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#主人公最強
杯雪乃
1,381
ツナツナビール🍺
224
「……ほう」
「う~む」
「ふぅ」
アングア大陸・ルガシオン公国―――
首都オルレニア。
その大宮殿奥にある聖金樹騎士団総司令の
部屋で、
部屋の主である、シルバーの短髪をした三十代に
見える男性と、
白髪の四十代くらいの眼鏡をかけた男性、
そして十代に見える青の短髪の少女の3名が、
コーヒーを口にして何ともいえない声を上げる。
「あのメーローといい、この飲み物といい……
どうしてこれほどの物が公国内にありながら、
今まで気付かなかったのでしょうか」
スクート総司令が両目を閉じながら語ると、
「併合し、属国化しておきながら―――
有効活用する事など、考えておらんので
しょうな」
「加えて、亜人や人外に対する差別意識も
根深いものがありますから……」
その後に、聖金樹騎士団第『ゼロ』軍団長・
ウルフェン、同じく副軍団長シミスが続く。
「しかし、光聖勇者隊―――
コボルト自治区で、結局何をしたかったので
しょうか」
総司令がつぶやくように話すと、
「聖金樹騎士団の一員、ノクティが出向いた事で
計画を取りやめ、または延長したのでは」
「虫を使った計画のようでしたので、
虫除けの魔導具を自治区の各所に設置して
もらったのですが……
それで、失敗に終わったとか?」
アラフォーとティーンの男女が意見を述べる。
「どれもあり得そうですね。
何せ、動きが無いわけですから。
失敗したにしろ、見送ったにしろ―――
引き続き神経をとがらせなければなりません」
スクートの言葉に、ウルフェンとシミスは
ため息をついて、
「これで諦める……
なんて事はないだろうしなぁ」
「もどかしいですね―――」
そう騎士団のメンバーがやり取りしていると、
室内にノックの音が響き、
「ただ今戻りました。
廊下までその香りが流れていましたが、
なかなかいいものでしょう」
グリーンの短髪の、騎士団らしくガッシリした
体格の青年が入って来て、
「ええ、なかなか味わい深いものですよ、
ノクティ。
それに頭がスッキリします。
昔は気付けや眠気覚ましに使われていたと
いう話……
納得出来ます」
総司令の言葉に、コボルト自治区で
『見えない部隊』メンバーの護衛をした彼は
頭を下げ、一息ついた後、
「報告する事がひとつ。
光聖勇者隊についてですが―――
あの自治区郊外で、複数の遺体が
発見されました」
ノクティのその言葉に、聖金樹騎士団のトップと
非公式の上層部2人は眉をピクリと反応させ、
「……あそこは勇者隊とは名ばかりの、
有力者の私兵ですからね。
身内の処罰や処理は聞いた事がありますが」
「自治区内ではなく外で?」
「関係はあると思われますが……」
それぞれが意見を口にすると、
「遺体をこの目で確認して来ました。
その中に、コボルト自治区で我々に
絡んで来た者もおりました。
今回の件と無関係ではないでしょう」
それを聞いたスクート・ウルフェン・
シミスの3人は顔を見合わせて、
「殺されたのは間違いないでしょうね」
「よほどのヘマをしたか、それとも反抗でも
したのか―――」
総司令と第『ゼロ』軍団長がそう話すと、
「でも、ノクティ殿に絡んだ程度で?」
第『ゼロ』副軍団長が疑問を呈すと、
「そこだけ見ると、その程度で……
とは思いますが。
積み重ねという事も考えられますし、
何よりそいつら以外の顔もあったので」
指摘された彼がそう返すと、
「他は?
あなたに絡んだ人物以外の特定は」
スクートが質問を続け、
「まだそこまでは―――
ただ、光聖勇者隊には違いないと
思われます。
絡んだ人物だけが関係者とは考えにくい
ですし……」
彼の答えにう~む、と3人は考え込み、
「ノクティに顔を見られたから
口封じとか―――
いや、それだけで殺すのはかなり
短絡的ですし……
何より、他のメンバーまで死なせる
理由がわかりません」
「ちと待ってくれ。
そもそも連中、何で死んだんだ?
