テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
【ハナが枯れるまで】
花というのは
咲いて そしていつか枯れる _
綺麗な花も
そうじゃない花も。
人間も
いつしか花のように枯れて逝ってしまう。
_これは、ある少女の〝物語〟だ
…………….
「溝口 花 です 。 よろしくお願いします 」
ある日 、 田舎町の高校に
転入生がやってきた
〈ここ、田舎だけど綺麗なとこだよ〉
笑いながら転入生に話しかける
中年男性の担任 。
正直 、 気持ち悪いけど
転入生の緊張を解こうとしてるんだろう。
『 、 …きっっしょ 、…。あ 、。』
心の中にしまっていたはずの言葉が口に出て
慌てて口を抑えた
[ねぇ 、井上 。溝口さん可愛くない ?!]
『ぇ?…ぁあ…うん。』
後ろの席にいる女友達が話しかけてきて
戸惑い気味に返答した 。
転入生が来たのは今日が初めて
だからテンションが高くなったんだろう _
〈じゃあ 、 井上の隣な 。〉
『え…、?』
転入生といっても
あくまで赤の他人
あくまで同級生
そんな人が隣の席なんて
運が悪い 。
そして 、休み時間には
溝口さんの席の周りに人が集まり出した
〝ねぇねぇ 、どこから来たの?東京?〟
〝ちょっと … 溝口さん困ってるよ〟
〝えー、いいじゃん〟
溝口さんが話しかけられてる中
窓際に座ってる私は外のアジサイを眺めていた
『梅雨か 、』
6月に入ってから
寒くて少し蒸し暑い日が続く 。
夏が近づいてる証だ
「アジサイ 、綺麗だよね」
横から声がして視線を横に向ける。
そこには転入生の子がこちらを見ていた
『、よろしく…名前なんだっけ』
「溝口 花。」
『そっか。名前も容姿も綺麗なんだね。溝口さんって』
「うん。花は私のお気に入りの名前」
『そっか 、いいじゃん』
「あっちゃんって呼んでいい?」
『ぇ、?』
名前で呼ばれるとしたら
藍 か 井上 のどっちかで
あっちゃんとか呼ばれたことはなくて
なんだか変な感じがした
『いいよ。じゃあ、私は花って呼んでいい?』
「うん、いいよ」
『ふふ 、こんな早く仲良くなれるなんて』
「だね 。」
『あ、…』
突然,さっきまで聞こえなかったはずの
雨音が聞こえてきてふと窓に視線を戻した
「雨…、あっちゃん傘持ってる、?」
『ううん、天気予報では雨の予報なんてなかったから…』
「折り畳み傘あるから一緒に相合傘しない?」
突然のその誘いに一瞬びくっとした。
会ってまもない人に堂々と相合傘しよう 、と
どんだけ陽気なの、この子
『うん。』
とりあえず忘れた私が悪いし
仕方ないか 、
ぽちゃ、と水溜りの上を時々歩く
その時に泥が飛び跳ねて
よほど今日はツイていないみたい。
『ぁー、湿気すごい …』
パサついた横髪を軽く弄る
「少しだけ蒸し暑いよね、」
苦笑しながらこちらに笑いかける
雨でも髪が綺麗な花ちゃん、
羨ましい 。
なぜこんな田舎に
なぜこんな可愛い子が
来たんだろうか
『、ねえ、花ちゃん』
「うん、?」
『なんでこの田舎にきたの?』
「田舎に住むのが夢だったから 。」
単純な理由みたいだった
『そっか』
田舎に住むのが夢 、なんて
私と真逆なんだ 、
花ちゃんと少し気が合うかも
『ねぇ、花ちゃんの名前の由来どんなの?』
「えっとね、」
〝人々に愛され、周囲を明るくする存在でありますように〟
「って由来なの」
『そっか、綺麗な由来だね』
「逆にあっちゃんの名前の由来は?」
『深い青色を象徴する「藍染め」から来てるだけだから…特にこれといった由来は…』
「良いと思うよ。あっちゃんの名前の由来」
『そう、?』
「あ、私この駅だから。傘は明日返してくれれば良いよ,またね」
『ぇ?!あ、ちょっと…!』
『、はぁ、行っちゃった』
ほんとあの子って
話しやすいんだよな…
「あっちゃん~」
すりすり、とあっちゃんに頬を擦り寄せた
あっちゃん 。 というのは
転入初日に仲良くなった
花のトモダチ 。
背は花より少し高い。
『今日の花は甘えん坊だね笑』
「ぇへ、」
『すごいモチモチ、餅みたい。』
「食べないでよ?」
『食べないよ。』
〝溝口さん,井上とほんと仲良いよね〟
同級生の女の子からそう言われる事が
最近増えている
「でしょ、花の自慢の友達なの」
そう、あっちゃんは
私のお気に入りの友達。
「ずっと 、」
ずっと一緒にいてほしい 。
けど 、誰もあんなことが起こるとは
考えてすらいなかった
『花,一緒に帰ろ。』
「ぁ、うん」
カバンの中に必要なものだけ入れて
肩にかける。
『ねー、花』
「うん、?」
『私さ… 』
車が通る音とかぶって
一瞬だけ 、 あっちゃんの声が聞こえなかった
「ごめん、もっかい言って 。」
『…やっぱり、なんでもない』
「、そう、?…」
『うん、』
「あ …、…っ後ろ 、!」
—キーッ 、 どん 。
「あっちゃん , ?」
あっちゃん … なんで 、?
