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コメント
5件
電車でにやにや…やっぱ放課後の教室って最高だな👍
ぐへへ((( ...🤪ちのつっこみいいねぇ...👍️ らぶらぶな青組って栄養素高いよね(((
――陽キャ、距離感ゼロの暴力――**
付き合い始めて三週間目。
俺――**いふ(陰キャ・腐男子)**の生活は、明らかに変わった。
一言でいうと、
「陽キャのスキンシップに命を削られる日々」
である。
なにせ相手はあの、
学校の太陽みたいな男――**ほとけくん(陽キャ)**や。
「いふくん、今日も可愛いね」
「その言葉やめぇ言うてるやろ!!
なんで毎朝顔見た瞬間に言うねん!!」
「だって可愛いんだもん。一番最初に思ったことを口に出してるだけだよ?」
「口に出さんでええねん!! 心の中に閉まってろや!!」
「閉まんないよ。あふれてるから」
「うわああああ!!
陽キャ、なんでそんな迷惑なハッピーオーラ振り撒けるねん!!」
付き合い始めてから、ほとけくんは遠慮という概念を学校の下駄箱に置いてきたらしい。
登校するなり、俺の頬を軽く触ったり、髪を撫でたり、肩に腕を回したり……。
(……陽キャ……距離感って知っとるんかな……
人間にはパーソナルスペースってもんがあんねんで……
いや俺が狭いだけか……?)
そんなことをぐるぐる考えていたら、ほとけくんが俺の顔を覗き込んだ。
「んー、いふくん今また変な考えしてる?」
「してへん!!」
「絶対してたよね? 眉が『助けてください』って言ってるもん」
「言うわけないやろ眉毛が!!」
「あはは、ほんと好き」
「……っ……!」
好きって言われるたびに、心臓が壊れる。
ほんまに、壊れてポロッと落ちるのでは?と思う。
「ほら、行こ?」
手を差し出される。
「……学校の中で手ぇ繋ぐんは恥ずかしいから嫌や」
「じゃあ、指だけでもいい?」
「指だけってなんや変態か」
「じゃあ……袖つまませて?」
「……はあ……」
ほとけくんが嬉しそうに自分の制服の袖を差し出す。
(こんなん、断れるわけないやん……
可愛いかよ陽キャ……くそ……)
俺は、人に気づかれへんように袖の端をちょこんとつまむ。
すると、ほとけくんは機嫌よく微笑んだ。
「ね? これなら平気でしょ?」
「……知らん……」
「いふくん、照れすぎ。かわいい」
「うるさい!!」
周りの視線が痛い。
絶対「陽キャと陰キャまたイチャついてるわ」みたいな噂になってる。
(……死のうかな……)
(いや死んだらほとけくん泣くし……)
(死ねへんな……)
俺は今日も命の選択を迫られつつ、教室に入った。
■ 昼休み:陽キャ、膝を独占する
昼休み。
俺は机に突っ伏して、死んだように弁当をつついていた。
「いふくん、元気ない?」
「お前が朝から過剰摂取させてきた愛のせいや……
心臓が疲れとるんや……」
「じゃあ、元気になることしよ」
「来るな!!」
俺が拒否の手を伸ばす間もなく、ほとけくんは椅子を引いて俺の隣に座る。
そして――
「膝枕していい?」
「なんでやねん!!
なんで昼休みに膝枕の発想出てくんねん!!
陽キャ、脳の構造どうなってんねん!!」
「いふくん、僕の膝使っていいよ?」
「逆に!?!?
なんで俺がほとけの膝使う流れになんねん!!」
「じゃあ僕が使うね」
「勝手にしろ!!」
案の定、ほとけくんが俺の太ももの上に頭をのせてきた。
「やめろや!! 重い!!」
「重くないでしょ? 僕、軽いよ?」
「お前175あるくせに『軽いよ?』ちゃうねん!!
デカいんじゃ!!」
「でもいふくんの膝、すごい落ち着く……」
「甘えんな陽キャが!!」
「甘えるよ。彼氏だもん」
「……ッッ!!」
その言葉は反則や。
昼休みの教室という、死ぬほど恥ずかしい空間で「彼氏」と言われた俺は、
もう何も反論できん。
(……俺、なんで陽キャと付き合っとるんや……
人生何が起こるか分からんわ……)
ほとけくんは膝枕のまま、俺の手をなで回してくる。
「手、可愛いね」
「手に可愛いもブサイクもあるかボケ!!」
「あるよ。いふくんの指、細いし白いし……触ってると幸せになる」
「やめろやめろやめろ!!
