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俺がナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)と共にアジトまで戻ってくると、玄関にうるさい吸血鬼がいた。
「ただいまー」
「おかえりなさい、ナオト。シャドウに何かされなかった?」
は? 俺がそんなことするわけねえだろ。
こいつは……ナオトは死にたくても死ねないんだから。
「え? あー、うん特に何も」
「そう。なら、確かめさせて」
「え? 確かめるって、どうやって?」
「そんなの決まってるじゃない」
ん? こいつはいったい何をする気なんだ?
「あー、えーっとシャドウがとなりにいるんだが」
「だから?」
「いや、だからその……は、恥ずかしいから玄関じゃなくてお前の作業部屋か寝室でしてほしいなー……なんて」
ミノリ(吸血鬼)頼むから俺の言う通りにしてくれ。
「うーん……無理! あーむっ!!」
「ちょ! いきなり噛みつくなよ! ビックリするから!」
吸血鬼は吸血衝動に抗《あらが》うことができない。それは知っていた。
けど、こんなにおいしそうに血を吸うものなのか?
もっとこう血を吸い尽くす勢いで吸うものだと思っていたのだが。
「まったく、少しは慣れなさいよ。あっ、もしかして血を吸われるのが気持ちよくなっちゃったの?」
「そ、そんなことあるわけないだろ! まったくお前って本当に意地悪だよな」
「意地悪? あたしはただ、あんたの反応が面白いからからかってるだけよ」
「そ、そうなのか?」
「ええ、そうよ」
「そうか。なら、大目に見てやろう」
「ありがとう。あと、ごちそうさま」
「ど、どういたしまして」
何なんだ? こいつら。
まるで恋人みたいだ。
まあ、俺は今まで誰とも付き合ったことはないが。
べ、別に羨《うらや》ましくはない。
そんなこと、あるわけ……ない。
「シャドウ、おーいシャドウ。何ボーッとしてるんだ?」
「え? あー、すまない。少し考え事をしていただけだ」
「そうか。なら、いいんだが」
ナオトはそう言うと気絶しているモンスターたちを台所まで運び始めた。