「なんで 、 …どうして 、!」
必死に体を揺さぶる 。
けど、体はとっくに冷たくなっていて
地面にあっちゃんの血が広がる
「あっちゃん 、っ」
[おい 、!女の子が _!!]
周囲の人が焦るような声
そして悲鳴をあげる声
あっちゃんのこの姿を見るなんて
花も思っていなかった
ほんとに 、 運が悪い
〔花 、!遅刻するよー!〕
…え 、 ?
気づけば自室のベッドの上だった 。
〔花ー!!〕
「今行く !」
どうして 、?
さっきまであっちゃんと …
…きっと、あれは夢だったんだよ
…きっと 、。
そう思いながら階段を下り、食卓に行く
食卓に置かれていたのはキウイとヨーグルト
朝は食欲がないから毎朝こういうメニュー。
“いただきます”と手を軽く合わせて
朝食を口に運ぶ
…そういえば、今日って何日だっけ 、
ふと壁にかけられてるカレンダーを見てみると
昨日と同じ曜日だった
…これ、戻ってる 、?
なにかおかしい気がする__
気のせいだと思いたい 。
「ごちそうさまでした」
階段を上がり,学校の身支度をして
玄関を出る
なんで…?
おかしい。
あまりにもおかしすぎてる
違和感が,半端ない。
「溝口 花です」
軽く頭を下げて
自己紹介をした 。
明らかにおかしい 、
これ…あっちゃんを助ければいいの?
あっちゃんを守れば良いの?
そしたらこんなことにならないの、?
「あっちゃん …」
〝あっちゃん、?井上のこと?〟
『え、私初めてだよ。この子と会ったの』
〝そうなの?…でもなんで井上のこと…〟
「あ、いや…人違いでした 、!」
そっか、戻ったから
あっちゃんは忘れてるのか 。
初めて会ったことになってるんだ ,
〈じゃあ、井上の隣な。〉
『え…、?』
やっぱり、“昨日”も同じセリフ聞いた 。
この後は…たしか
あれ 、思い出せない
どうして 、?
「っ 、」
足元がふらついて
動きが安定しない 。
倒れそうになったその時 、
『平気,?』
あっちゃん … いや、同級生に支えられた
「平気 、ありがとう …」
『顔色悪いよ。具合悪い,?』
「、ううん、大丈夫」
とりあえず 、 あっちゃんを守んないと …
そうすれば、〝昨日〟が続かないはず 。
「あの 、 井上さん 。」
『、うん、?』
「下の名前…教えてくれませんか」
『藍 。』
「藍 、あっちゃんって呼んでも?」
『え 、』
だめだったのかな …
そういえば
〝昨日〟も同じこと聞いたらこんな反応してたような …?
