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「さっきの上岡くん?」
「あ、うん」
さすがにあの近さだと聞こえたのだろうか。
「一回しか喋ったことないけど、すごい良い人って感じした」
「うん、みんな良い人って言ってる」
「紳士が紳士に告白か」
宇治はチョークを置いて手についた粉を払った。
「宇治くん」
急に人が入って来て少し驚いた。
「あれ、お客さんがいる」
「あ、すいません」
顧問の先生のようだった。2年の先生でもないからあまり面識はない。
「今年も夏祭りのポスター依頼が何個か来てるんだけど、お願いしてもいい?」
「あー、はい、なんとかやります」
「ありがとう〜、終業式の日までに描いてくれたら大丈夫だから」
先生は宇治に画用紙などを渡した。
「暇なときはいつでも来てね、部長の凄腕が見れるから」
「あ、はい」
私にそう言って先生は教室を出て行った。
「幡中ってバド部でしょ、今日オフ?」
「うん、毎週木曜はオフ」
「なんかいっつも表彰されてるよね」
「そんなことないよ、シングルスの方は結果残したことないし」
中学の頃もバドミントンをやっていたが、その時もずっとダブルスが中心だった。
「美術部も毎回表彰されてるでしょ」
さっき先生も宇治の腕を褒めていたから、きっと宇治はすごいんだろう。
「暇だから作り込む時間があるだけだよ」
「さっきの絵すごいと思ったけど 」
「、、ありがとうございます 」
宇治は黒板に視線を向けて言った。
「そろそろ、雨降りそうだから」
「ああ、うん」
宇治は窓の外を見た。
「宇治まだ帰んないの?」
「まだやりたいことあるから」
「そっか、ごめん邪魔して」
「先生もいつでも来てって言ってたでしょ」
私はうん、と言って軽く頷いた。
「じゃあ、また明日」
「うん、じゃあ」