死因は?」
総司令の次に、ウルフェンが疑問を口にする。
「それもまだ特定は出来ていないのですが、
検視担当者は毒によるものではないかと。
自分も見ましたが、特に目立った外傷は無く、
毒のある小さな小動物か虫によるものでは
ないかと言っておりました」
騎士団の青年が書面に目を通しながら
説明すると、
「虫って、まさか」
シミスが反応するも、
「実験体にされたとか?
いやでも、だとしたらそういう計画が
成功しているって事じゃないですか。
それでコボルト自治区で被害ゼロと
いうのは―――」
「マジで意味わからんな……」
こうしてしばらく彼らは、情報の分析に
追われる事となった。
「平和ですね―――」
「……そうですね」
一方その頃、ルガシオン公国・コボルト自治区。
その中の一つの街を―――
中性的な顔立ちをした、ミドルショートの赤髪の
人物と、
ローブを全身にまとうようにした従者らしき
者が歩いていた。
「聖金樹騎士団が何やら騒がしくなったと
思いきや……
ただのコボルト自治区からの新たな試供品を
めぐっての事で、
特に自治区への派遣の動きもないので、
こうして確かめに来たのですが」
バンディーニとギムリ―――
コボルト自治区へのテロ計画を進めていた
2人は、
実行したものの、コボルト自治区に対して
聖金樹騎士団が何のアクションも起こさない事を
不審に思い、現地に直接確認に来たのだが……
それが不発に終わった事を思い知らされていた。
「虫たちは確かに解き放ったはず。
それがどうして―――」
「……毒の効果も実際に確認済みです。
それが、どうしてこんな……」
そしてまた散歩のようにしばらく歩くと、
「ギムリ、何といいますか―――
虫が少ないように感じませんか?」
「そう、ですね……
心なしか、以前来た時より」
するとその会話を聞いていたのか、
通りかかったコボルト族の老人が、
「ああ、そりゃあ―――
虫除けの魔導具のせいかも知れんのう」
種族的に背が小さく、さらに老人という事も
あってか、2人は見下ろすように近付き、
「虫除けの魔導具……ですか?」
「それはいったいどのような」
バンディーニとギムリは、何気ない
日常のようにたずねると、
「あー、海の向こう?
から来たという商人が売っていたんじゃよ。
何でも、もう戻らなければならないという
事で、投げ売りのように安くなあ」
老人はネックレスのように首にぶら下げた、
その魔導具を2人に見せる。
「それは―――
いつくらいの事でしょうか」
「詳しい日時は覚えておらんが……
帰る前に荷物を減らしておきたいとかで、
すごく安い値段で売ってくれた。
聖金樹騎士団の人もいてのう。
それで信用して買ったのじゃが、
いや! 確かにたいした効果じゃよこれは」
まじまじと見つめる2バンディーニとギムリに、
「余った分は自治区の商人が買い取ったと
聞いておる。
興味があるのなら、そこから買ってみては
どうかね?」
「そう、ですね―――
しばらく回ってみてから、行ってみますよ」
そう主従の主の方が答えると、老人とはそのまま
別れ……
人の少ない場所まで来た時点で従者の方が
声を上げる。
「バンディーニ様―――
……よもや今回の計画は、それで
防がれてしまったのでは……」
そう語るギムリに赤髪の人物は首を傾げ、
「いえ、ちょっと待ってください。
少なくとも我々はあの商人一行よりも
先に首都オルレニアに戻っていました。
それは事実です」
「そうですね―――
……時期的に、この魔導具が売られたのは、
計画実行よりも後……
ならば、関係はなさそうですが……」
2人はそこで言葉を交わすのを止めて、
思考の沈黙に入り、
「しかし時期的に偶然とも―――
待ってください。
確か聖金樹騎士団の人もいたと、あの老人は
言っていました。
という事は、あの虫除けの魔導具とやらを
売ったのは……
あの商人たち……!?」
「で、ですがバンディーニ様。
そうだとすると、あの商人たちはこちらの
計画に対抗しうる魔導具を最初から持って
いながら、
それを売り始めたのは計画実行後という
事になってしまいますが―――」
