テラーノベル
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冷たいコンクリートの粉塵が舞う、薄暗い廃墟の一角。
かつては商業施設だったその場所は、今や静まり返った殺戮の舞台へと変貌していた。
不気味なほどの静寂の中、足音もなく現れた特級術師・乙骨憂太。その瞳には、かつての温厚さはなく、非情な「死刑執行人」としての冷徹な光が宿っている。
「あれ?一人じゃないんだ」
対峙するのは、宿儺の器として死を宣告された虎杖悠仁。そして、彼を守るように立ちはだかる脹相と、どこか不敵な笑みを浮かべる禪院直哉。
一触即発の空気が張り詰めた、その瞬間だった。
「――っ!?」
不意に、乙骨の身体が激しく揺らいだ。
手にしていた刀の重みに耐えかねるように、切先がコンクリートの床にガチリと音を立てて引きずられる。
(何、だ……これ……。呪力が、練れない……?)
身体の奥底から湧き上がるはずの膨大な呪力が、まるで底の抜けた器から流れ出すように、一瞬にして霧散していく。
それどころか、四肢の関節から急速に力が抜け、まともに立っていることすら困難なほどの脱力感が襲いかかってきた。
心臓が、異常な速さで警鐘を鳴らす。ドクドクと脈打つ鼓動は、戦闘への高揚感ではなく、もっと泥臭く、生々しい「熱」を伴って全身を駆け巡っていた。
「は、ぁ、つ……あ、つ、い……っ」
皮膚の内側から焼け付くような熱。じっとりと滲み出る不快な汗。
頭の芯が急激に融解していくような感覚に、乙骨は自らの額を片手で押さえた。視界がグニャリと歪み、目の前にいる虎杖たちの姿が二重、三重にブレる。
これは、ただの体調不良ではない。
辺りに漂う、微かだが酷く甘ったるい、腐肉と花の混ざり合ったような呪霊の残穢。
結界術の応用か、あるいは特殊な術式を持つ呪霊の罠に、この場に踏み込んだ瞬間に嵌められたのだ。しかもその効果は、呪力を完全に封じ、身体を内側から狂わせる最悪の「媚薬」――。
「……おや。どないしたん、特級さん」
真っ先にその異変に気づいたのは、直哉だった。
蛇のように細められた瞳が、膝を屈しかけている乙骨の姿を執拗に観察する。
赤く染まっていく乙骨の耳たぶ、荒くなる呼吸、そして何より、特級たる彼を包んでいた圧倒的な威圧感が、綺麗さっぱり消え失せている。
「は、ぁっ、ふぅ、ぅ、う……ッ///」
乙骨は必死に呼吸を整えようとするが、吸い込む空気すらも熱く、肺を焦がす。
顔は瞬く間に林檎のように真っ赤に染まり、目元には涙が浮かんでいた。
「……!?」
「悠仁、引け! 奴の様子が狂っている。……だが、好機だ!」
脹相が虎杖の肩を掴み、鋭い声を上げる。
何が起きているかは分からない。だが、自分たちを殺しに来た最強の刺客が自壊している今こそ、この場を脱する唯一の好機だった。
「でも、あいつ……!」
「行くぞ!」
脹相は躊躇う虎杖の腕を半ば強引に引き、背を向けて一気に闇の向こうへと駆け出していった。
それを追うだけの力は、今の乙骨には指先一つ分すら残されていなかった。
「……行ってもうたな。まあ、あんな雑魚どもは後でええわ」
直哉は逃げる二人に見向きもせず、ゆっくりと歩を進め、乙骨の目の前で立ち止まった。
コツン、と靴音が響く。
「は、あ、ぁっ……げ、ほっ、ふ、ぅ……ッ///」
