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💙「あの、あの、あの、あのさ」



阿部ちゃんは顔を上げない。

ここが正念場だってわかってるのに、俺は壊れたテープレコーダーみたいに、あの、をただ繰り返している。



泣きそう…。



照れ屋だ照れ屋だって周りに言われて、自分でもそう諦めて、努力しなかった結果がこれだ。



大好きな人に大好きって、言えないなんて。



💚「無理しなくていいよ。もうわかったから」



そんな目で見るな。

そんな目で俺を見るなよ。



本当に自分が嫌になる。



俺は部屋を飛び出した。

家の裏手の公園から電話を掛ける。



💚「……もしもし?」



鼻声の阿部ちゃんの声を聞いて、阿部ちゃんが泣いたんだなとわかった。



胸が痛い。



でも、待ってて。

今、言うから。

俺は深呼吸した。



💙「好き」



💚「翔太?」



💙「聞こえなかった?好き!大好き!愛してる!!!」



俺は携帯のマイク部分に向かって、目を閉じて思いっきり叫んだ。



そして言い切った後で、足に力が入らなくなって、そのままへなへなとその場に尻もちをついた。

携帯は、脱力した手から滑り落ちて、どこかにいった。



💙「い…えた……」



さすがにこれで聞こえてないとは言わせない。



通りすがりの犬の散歩をしていたおっさんが、何事かとこっちを凝視していた。

おっさんは、関わり合いになりたくないとでも言うように、そそくさと犬を連れて暗闇へと消えて行った。



💙「バーカ。俺があのSnow Manだって知ったら、いいネタになんのに」



そんな憎まれ口を叩いて、力なく笑い、動悸が落ち着いたところで、失くした携帯を見つけて立ち上がる。



通話は切れていた。



💙「阿部ちゃん……」


💚「翔太っっ!!!!!」


💙「へっ!?」



公園の入り口から、阿部ちゃんが走って来て、勢いよく俺に抱き着いた。



💙「苦しい……っ。てか、俺の、聞こえた?」



言い終わらないうちに、阿部ちゃんに口を口で塞がれた。


いや、ここ、外。


ここ、公衆の面前ってやつ。



公園脇を通る車のライトで我に返った阿部ちゃんが、ゆっくりと俺を離してくれた。



💚「ありがとう」



良かった。


もう悲しそうな顔はしていない。








あの時の俺の一世一代の『愛してる』発言は、メンバーで飲みに行って酔った時の、阿部ちゃん定番の自慢話になった。


飲み過ぎて呂律が回らなくなった時の阿部ちゃんは、決まってその話をする。


ラウールなんて聞き飽きて、「もう阿部ちゃんしつこい」とこれみよがしに耳を塞いでいる。


俺ももう正直、勘弁してほしいけど、話している時の阿部ちゃんがあまりに嬉しそうなので、涼太の陰に隠れてちゃんと聞いている。



あの時の喧嘩がなかったら、俺たちは別れていたのかもしれないと思うと、俺、頑張ったなと思う。



阿部ちゃんが好きだ。

大好きだ。



『愛してる』はやっぱりなかなか言えないけど、好き、くらいならたまに言える俺になった。



涼太も佐久間も、そして、阿部ちゃんも、俺も。

形は違えど、想う気持ちが同じなら、一緒にいることができる。


これからもお互いの苦手を知って配慮を忘れず、得意を知って尊敬できる、そういう関係でいられたらいいなと俺は思っている。



阿部ちゃん、いつもこんな俺を愛してくれてありがとう。


俺も、阿部ちゃんを愛しています。









おわり。





Special thanks michiruさん💚💙



最後まで読んでいただき、ありがとうございました😊

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コメント

18

ユーザー

リレー小説ありがとうございました‼️やっぱり2人が交ざるととても面白くいい作品だったと思います😊 最後のあべべの自慢話が可愛いしそれを恥ずかしがらな聞いているしょっぴーの構図目に浮かびます 飲み会の場所どこですか〜笑ちょっと聞き耳立てに行きたいです‼️

ユーザー

お疲れ様でした!ありがとうございました😊 外に出て大勝負仕掛けるしょぴが健気すぎて😢そしてやっぱり着地がうますぎるので、ラストをまきぴよさんにお願いして良かった! いい作品になったんじゃないでしょうか😊とわたしも自画自賛笑

ユーザー
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