ギムリの言葉に彼か彼女かわからない人物は、
空を見上げるようにして、
「わけがわかりませんね……
確定しているのは、計画が失敗したという
事だけですが―――
その原因究明さえこれでは……」
「とにかく、その魔導具を入手してみては
いかがでしょうか。
直接の原因ではないにしろ、何か少しでも
手がかりに繋がれば……」
「そうですね、ギムリ。
では、その虫除けの魔導具を売っている、
コボルト族の商人に会うとしましょう」
こうして計画の首謀者だった2人は、
商人のもとへ向かう事にした。
「ほう、コイツか」
「いいッスね」
「これなら子供でも描きやすそうですし」
ウィンベル王国・公都『ヤマト』―――
そこのギルド支部長室で、
ジャンさん・レイド君・ミリアさんの3人が、
私の描いた『片羽のハニー・ホーネット』の絵を
見ながら語る。
「あっさり決まっちゃったんですけど、
いいんでしょうか」
私が拍子抜けした感じで話すと、
筋肉質のアラフィフのギルド長が、
「まあいいだろう。
こういうのはシンプルなほどいいしな」
「ていうかシンさん、こういう絵は以前にも
描いていたッスよね?」
ジャンさんのの後に、次期ギルド長である
褐色肌の長身の青年が続き、
「あの〇とか×とかで、簡単な顔を描いたり
していましたものね」
そして最後に、ライトグリーンのショートヘアの
丸眼鏡の女性が話す。
実際、〇とか×とか―――
\ /
〇 〇
▽
こんな感じで描いた事はある。
これは、宿屋『クラン』や他の飲食店に
相談されたもので、
『精霊様も認める美味しさ!』
『精霊様も絶賛!』
という看板を置いて商売するところが
出始めた頃、
(■90話 はじめての きり参照)
そこにいたずら心で、精霊様の絵も描いては
どうかと言ってみたところ、
どんな絵がいいか? という事になり、
じゃあ簡単にこんな感じで……
とやったところ、定着してしまったのだ。
言って見れば顔文字のようなもので、
(´・ω・`)や( ^◇^ )といったものも
教えたため、今ではあちこちでこういった
簡単な顔絵を見かけるようになった。
「それで、私が呼ばれた件はそれですか?」
児童預かり所であの絵を描いてから数日後、
こうして呼ばれたわけなのだが、
今回はまだ呼ばれた理由を聞かされて
いなかったので、質問すると、
「ああ、いやちょっと別の案件でな。
これも関わりが無いってわけじゃないが」
ジャンさんはそう言うと、部屋に設置してある
魔力通信機に手をかける。
『おう、シンはそちらにいるか?』
「ちょうど今話しているところだ。
で、例の件―――
お前から直接話した方がいいだろう」
と、友人同士でのやり取りがあった後、
『シン、あのハニー・ホーネットの絵な。
これ、ウィンベル王国の教育機関で
使わせてもらっても構わないか?』
突然の上級国民、そのトップオブトップからの
提案に、少々面食らうも、
「いえ、それは別に構いませんが……
そんな事でわざわざ?」
ライさんは表向きは冒険者ギルド本部本部長
なのだが、その正体は前国王の兄。
平民である私にいちいち了解を取り付ける
事なく、進めてもいい身分なのだが―――
律儀な人だ、と思っていると、
『あの絵、俺も見たけどよ。
片羽ってのが気に入ってな。
確か他の魔物に襲われてああなったのを、
児童預かり所で人や他種族との交流の
ために、という名目で預かったんだろ?
これから他種族共生を目指す我が国に
取って、あれほどピッタリなものはねえ』
(■152話
はじめての きょじゅうく(じんがい)参照)
その言葉にギルト長と次期ギルド長夫婦も
ウンウンとうなずく。
『あ、もちろん意匠代とか権利関係は後で
詰めるが。
どうせお前さんの事だ。
『それならその教育機関の足しに』とでも
言うんだろうけどよ。
こういうのはキッチリしておかねーと、
後々面倒な事になるからな』
そう本部長に言われて、思わず私は頭をかく。
「えーと、では……
今日はその件で呼ばれたのでしょうか」
『まあ、ここからが本題だ。
これ、ちょうど片羽のあたりが空いて
いるだろ?
