_6月12日_梅雨頃
雨が降っていた
校門の近くに咲いている
紫陽花に、雨の粒が浮かんでいるのが見えた
遥_ハルカ
「 …はぁ……ほんとッ最悪」
生憎、天気予報は晴れだったので
傘を持っていなかった
遥_ハルカ
「 ( 誰か持ってないかな? ) 」
周りを見渡すと…
鞄を傘代わりにし 急いで、家に帰っている子
友達と相合傘をし、雑談をしながら帰っている子
諦めて、ずぶ濡れになりながら帰っている子
等が居た_
遥_ハルカ
「 ( マジかよ… ) 」
私は、自分自身に呆れた
だって…
私には、友達と言える友達が居ないからだ
遥_ハルカ
「 ただいま……」
ずぶ濡れの制服が肌に纏わりつく
遥_ハルカ
「 ( 気持ち悪い… ) 」
私は、すぐにお風呂に入った
今日の疲れがどんどん流されていく
夕食後、私はベッドに飛び込んだ
布団からは、石鹸のいい匂いがする
遥_ハルカ
「 ( この後…どうしようかな…) 」
私は、頭がボ―っとする中 考えた
遥_ハルカ
「……ぁ…… そうだ」
私は、ベッドから降り
本棚から一冊の短編小説を取り出す
題名は、〖静かな夜に睡蓮の香りがした〗
以前、本屋に行った時に
買ったものの…中々読む気がせず
ずっと本棚にしまっていた
私は、ベッドに戻り、 横たわった
遥_ハルカ
「 ( どんな小説なんだろ…) 」
頭の中には、好奇心と一寸した眠気があった
そんな中 私は、本のページを捲った
――――――――――――――――――――――――――
『偶像を閉じ込めた景色』
_ガタンゴトン_
夜の電車が揺れる
一定のリズムで、揺れて動く
窓から見える景色は、目を見開いてしまう程
綺麗で、秀麗だった
普通の人なら、感動して涙を流していただろう
だけれど……”私は普通の人じゃない”
皆からは、変わり者扱いされる存在価値
コンビニで購入したカフェラテを一口呑んだ
何時もよりも苦く深みがある気がした
――――――――――――――――――――――
遥_ハルカ
「 ( …変わり者扱い……)」
何だか…少し心が傷んだ
何となく窓を見た
雨は、すっかり止んでおり、
カ―テンの隙間からは 綺麗な夜空が見える
遥_ハルカ
「……そっか」
この夜空を眺めて主人公の心情が分かった
私は、またページを捲った
朝食のいい匂いで目が覚めた
遥_ハルカ
「…ぁ…れ 私寝てたの…?」
私は_
気付かない内に、寝落ちしていた様だ
幸奈_ユキナ
「遥~! 早く降りて来なさい~!
朝食 冷めちゃうわよ~!」
お母さんの優しい声が耳に入った
遥_ハルカ
「 は~い 」
私は、返事をし
階段を降りて行った
誰も居なくなり
静かになった部屋には、僅かに睡蓮の香りと
星の欠片が落ちていた_
コメント
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小説かくの上手すぎデス…… 尊敬しマス✨