも自分に払うと言い、
彼女は有言実行、その後毎月1万円ずつではあるが3ヶ月続けてちゃんと
早瀬の口座に振り込んできた。
そして4回目は3万円5回目は5万円と少しずつ額を増やしていった。
返済額が増えるのは早瀬目線からすると喜ばしいことなのだが5万円も
支払えるようになったということは仕事も大変なのではなかろうかと
少々心配でもあった。
その5回目の支払いが7月の末にあった。
8月に入ると職場なども盆休みに入るだろうしと、多少百合子の休めることなども
考慮したうえで早瀬は百合子に翔麻のことで連絡を取った。
百合子によると、翔麻は『おばあちゃんたちやお父さんにはすごく会いたいけど、
ママがいないとひとりでおばあちゃん家で泊まれない』と言ってるらしかった。
それで早瀬はお盆休みを利用してなんとか親子で泊りに来れないかと
百合子に打診してみた。
113 ◇キャバクラで働く
一方、夏休みに遊びに来させないかという話を早瀬から聞かされた頃、
百合子は自分と息子の生活のため、息子を昼も夜も母親に見てもらい、昼間は事務のパート、
そして夜はキャバクラのアルバイトと、掛け持ちで働いていた。
お盆なので事務のほうはなんとかなりそうだったけれど夜職のほうが
なかなか休みを取るのは難しかった。
だけどこの先も早瀬やその両親がずっと毎年翔麻に興味を失わず、
会いたいと言ってくれるかどうか確信はない。
一期一会の気持ちで翔麻に楽しい時間を過ごしてほしいとの気持ちから
首を覚悟でなんとか夜職のほうも休みを取った。
父親と母親の揃った家庭生活を翔麻に体験させることができ、たっぷりと
愛情を注いでくれる祖父母の愛情にもふれた一週間は翔麻にとっても百合子に
とっても楽しい時間となった。
そしてその楽しい時間はあっという間に終わりを告げた。
百合子が久しぶりに翔麻と顔を見せた滞在初日の日、彼女は働き過ぎの
せいかとてもやつれて見えた。
それで息子との一週間が終わった頃、何気に自宅に戻って行った百合子のことが気になり、
百瀬は彼女の様子を知りたいと思うのだった。
もともと早瀬は学生時代百合子に惚れていた。
一度デートに誘ったが、当時百合子には恋人がいたため
興味を持ってもらえずやんわりと断られたという経緯がある。
元々惚れていた相手ゆえ、一週間とはいえ一緒に過ごしているとやはり
心中には複雑な想いというか葛藤があった。
114 ◇早瀬、百合子の様子を見に行く
それで話に聞いていた飲み屋に行ってみることにした。
飲み屋と聞いていた店はあきらかに女性が接客するキャバクラにしか
見えなかった。
酒を作ったり運んだりする仕事だとばかり思っていた早瀬は吃驚した。
休日に会った百合子の面影はなく、そのことにも早瀬は愕然とする。
顔はキツイ化粧で別人のように見える。
シースルーで胸元を大きく開けたブラウスを纏い、色気たっぷりの女を
演出していた。
早瀬が店で飲もうと席に座り酒がテーブルに置かれた頃、百合子はある客から
熱心に口説かれているところだった。
その男は気軽に百合子の手を握り締めていた。
その様子を見ていて早瀬はカッとなった。
気がつくと自分でも訳の分からない行動に出ていた。
「それ、うちの女房なんだよ。気安くさわるんじゃない」
そう言うと百合子の手を引いて店から連れ出した。
百合子は客とママにごめんなさいと手を合わせて、そのまま早瀬に連れられて 店を出た。
手を強く引っ張られ辿り着いたのはセンター街の近くにある広場だった。
そこで立ち止まり早瀬が振り向いた。
「百合子、あんなところ止めちまえ!」
「えっ、えっ、だけどあそこ折角見つけたのよ。
止めたら生活できないのよ。
事務員の正社員は倍率が高くてなかなか採用されないし、パートだけじゃ
とても食べていけないのそれに……」
話を続けようとしたのにそれ以上百合子は続けられなかった。
早瀬に強く抱き締められたからだ。
「俺のところに来いよ。
もちろん孫は見せてやるけど、ジジババに百合子のことは干渉
させないから。息子と三人で暮らそう」
「早瀬くん、それって……」
「結婚しよう、俺と」
「いいの? 私でいいの?」
「百合子がいい。けどもしこの先俺を欺くようなことをしたら殺す」
「怖すぎるよぉ~、早瀬くん。
早瀬くんって学生時代からやさしい人だったのに……」
「百合子のせいだ」
「そうだね。ごめんね早瀬くん」
早瀬に求婚され抱き締められたままの百合子の眦からは
涙がとめどなく零れ落ちた。