どこで覚えたんやその殺傷力の高い言葉!!
陽キャのくせに台詞が少女漫画寄りなんや!!」
「うん、いふくんのために覚えた」
「!?!?
覚えた!?」
「いふくん可愛いから、似合うかなって」
「俺の腐男子心を殺す気か!!」
顔が熱くて死にそうや。
膝の上のほとけくんは満足そうに笑っていた。
■ 放課後:陽キャ、家に来る気満々
放課後。
昇降口で靴を履き替えてると、ほとけくんが当然のように隣に立った。
「今日、いふくん家行っていい?」
「なんでやねん!!
昨日も来たやろ!!」
「だって、いふくんともっと一緒にいたいから」
「お前……毎日来る気か?」
「え? だめ?」
「だめや!!
俺の心臓の寿命が縮む!!」
「じゃあ寿命ずっと隣で見てるよ?」
「死ぬまで付き添う気か!!」
「うん」
「うわあああ!!!
なんでそんな真面目な顔で即答すんねん!!
やめろ!! 陽キャが本気の顔すんな!!」
ほとけくんは俺の手を取ろうとした。
反射で手を引いたら、ほとけくんが少しだけ拗ねた。
「……手、つないでくれないの?」
「……周りに人おるからや……」
「いふくん、今日めっちゃ意識してるね」
「お前のせいや!!」
「じゃあ……家までの道、ずっとくっついて歩いてもいい?」
「もっと恥ずかしいわ!!」
「じゃあもう、家の中でくっつくね」
「やめろおおおお!!
挙動不審になるやろ俺が!!」
「いいよ、挙動不審でも。かわいいから」
「口閉じろ陽キャ!!」
ほんまになんなんこいつ。
俺を殺すために生まれたんか?
「じゃ、帰ろ?」
「帰らん!!」
「じゃあおんぶして連れて帰るね?」
「そんなことされたら学校中に噂広まるわ!!!」
「広まっていいよ? 僕の彼氏ってみんなに見せびらかしたいもん」
「やめろやああああああ!!!
公開処刑や!!」
逃げようとした瞬間、服の裾を掴まれた。
「いふくん、逃げないで。
僕、ほんとにいふくんと帰りたいんだよ」
「……そんな顔すんな……」
ずるい。
陽キャのくせに、そういう時だけ子犬みたいな目するんや。
「……じゃあ……帰るけど……」
「うん!」
「……あんまり触るなよ?」
「触るよ?」
「お前なああ!!」
「だって、触りたいもん」
「知らん!! もう好きにせえ!!」
「やった」
ほとけくんは満面の笑み。
その笑顔がもう、爆発的に可愛くて。
(ああもう……俺、ほんまにこいつ好きやわ……)
心の中でそう呟いた瞬間――
「ねえいふくん、今“好き”って思ったでしょ?」
「お前エスパーか!?!?」
「表情に全部出てるよ?」
「出すな俺!! 隠せ俺の顔!!」
「だめ、隠させない。僕だけが見てたいから」
「~~~~~~ッ!!!
陽キャのくせに口が甘い!!
砂糖か!?!?」
「いふくんを甘やかすのが僕の仕事なので」
「勝手に仕事すな!!」
「うん、勝手にする」
幸せすぎるくらい笑って、
ほとけくんは俺の手首をそっと掴んだ。
引っ張られるように歩き出す。
俺は抵抗しながらも、結局流される。
「……ほんま、好きにせえ……」
「うん、するよ」
その返事が、なんか……嬉しくて。
(……くそ……
また今日も俺負けやわ……)
でも、
――この負けは、ちょっとだけ幸せやった。
」」*キス編(イチャイチャすぎる編)
放課後の教室は、夕陽が斜めに差し込んで、机の影を長く伸ばしていた。
部活もない日、クラスメイトはすでにほとんど帰っている。
その静けさの中、僕――ほとけは、鞄を机に置いて、後ろの席に座る彼を見た。
「……いふくん、まだ帰らないの?」
声をかけると、いふくんはビクッと肩を揺らした。
「な、なんや。びびらすなや。……帰るけど、ちょっとだけ整理しとっただけや」
彼は漫画の冊子や、落書きが印刷された紙を慌ててまとめていた。
その端からチラッと見えてしまったイラストは、どう見ても“僕に似た陽キャ男子”と、“明らかにいふくんに似た陰キャ男子”が距離感ゼロで寄り添っているものだった。
昨日、言ってくれた――
「俺、ほとけで妄想してまうねん」
その言葉がずっと耳に残っている。
だから、僕はもう隠さない。
