テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
79
14
197
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「ほらほら、アンタの服がどんどんアタシらの足跡だらけになってくよ!」
「あっはは! トイレの床にうずくまって、汚ーい!w」
「やめて、やめてよっ! お母さんが買ってくれた制服なの!」
俺はミリアを踏みつけることに夢中になっている3人の女学生から髪の毛を1本ずつ拝借する。
俺が『隠れ身の魔法』の魔法を使っていることもあって、全く気が付きもしない。
「そうだ、汚れたなら自分で身体を洗いなよ! お得意の水魔法でさ!w」
「そうそう! 服も透けて、男子たち喜ぶんじゃない?」
「てゆーか、アタシらが洗濯してやるよ! ほら、服脱げって――」
「なら、お前らの汚いツラも綺麗にしてきたらどうだ?」
俺がそう呟くと、女生徒のうちの一人が不思議がる。
「今、アンタ何か言った?」
「はぁ? 何も言ってないけど……ていうか踏むの止めんなよ」
「ちょ、ちょっと待って……なんか、身体が動かないんだけどっ!?」
魔法には、明らかに悪用できてしまうモノがある。
俺は魔法研究の途中でそのような魔法術式が完成してしまっても、『禁忌魔法』と名付けあらゆる書物に残さなかった。
例えば、こういう魔法だ。
(禁忌魔法――『命令の魔法』)
俺は指を少し噛んで3人分の髪の毛に自分の血を付着させる。
そして、魔法を発動した。
「な、なんだよ!? 身体が勝手に動く!?」
「足が勝手に……ここから出ていこうとしてる!」
「ミリア、アンタがこれやってるの!?」
「……へ? し、知らない……私じゃない……」
暴力が止んだミリアは勝手に女子トイレを出ていく彼女たちの背中を呆然と見送る。
これは、他人の身体に簡単な指示を出すことができる魔法だ。
もちろん、抵抗することもできるがコイツら程度の魔力じゃ無理だろう。
戸惑いながらも、彼女たちはそのまま隣の男子トイレへと入って行く。
そのタイミングで、ミリアも彼女たちの後を追って女子トイレの外に出てきた。
俺は『隠れ身の魔法』を解除すると、声をかける。
「よっ、ミリア。そろそろ1時間目の授業が始まるぞ」
「ラ、ラティス様……!」
俺は乱されてしまっているミリアの制服を正して魔法で綺麗にしてやった。
「も、もしかしてラティス様が……」
「ミリア、どんなに言葉を尽くしても気持ちが伝わらない相手っていうのは居る。そういう奴らには、少し痛い目を見てもらった方が良い」
俺が彼女たちに出した命令は2つだけ。
『隣の男子トイレに移動する』こと。
『水たまりを探して、その水で根気よく洗顔すること』
この2つだ。
「アイツらの言う通り、汚いモノはちゃんと水で綺麗にしないとな」
「……え?」
「さぁ、行こうか」
俺がミリアと一緒に教室に向かって歩き出すと、男子トイレの方から悲鳴と共に生徒たちの声が聞こえてきた。
「――な、なんだお前ら!? どうして男子トイレに!?」
「おい、そこは個室……膝まづいて何して……まさか!?」
「気でも狂ったのか!? 汚ねぇ!!」
「おい! みんな来てくれ! ヤベーぞ! キチガイだ!」
この3人は便器に顔面を突っ込んだまま気絶した状態で先生たちに発見されて、運ばれていったらしい。
誰かによる魔法攻撃も疑われたが、多数の目撃者によって「自分から進んでやっていた」という証言があり、精神疾患や集団ヒステリーということで一旦は処理された。