『うん、いいよ…あ、じゃあ私は花って呼んでもいい?』
「、うん。」
一通り仲良くなれたけど
やっぱり、あんなことが起きる…って考えたら
仲良くなんてならないほうが良かったのかも
こんなことが繰り返されるなら
仲良くしないほうが良かった。
『花ちゃんの家の最寄駅って、どこ?』
「ぁ、 … 東谷駅。.」
『お、じゃあ同じ電車だ、?』
「ぅん、?」
『私南駅だよ』
「そうなんだ、じゃあ一緒に帰ろうよ」
『うん。』
『今日ちょっと暑いね~ 、』
「梅雨にしては暑すぎるよね 。」
「ぁ、やば…電車もうすぐできちゃうよ。急がないと__」
『あ_“ぇ、ちょっ 、!』
—-きーっ 、どん 。
『なんで…』
また、守れなかった
今度こそ,守らないと
今度こそ …っ、!
「っ、 は」
〝昨日〟と言う日に閉じ込められて
〝今日〟と言う日が
なかなか訪れなかった 。
自室の窓の隙間から外を少しだけ見る
家の近くにあるアジサイが綺麗に咲いていた
あっちゃんが見ていたアジサイ 。
あのアジサイを避ければ
守れるのかな 、
「意地でも 、…アジサイを見せないようにしないと」
〔花ー!!〕
リビングにいるお母さんの声が
2階の自室まで響いている
「今起きたー!」
リビングまで聞こえるように
大きな声で返事をする 。
制服に着替えて
リビングに降りて
ご飯を済ませて
〝新しい〟あの学校に行く 。
あそこで藍と会って
仲良くなって
…いや、藍自体を避ければ良いのかな 、
とりあえず〝今回〟は藍をさけてみよう。
『溝口 花です 、よろしくお願いします』
頭を軽く下げると
クラスメイトの拍手が聞こえてきた 。
あっちゃんの隣の席を指定されて
そこに着席した 。
「私、井上 藍」
繰り返される〝昨日〟と言う日
あの事故をなんとか防がないと 。
花が、あっちゃんを守らないと
〝花ちゃんってどこからきたの?〟
『関東の方だよ』
〝へー、じゃあ東京とか?〟
『うん、笑』
あっちゃんの言葉をスルーし 、
別の女子生徒と話す 。
あっちゃんは何処か寂しげな表情を
一瞬花に見せたがすぐに目を逸らすように窓を眺めていた
これでいい 。
これであの事故が防げるなら
花は大丈夫 。
放課後は1人で帰って
藍のことはなるべく避ける 。
けれど ,,,
—-キーっ 、 どん。
〔きゃ ーっ !女の子が 、!〕
また…防げなかった
また、守れなかった
今回も 、
前回も 、
前々回も 。
〔おい!救急車よべ!!〕
〝井上 、!〟
あっちゃんと一緒にいた男子生徒が
あっちゃんに駆け寄る 。
なんで ?
あっちゃん 、 彼氏いたの 、?
…どうして 、。
「う 、っ …」
5回目の目覚め 。
そして今回も
〝昨日〟という日に閉じ込められている
「頭 、痛い 。」
藍が事故に遭った光景を思い出してしまって
激しい頭痛に襲われた
…〝昨日〟の 、 あの男の人は…
一体誰なの,?
なんで藍と一緒にいたの?
なんで、藍と帰ってたの…?