「いふくん、その……僕と、もっと話したいとか思ってくれる?」
「は!? な、なんで急に……っ」
彼の関西弁が乱れてかわいい。
「昨日のあれ、僕……本気で嬉しかったよ」
「……っ、知らんやろ。ほとけ、それ絶対ズルいで」
「ズルくても、目逸らさなくていいよ。僕、見てるから」
そう言った瞬間、いふくんは耳まで赤くして、机の端をギュッと握った。
「……やめぇや……そんな真っ直ぐ言われたら……俺、変なスイッチ入るかもしれんやんけ」
「変なスイッチって?」
「……キスしたなってまうやん」
その言葉が、教室の空気を一気に熱くする。
心臓が跳ねた。
いや、跳ねたのはきっと僕だけじゃない。
僕は歩み寄って、いふくんの机の横に立った。
「したいなら、していいよ」
「……ほとけ……ほんまに言うたな?」
「うん」
「後悔してもしらんぞ……?」
「しないよ」
僕は一歩近づいた。
いふくんも、逃げない。
息が触れ合いそうな距離に、お互いの影が重なる。
夕陽の残光の中で、いふくんの睫毛が少し震えた。
「……こっち、来いや……」
つぶやきは低く、でも甘く震えていた。
僕は身をかがめて、いふくんの頬に触れた。
その瞬間、いふくんがビクリと肩をすくめ、僕の手首を弱く掴む。
「……手ぇ震えとるやん」
「そ、そら……好きな人に触れられてんねんで……震えるに決まっとるやろ……」
その言葉が胸に刺さって、僕も呼吸が浅くなる。
「じゃあ……いふくんの震えてる手も、僕、受け止めるから」
僕は彼の手を包んだ。
いふくんは、握り返してくれる。
「ほとけ……キス、するで……?」
「うん」
いふくんがゆっくり目を閉じる。
僕も、視線を落として、その唇に近づいた。
あと数センチ――
「……っ、ほとけ、ええ匂いすんねんな……」
「いふくんが言うと照れるよ……」
「……もういくで」
――触れた。
やわらかくて、少し震えてて、でも確かに熱を持った唇だった。
最初は触れるだけの、軽いキス。
けれど、離れた瞬間、いふくんの指が僕の服をぎゅっと掴んだ。
「……もう一回、してええ……?」
「うん。何回でも」
次のキスは、少し深い。
いふくんが不器用に角度を探して、時々鼻がぶつかる。
それが可愛すぎて、僕は笑いそうになってしまう。
「わ、笑うなや……! 初めてやねん……っ」
「ごめん、ごめん。でも……可愛いよ」
「ほとけの方が可愛いわ……バカ……」
そのまま、また唇を重ねる。
いふくんの手が震えたまま僕の首に触れ、僕の指は彼の頬をそっと撫でた。
呼吸が混ざって、夕陽が赤く差し込んで、
世界が二人だけになっていく。
どれくらいの時間そうしていたのか。
唇を離して、額を寄せたまま、いふくんが小さく呟いた。
「……ほとけ。俺、ほんまに……お前のこと……」
「僕も、いふくんのこと……好きだよ」
「……言わせんなや……っ」
彼が顔を手で隠す。
その手を外して、僕はもう一度軽くキスした。
「隠さなくていいよ。僕だけに見せて?」
「……うるさい……ほとけ、陽のくせに、なんでそんな甘いこと言うねん……」
「いふくんが好きだから」
「……もう、知らん……」
言いながら、彼は僕の胸元に額を押しつけてきた。
僕もその頭を撫でる。
しばらく、二人で静かに寄り添った。
「なぁ、ほとけ」
「ん?」
「……帰り、手ぇ繋いで帰ろ」
「もちろん」
「……っ、言う思たら、めっちゃ恥ずかしなってきた……!」
「いふくんが言ってくれたの、嬉しいけど?」
「……もう……ほんまに……俺、ほとけのこと好きすぎて死ぬで……」
「死なないで。僕もいふくんが好きだから」
教室を出て、廊下で手をつないだとき――
いふくんは耳を真っ赤にしていたけど、手はしっかり僕を握り返してくれた。
「……ほとけ、今日のキス……夢ちゃうよな?」
「夢じゃないよ」
「……毎日したろか?」
「うん。毎日しよ?」
「……あかん。幸せで死ぬ」
「だから死なないってば」
二人の笑い声が、夕暮れの廊下に溶けた。
いふくんの不器用な愛情表現が全部愛おしくて、
僕は何度も手のぬくもりを確かめながら帰った。
――キス編、完。
これにて完結です!