で、名札にしてそこに名前やら所属やら
書けるようにしたいって事でな。
当然、大量背生産する方向で動いて
いるんだが』
「材料が足りないんスか?」
そこで次期ギルド長が口を挟むと、
『いや、これから足りなくなると予想している
だけだ。
何せ誰かさんのおかげで出生率が爆発的に
上がっているからなあ。
衛生事情やら食料事情やら』
ライさんの言葉に、ギルドメンバーの視線が
私に集中する。
「今はもう、シンさんの作った料理や
道具無しでは回りませんからねえ。
あの紙オムツだって―――
すっごく役に立ってますよ♪」
ミリアさんが満面の笑みで語る。
まあ、今の日本レベルにまで引き上げようと
すればそうなるよね……
同時に、逃げ道が断たれつつある事を感じ、
私は観念して、
「それで、どうしたいんでしょうか?
大量生産する方法を考えてくれ、とか?」
『いやそこまで全部任せる事はしねぇよ。
実は、あのメープルシロップやゴム?
ってのを導入して以来、いろいろな樹液を
活用出来ないか研究が進んでいるんだが、
透明でかつ、加工が容易なものが
見つかってな。
で、新しい物なら新しい素材で―――
って話になってよ』
そこで私は首を傾げ、
「??
という事は、すでに素材はあるんですよね?
それで私に何を」
『あくまでも『ある』ってだけだ。
これまでは実験用に使っていただけ
だからな。
今後大量に必要になるから、確保する必要に
迫られたってワケ。
で、その護衛を頼みたいんだ』
と、そこでようやく話が見えて来て、
「それなら別に構いませんが……
何ていうか、簡単な依頼に思えますし。
それだけなら私でなくてもいいのでは?」
「そういやそうだな。
別にシンに頼む事でも無いと思うんだが」
私の疑問にギルド長も同意すると、
しばしの沈黙の後、通信機の向こうから、
『あー、何だ。
まず第一に、その樹液を出す木は未開拓地に
あるというのと―――
そこは未知・未発見の動植物の宝庫
らしくてな。
そして王室直属の研究機関の学者たちも
同行する……
意味はわかるな?』
あー、なるほど―――
要はお目付け役か。
パックさんやシャンタルさんと同類で、
命より研究が大事って人種だからなあ。
そこで私は冒険者として依頼を受けると、
自宅の屋敷へと帰る事にした。
「護衛依頼?」
「まともな依頼は久しぶりじゃのう」
アジアンチックな童顔の妻と、欧米モデルの
ような彫りの深い顔立ちの妻が、私の説明に
そう返す。
「木を持って帰るだけ?」
黒髪ショートの、真っ赤な瞳を持つ娘が
質問して来て、
「普通に聞いたらそういう依頼だけど、
何せあの王都の学者連中が同行する
みたいだからね。
何度か暴走しているからなあ」
(■230話 はじめての かいはつふぐあい
■239話
はじめての まりょくだまりたいさく 参照)
私の話に、メルとアルテリーゼ、ラッチは
うなずいて、
「じゃあ私たちも行く?」
「乗客箱を持っていけば、休憩所にも
なるしのう」
「シンイチとリュウイチも連れて行けるしねー」
と、こちらも同行する気満々で、
「う、う~ん……
さすがに赤ちゃんまではどうかなあ?
まあみんながいれば安全だろうけど」
私がやんわりとシンイチ・リュウイチを
連れて行くのを否定すると、
「ダーメだって、シン!」
「いくら仕事とはいえ、そうしょっちゅう
家を空けて子供と接しないのはどうかと
思うぞ?」
それぞれの子供を抱いた妻たちから反論され、
「おとーさん、安全かどうかって心配を
しているんだろうけど―――
ボクたちと一緒にいる以上に、安全な
ところってある?」
それを言われると……
アルテリーゼ&ラッチがドラゴンの母娘。
その実力は言うに及ばず―――
メルもシルバークラスで、一対一なら
王国の騎士団や魔族とも互角に渡り合える
猛者だ。
「そう言われるとなあ……
じゃあ安全第一!