乙骨はついに支えを失い、床に両手をついた。
肩が激しく上下し、ボタボタと床に汗が滴り落ちる。
見上げる直哉の顔が、歪んだ愉悦に満ちている。
「へぇ……えらい熱いな。触らんでも分かるわ、中からドロドロに溶けとるやろ、自分」
「や、め……っ、さわ、らな……ぁ、つ、///」
直哉の手指が、乙骨の濡れた首筋に触れる。それだけで、電流が走ったように乙骨の身体が跳ね上がった。
あまりの敏感さに、乙骨自身が一番驚愕し、絶望に目を見開く。
「触るな、やて? こんなそそる身体にしておいて、よう言うわ」
直哉の目がギラリと昏く光った。
元より、格上である特級に対する歪んだ劣等感と執着があった。それが今、無防備に、しかも自らの蜜に溺れて喘いでいる。
直哉のサディスティックな欲望を刺激するには、これ以上ない舞台だった。
「身の程、教えてあげるわ。特級が聞いて呆れるなぁ……!」
「――ひ、ゃっあ、あぁうっ!?///」
ドン、と乱暴に床へ押し倒された。
背中に響く固い衝撃よりも、上から覆い被さる直哉の容赦ない質量と、向けられる強烈な支配欲に、乙骨の rational な思考は完全に吹き飛んだ。
「あ、ぐ、ぅ……離、し……て、おねが、い……っ///」
「嫌やな。誰が離すかいな。こんな美味そうなもん、目の前に転がってんのに」
直哉の冷たい手が、乙骨の衣服を容赦なく引き裂き、熱い肌へと直接滑り込む。
熱を帯びた指先が、乙骨の胸元や脇腹を執拗に愛撫するたび、脳髄を直接掻き回されるような甘い痺れが乙骨を襲った。
「ん、んぅぅーーーッ! ぁ、は、あ、つ、いぃッ……!♡///」
抗おうと伸ばした手は、直哉の片手によって簡単に床へ縫い留められる。
かつて世界を滅ぼしかねないと恐れられた特級術師の力は、そこには微塵もなかった。ただ、与えられる刺激に翻弄され、情けなく腰を跳ね上げるだけの、無力な存在に成り下がっている。
「ええ声やなぁ、乙骨くん。もっと鳴いてみぃ。お前のその澄ました顔、ぐちゃぐちゃに汚したるわ」
「や、め、それ、は、だめ、ぇ、ひ、あぁぁーーーっ!♡♡///」
直哉の舌が、乙骨の鎖骨から首筋へと這い上がり、強く吸い上げる。
「あ、は、ぁ、あぁッ……!/// おね、が、い……もう、ゆる、して、ぇ……っ!♡///」
背中を冷たいコンクリートに押し付けられたまま、憂太は激しく身悶えした。
かつては数々の呪霊を屠り、呪術界の異端児として恐れられた特級術師の面影は、今やどこにもない。
媚薬の毒に侵された身体は、直哉の指先が触れるたびに過剰な熱を作り出し、頭の芯までとろけさせていく。
「許す? 誰が、誰を許すんや? 君、自分が今どないな目に遭うてるか、まだ分かってへんみたいやな」
直哉は憂太の細い両手首を片手で乱暴に掴み上げ、頭の上へと縫い留めた。
もう片方の手で、無防備に晒された憂太の脇腹から、熱く火照った腰のラインをいやらしく撫で上げていく。
「ひ、あぅ、ぅううッ……!/// あ、つ、い……そこ、さわ、らなぁ……ッ!♡♡///」
「触らんといて欲しいんか? 体はこんなにガクガク震えて、俺の手を求めてる癖に。なぁ、憂太。お前、特級のくせに、男の俺にこんな風にされて喜んどるんやろ」
「ちが、う、ぼく、は……ひ、ゃあぁッ! ぁ、は、ん、んんぅッ!♡///」
否定する言葉は、直哉がその華奢な腰を強く掴み、指先を深く食い込ませたことで悲鳴へと変わった。
