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「聞いたよ、まっすー!! ダノッチにも告白されたんだって!?」「相変わらずぴいぴいうるせぇやつだ」
「だってダノッチ強いじゃん、僕まっすーの貞操が無事かと思って飛んできた」
「羅刹学園はよっぽど暇なんだな、お前も無陀野もちょくちょく俺に会いに来やがる」
「それで貞操は無事だったの、まっすー!!」
「無事だ、あとうるさい。さらに言えば何故お前にそんな報告しなきゃなんねぇ」
「だってまっすーに、僕は恋してるんだ」
「ドーパミンの出過ぎだ、医者の不養生って奴だな」
俺、淀川真澄は暇じゃない。偵察部隊隊長としてそれなりに忙しい。なのに最近はこの花魁坂京夜といい、無陀野無人といい、並木度馨といい、ちょくちょく俺に会いに来ようとする。さすがに一ノ瀬四季は来ないが、この野郎は手紙を送ってくるようになった。並木度馨の担当する古本屋宛てに送ってきて馨が苦笑いと共に渡してくれる。
「そりゃ、まっすーに恋したらドーパミンも出るよ」
「医者に行け」
「そう言われると思って仲間の医者に診てもらいました。僕は健康体だってさ」
「チッ、皆。恋だの愛だの好きだの面倒くせぇ」
「まっすーがモテモテなんだよ、キスしていい?」
「いいわきゃねぇだろ」
この花魁坂京夜は俺にむりやりキスしようとはしない、チャラい見た目をしているが意外と筋を通すやつだ。俺に恋してるんだと言うが無理強いはしない。ちゃんと手順を踏んで恋人同士になる気でいるようだ。だから俺もこいつに関しては警戒していない。無陀野は別だ、あいつはやると言ったらやるから警戒の対象だ。
「告白してオッケーもらって、キスしてハグしてそれ以上もしたい!!」
「さっさと羅刹学園に帰れ」
「えー、二連休貰ってきたもん。まっすーを口説くために」
「チッ、うぜぇ」
俺が隠れ家で花魁坂京夜の相手をしていると馨がそこにやってきた。どうやら急ぎの案件のようだ、俺は仕事はきっちりやるタイプだ。花魁坂を放置して馨が持ってきた資料に目を通した。どうやら鬼が不審死したらしい、桃がやったのでも自殺でもなさそうだ。そうなると現場に行った方が良さそうだ。俺は花魁坂を馨に預けて、現場まで出向いていった。
「一応姿を消してきたが、何もねぇな。自殺じゃないのか、それにしては死体の損壊が激しいっと」
俺は血を舐めて姿を消して現場を一通り見た、そうして特におかしな箇所がないことを確認した。なんだか肩が少し重くなった気がしたが気のせいだろう。そうして隠れ家に戻ると俺を見て花魁坂と馨が一歩引いた。
「何だ、どうした? 恋だの愛だの言ってるわりに何びびってやがる?」
「だ、だってまっすー!! その肩に乗ってる黒髪の女の人は何!?」
「隊長、現場で拾ってきたんですか!?」
「あっ? 肩の女? 幽霊か、それじゃ不審死はそいつの仕業か」
「まっすー、それどうするの?」
「神社にでも行ってみます?」
「あっ? こんなんこれでいいだろ。ほれっ」
俺は肩に乗っている黒髪の女とやらを埃みたいに手で払った。そのとたん、少し重かった肩が軽くなった。花魁坂と馨はポカンと口を開けて俺を見ていた。
「僕、幽霊が来たらまっすーに祓ってもらう」
「僕もそうします」
「馨はともかく花魁坂はもう帰れ」
「嫌だもん、まっすーを口説くまで二日間いるからね!!」
「僕がホテルを手配しますね」
「さっさとホテルに行きやがれ」
「ホテルはいらないよ。隠れ家に泊まるから寝袋だって荷物に入れてる」
「それじゃ、僕も隠れ家に泊まります」
「チッ、用意周到なやつめ」
それから二日、花魁坂からは恋してるんだ、大好きなんだって散々聞かされた。さりげなく仕事持ってきて馨がその邪魔をしていた。そうして二日経つと投げキッスを残して花魁坂は帰っていった。
「春はどいつもこいつもいかれてやがる」
コメント
1件
花魁坂くんが「僕は恋してるんだ」って真っすぐ言っちゃう感じ、可愛いですね😊 でも真澄さんの「ドーパミンの出過ぎだ」っていう冷静なツッコミがもうお決まりの流れになってて、読んでてほっこりしました。肩に乗ってた黒髪の女の幽霊を埃みたいにパッと払うところ、真澄さんらしくて好きです。春は確かに色々いかれてるけど、この距離感がいいなと思いました。続きも気になります!