「ほんと、誰だったの…」
食欲が出なかったため、
シャインマスカットだけ食べて
ヨーグルトは未開封のまま食卓に放置 。
「行ってきます 、」
母に聞こえるか聞こえないかくらいの声で
そう言った後に玄関を出た 。
もう、前なんか見たくない
あの光景なんて、2度と見たくない 。
「溝口 花です _」
ぺこり 、と軽く頭を下げて
そのまま俯く 。
〝溝口さん可愛い ~ 、〟
〝花って名前、憧れない?笑〟
〝わかる !〟
同級生の女の子達が騒めいている
〈じゃあ …井上の隣な 〉
「あの 、小林先生 。」
〈お ? 、どうした〉
「…、いえ 。なんでもないです」
井上さんの隣は嫌です …
なんて言えるはずなかった
黙々と指定された席に向かって
腰を下ろす
〈…ぁ、おい 。井上どこ行った?〉
〝え ? 、さっきまで居たはず 。〟
〝トイレかな 、〟
〝いや …井上がいるとしたら …〟
「…、」
ば っ 、と片手を上げ
「自分が探します」
〈は、?!〉
〝ちょ、溝口さん …!転校してきたばかりでしょ、?!〟
「探せばきっと居ますよ…!自分1人で行けます 。」
ドアを雑に開閉した後に廊下を走る
初めてあっちゃんと出会ったあの日 、
あっちゃんが学校を案内してくれた 。
屋上を案内してくれた時に
『私、嫌なことあった時はここにいるんだ- 、。』
そう話していたのをなんとなく覚えていた
「井上さ ん っ !」
がちゃ 、と勢いよく屋上の扉を開ける
あっちゃんが居た 。
『お ~ 、見ない顔だね…?』
「っは、 …えっと …転入して来た」
「溝口 花です っ 、」
走り回りながら学校中を探した
そのせいで息切れがすごくて
息を整えるだけでも一苦労 。
『転入生か 〜 、小林先生が来るって言ってたなそういえば 。』
「あの 、小林先生が …探していました …」
途切れ途切れの息遣いで伝えた
『うーん、あとで.』
「なんで …、」
『なんでって…教室より屋上の方が心地いいから。』
「そうです…か 、」
《井上 、やっぱりここに居た 。》
後ろから声が聞こえて振り向いたら
前回と同じような男の子が立っていた
『おー、だいき 。』
藍はその男の子に
ひらひらと手を振っていた
「誰ですか 、?」
『私の幼馴染の男の子 。』
《なんでいつもここでサボるかなあ 、ほんと先生に怒られても懲りないよな 。》
『いいじゃん~ 、たまになんだから 。』
《たまになわけないでしょ…最近多くなってるよ.こういうの》
『うるさいなあ 、…笑』
楽しそうだなあ 、この2人 。
なんだかカップルみたいに思えて
くす、と笑ってしまった 。
「ふふ 、笑 ふたりとも仲良いんですね」
『別に仲良くなんか… 、!』
《そうだよ、こいつと仲良いなんて …》
ふたりとも 、言う事同じだ…
「へえ 、?」
—キーンコーンカーンコーン .
《あ…チャイムなった 。》
『ほんとだね ~ 、』
藍はこの場から動くか動かないか
悩んでるようで
《ほら、教室戻るよ》
『あーん 、だいきのおケチ ~ 。』
《はいはい 、ケチでいいよ 。ほら行くよ》
だいき 、という
その男の子は私に頭を下げて
屋上から出て行った
「変なの笑 、。」
でも、なんだか面白い 。
あれ 、私なんでここに来たっけ …
記憶があやふやになった
…なんでだったっけ 、
-き~ っ 、どん 。
聞き慣れた音が下から聞こえた 。
柵から見るとこの前と同じ光景が
視界に映っていた
「っ 、…」
頭痛に襲われて
その場でしゃがみ込んだ 。
『んん 、』
もぞ …と布団の中で動く 。
{藍 ~ 、?そろそろ起きないとだいきくん迎えに来ちゃうよ~!}
『ん、はあい』
だいき .と言うのは私の幼馴染。
家が近いから一緒に登校することが多い
『なんか最近変な夢見るなあ、』
花 、という女の子が夢の中で出てきて
私を交通事故から助けようとする夢
ほんとにおかしな夢だった 。
これがもし〝正夢〟だったら…って考えたら
まあ、そんなことあるはずないか…笑
そんなことを思いつつ制服に着替える
《井上 ~ 。》
玄関越しにだいきの声が聞こえた
『今行く ー!』
慌てて靴を履き、通学カバンを持って
だいきの方に向かう
《なあ 、今日お前んとこ小テストだろ》
『は、?!…そんなんあったっけ?!』
《はぁ、?なんのためにこの間言ってやったんだよ。〝俺のクラスが小テストだったから次の授業はお前のクラスが小テストだぞ〟って》