これを守ってくれ。
いざとなったらラッチとシンイチと
リュウイチを連れて逃げる事!」
それを聞いた家族は軽くうなずくと、
「まあシンでもヤバくなれば、そういう
選択肢はあると思うけど」
「そんな日は永遠に来ないのではないか?」
「おとーさんが一番の戦力なんだけど、
あんまり自覚無いのも困ったもんだよねー」
そう家族に評され―――
とにかく私たちは、依頼の日を待つ事となった。
「まだこんな未開拓地があったんですね」
後日、私は『乗客箱』に乗って……
その目的地を上空から視認していた。
「王国の半分は、まだ未開拓地と言われて
おりますから。
つまりそれだけ未知の素材が存在すると
いう事でゲフゲフゲフ♪」
一緒に、王室直属の研究機関に勤める職員兼
研究者も、『乗客箱』に同乗して来たのだが、
彼のやはり命より研究・好奇心なんだなと
実感する。
「でも、樹液を取るための木を
確保するんでしょ?
持ち帰りは?」
メルが研究者たちに問うと、
「それは別動隊が運びます。
身体強化に優れた人員を
連れて来ておりますので―――
まずは木を確保、ある程度運べる状態に
したら、担当部隊が来てくれるはずです。
そしてその間、時間の許す限り周囲を
探索する予定ですデュフフフ♪」
「おにーさん、よだれよだれ」
ラッチがそうツッコミ……
どちらかというとこっちがメインなんだろうなと
確信する。
『そろそろ着陸するぞ。
準備は良いかの?』
伝声管からアルテリーゼの声が聞こえ、
「「「はい!」」」
数名がそれに答え、着陸態勢に入った。
「作業終わりました!
ご確認お願いします!」
「ご苦労様です。
では、別動隊が来るまで待機を」
複数の職員があっという間に目的の木を集め、
それをまとめると、
「ではこれより、各自探索に入ります!」
「それはいいですけど、すぐに駆け付けられる
範囲でお願いしますね」
研究員の代表者みたいな青年にそう声を
かけるが、まあ聞かないだろうな、と
思って見送る。
そして『乗客箱』で待つ事小一時間ほど。
近付いて来る一団がおり、それが運搬担当の
別動隊だとわかると、
『はーい! 時間切れー!!
撤収しますよー!!』
『来ない人は置いていきますよー!!
お帰りは自分の足になりまーす!!』
これは、研究所の所長、リオレイさんからも
許可をもらっていたもので、
『もし時間通りに戻らないやつがいたら、
放置でいいです』
と言われていたのだが―――
「戻りました!」
「遅れてすいません!」
わらわらと戻って来る研究員たち。
そして彼らに点呼を取らせると、
「……あれ?
おい、ケーナ研究員は?」
「いないんですか?
一足先に戻ったと―――」
と、同時にお約束の悲鳴が聞こえ……
「っ、やっぱりこうなるのか!」
「行くぞ、シン! メルっち!
ラッチはシンイチとリュウイチを頼む!」
私たちは声の方向へと走り出した―――
「うわ、何だこりゃ」
「見た事のない魔物……
植物系かな?」
「気味が悪いのう。
ラッチがいなくてよかったわ」
そこには―――
いくつもの実をつけた4、5メートルほどの
木があったのだが、
問題はその実の方で……
そのどれもが顔のような造形があり、
そのいくつかが、恐らく先ほど悲鳴を上げたで
あろう、研究員の1人を口で捕らえていた。
「た、助けてください!
あ、でも出来ればこの植物は殺さない
方向でお願いします!
あと身体強化使える研究員を呼んで
もらえますか?
これも持ち帰りたいので」
救援と欲望が入り混じった要請を言われ、
私はため息をつくと、
「実に顔のある、そして他の生き物を
その口で捕らえる植物など、
・・・・・
あり得ない」
そう小さくつぶやくと、
「きゃっ!?」
同時に、捕まっていた研究員は解放され、
地面に落ちて来た。
コメント
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第341話、読了したわ! 今回はシンさんの新素材護衛依頼と、ルガシオン連中の不発に終わったテロ計画が同時進行してて、地味ながらも世界の動きが着実に繋がってる感じが好きだわ。 特にバンディーニたちが現地で虫除け魔導具の存在を知るシーンは「あ、あの時の!」ってなってニヤリとした。シンさんの撒いた種が遠くで芽を出してるの、たまらんね。 最後の学者の「♡♡♡ないで!でも持ち帰りたい!」には思わず笑ったわ。命より研究ってまさにその通り。次話も楽しみにしてる🔥