「やっぱり、一旦森から出た方がいいんじゃないかしら?」
ん〜。俺は一刻も早く街に着いて冒険者登録をしたい。かと言って、馬車に乗っている人達を危険に晒すのもな⋯。
「ああ、紹介が遅れてすまない。俺はブルーフォックスっていうパーティーのリーダー、アルトだ。」
「同じくブルーフォックスのメンバー、フェルミナよ」
「⋯⋯同じく⋯ルイ。」
「ちよっと、ちゃんと挨拶しなよ。ごめんね、僕はルイの兄ロア。さっきは助かったよ」
「いいよ、困った時はお互い様だろ?」
「とにかく、あんな魔物が出た以上早く知らせないといけないが⋯」
「行くのは危険だ。さっきの戦闘音で起きた魔物もいるだろうしな」
うーん。。。ああもう、めんどくさいな⋯⋯て、あれ?俺、また勇者してた時より面倒くさく感じてね?なんでだろ?
「とりあえず今日は休まないか?どっちみち数日かかるし」
しゃーない。夜の間に何とかしてやるよ。何かもうどうでも良くなった気がする。何がって?⋯⋯あれだよあれ。あのー⋯まあ、ね、うん。はい。
「黒は寝ないの?」
「うん、アルトさんと見回り交代しないとだし。ルイは寝てていいぞ」
「⋯わかった。気をつけてね」
すっかり暗くなったな。森の中だから星や月は綺麗に見えるけど。⋯⋯こんなの、魔物を倒していた時は見る暇がなかったからちょっと感動しちゃう。
「ふぅ⋯。そろそろ行くか」
まずは《飛行》で空を飛び森全体を見回す。
ん〜⋯あのルートが良さそうだな。誰も入らない森なら焼き払って終わりなんだけど、よく人が来るなら流石にやばいし。
その地に降り立った俺は、とりあえず邪魔が入らないように周りにいた魔物を風魔法で消し飛ばす。
「《無刀斬》」
この魔法は一応風属性最高位魔法なんだけど、範囲が固定されてるから狭いとこじゃ使えないんだよね。魔力まあまあとられるし。(普通の魔術士の場合)でも魔物以外斬らないようになってるところだけは褒めておこう。
「よし。」
次は結界をはる。現在地から森を出たところまでのね。
「《魔物避け》結界バージョン」
本来《魔物避け》はいわゆる虫除けスプレーみたいな感じのやつ。それを俺が持つ《魔法操作》で結界タイプに作りかえた。あ、隠蔽も忘れずにしないと。結界も念の為出入りできるようにしておこう。
「《隠蔽》っと。これでおっけー」
最短ルート選んだし、明日の朝から行けば確実に着くはずだ。数日かかるのは魔物の数が多く、迷いやすいからだってことが分かった。怪しまれないようにちょっとくねくねした道にしたし、大丈夫だろう。
「帰って寝よ⋯」
みんなの元に帰ると、アルトさんが外に出ていた。やべ、森入ってたのバレたかな?
「あ、アルトさん。どうした?見回り交代まだだけど」
「⋯呼び捨てでいい。なんか違和感すごい。お前こそ、さっきまで何してたんだ?危険な森に入って」
「えっと⋯いや、なんだか音がしてて」
「音?」
俺は全力で嘘をつきにいく。
「ああ。行ってみたが風の音だったみたいだ」
「⋯そうか。もう少したったら変わろう」
何とかなった⋯ということにしておこう。⋯⋯そうさせて。
とにかく、明日は冒険者登録できそうだな。よかったよかった(笑)
コメント
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やっぱりこの話好き(笑) 一番好きなのはやっぱりソウマですね!次回も楽しみにしてます!