『あーもう分かってるよ 、』
ほんと最近忘れっぽくなってきてる
最近変な夢も見るし 。
全然ツイてない …
『あーぁ、今日は運が悪いなあ』
《ほんとだよ.お前といると俺も運が悪くなる。》
『はあ、?…なら一緒に学校行く必要ないじゃん。』
《冗談だわばーか 、》
笑いながらふざけるだいきに
カバンを軽く当てると《いて~、笑》とわざとらしくもっと笑った 。
『ぁ、やば 。走るよだいき!』
ふと時間が気になり、
携帯の時間を見ると遅刻寸前だった。
《ぉ、?え?!ちょ、!》
だいきを追い越すように歩く速度を早めると
だいきも追いかけるように速度を上げた
『ぎりぎりせ ~ ふ 、』
教室の時計を見ると本当に遅刻ギリギリだった
通りすがる友達や同級生が会釈をしてくるため
私も軽く会釈し返した。
《また放課後な》
『は ~ い 、』
隣のクラスに行く
だいきにヒラ、と手を振る 。
〝ねえ 、井上。転入生くるの知ってる?〟
『昨日先生が言ってたから流石にね 、笑』
〝こばせんに変なことされないといいけどね.転入生の子.笑〟
『そういえば …こばせん、最近奥さんと喧嘩したの知ってる?』
〝それ初めて聞いた〟
『この間の古典の授業で軽く愚痴ってたよ。』
友達とそんな会話を教室で交わしていた
〈はーい、朝のホームルームはじめるぞ~〉
〝ぁ、ばいばい。井上。〟
『うん、また後で』
〈昨日予告した通り 、転入生が来ている 。〉
頬杖をついて 、 窓の方に視線を逸らす
アジサイが綺麗に咲いていて
先生の話に耳を傾けようとすらしなかった
「溝口 花です」
転入生が名前を述べていた
〝溝口 花〟 …
あれ、どこかで聞いたことがある …?
『うーん、』
〝どうかしたの?藍〟
『いーや、夢の中で聞いたことある名前だなあって』
〝ふ、…笑なにそれ 。〟
『私もよくわかんないけど 、似た名前の子が夢に出てきて。 』
〝寝ぼけてるんじゃない ~ 、?〟
〈じゃあ 、井上の隣な〉
「、はい 。」
『よろしくね 、溝口さん 。』
「よろしくお願いします 、」
何この子 、私が見た中で仲良くできずらいかも
そんなことを思って再び頬杖をつき
窓の方に視線を移す 、
「あの …」
『うん、?』
「さっき …私の名前が夢で出たって…」
『え、?…あーうん、。』
「私も…井上さんの名前が夢に…」
『お互い夢でもう会ってるんだね』
ふふ 、と花に微笑みかけると
花も「ですね、笑」と微笑んだ 。
やっぱり仲良くなれる気がしてきて
『ねえ、友達にならない?』
そう声を掛けた 。
「うん、なる。」
どこかで安心してる自分がいて
『今日の放課後 、一緒に帰ろうよ』
「…うん。そうしよ」
彼女曰く 、私の1個前の駅に自宅があるらしい
そして放課後になって
帰路を淡々と歩いていた 。
「井上さん 、!」
『ぅん、?』
振り向くと背中を押され
——きーっ 、どん 。
花が車に轢かれた 。
『え 、花… 、?』
どうして…私を守ったの 、?
私は轢かれてもよかったのに
《溝口さん 、大丈夫か 、?!》
だいきがたまたま通りかかって
花の元へと直ぐに駆けつけた
『だい 、き …』
震える声でだいきの名前を呟く
《井上 、救急車を呼べ …!》
『あ、うん …、!』
救急車って…何番だっけ 、?
110番 、?
いや …119、?
どっち …?
頭の中がこんがらがって
理解が追いつかなかった
《なにしてんだよ、!救急車は119だ!!》
『ぁ、うん …』
花さん 、ごめんなさい …
私のせいで
「いのうぇ 、さん …」
『花 、!』
「無事でよかった …です 、」
息苦しそうに話す彼女を見てられなくて
『無理して話さないで 、…お願い …っ 、』
手を握って涙を流した
「何泣いてるんですか 、…花は平気ですよ 、?」
血は花の体から広まるばかりで
「いのうぇ 、さん …聞いてください。私の最期の言葉。」
『うん、聞くよ 。』
「はな 、は …いのうえさんのこと …だい 、すき …です 。」
途切れ途切れだったが
懸命に発した最期の言葉 。
『私もだよ 。』
花と出会えてよかった。
そんなふうに思えた __
—end
コメント
4件
相変わらず最初の始まり方好こ。♡( ᵕωᵕ♡ ) なんか転生劇みたいなの好き。 最期には花がタヒんじゃう展開とか感動的すぎる。т т センスありすぎ