身体の奥深くを直接掻き回されるような狂おしい快楽が、背筋を駆け上がる。
羞恥心で顔を真っ赤に染め、ボロボロと大粒の涙をこぼしながら、憂太はただ首を左右に振ることしかできない。
「ほら、もっと声出しぃ。誰も助けに来おへんよ。あの器のガキも、お前の身代わりにしてさっさと逃げよったわ」
直哉の瞳に、加虐的な悦びがギラリと宿る。
これほどまでに自分を愚弄し、上から見下ろすような存在だった特級が、今や自分の掌の中で、ただの「玩具」として泣き叫んでいる。その事実が、直哉の征服欲をこれ以上ないほどに満たしていた。
直哉は憂太の涙に濡れた目元を乱暴に舌で舐め取り、そのまま耳元へと唇を寄せた。
「ええか、乙骨くん、お前はもう死刑執行人でも何でもない。ただの、俺に鳴かされるだけのメスや。思い知らせてやるわ……!」
「い、や、やだ、あぁぁッ……!♡ ひ、ぐぅ、ぅ、あ、あ、つ、いぃッ、壊れちゃう、うぅ、ううぅッ!!♡♡///」
無慈悲に下される愛撫の猛りに、憂太の理性は完全に崩壊した。
呪力のない身体は、快感の暴力に対してあまりにも無防備だった。
腰をくねらせ、直哉の体に縋り付くようにして、ただ快楽の波に呑まれていく。
「は、ぁ、あ、あ、ぁぁッ……!♡/// ん、んんぅ、あぁぁーーーっ!♡♡///」
「そうや、もっと鳴け。俺の名前呼んで、もっとめちゃくちゃにしてくれってねだってみぃ!」
「なお、や、さん……っ、なお、や、さ、あぁぁッ!♡/// も、う、むり、ぃ、頭、おかしく、なるぅッ……!♡♡///」
羞恥も、特級としてのプライドも、すべては甘い蜜の中に溶けて消えていく。
薄暗い廃墟の中に、ただ憂太の、甘く、高く、狂わされた喘ぎ声だけが、いつまでも淫らに響き渡っていた。
### 静寂と残香
「は、ぁ……っ、は、う、ぅ……っ///」
嵐のような蹂躙が去った廃墟の床で、憂太はぐったりと横たわっていた。
あれほど体を苛んでいた異様な熱は、最悪の形で全てを吐き出させられたことで、今は微かな残り火のように疼くだけになっている。
コンクリートの冷たさが、ようやくまともな感覚を取り戻し始めた肌にじんわりと染み込んでいく。
だが、その冷気すらも、刻まれた快楽の余韻を際立たせるだけで、憂太は小さく身震いをした。
全身が汗と、そして直哉に刻まれた生々しい痕跡で濡れてドロドロだった。
顔は未だに耳の裏まで真っ赤に染まったままで、きつく瞑った目尻からは、今も涙が止めどなく溢れて頬を伝う。
「ん、ぅ……あ、うぅ……っ///」
かすれた呼吸を漏らすたび、喉の奥がヒリヒリと痛む。
どれだけ情けなく叫ばされ、泣かされたのか。それを思い出すだけで、羞恥と屈辱で胸が張り裂けそうだった。
事後
「……フン。案外、脆かったなぁ、特級さん」
傍らで、直哉が衣服を整えながら、冷ややかな、しかし極上の愉悦を孕んだ声で見下ろしてくる。
その首元や肩には、憂太が理性を失って必死に縋り付いた時に残した、浅い爪痕が赤く浮かび上がっていた。
直哉は床に転がっている憂太の顎を、靴の先で軽く小突くようにして持ち上げた。
「どないしたん。もう指一本動かせへんのか? あれだけ可愛い声で俺の名前呼んどいて、終わったら無視かいな」
「ぁ、あ……な、お、や……さ……っ///」
名前を呼ばれただけで、憂太の身体がビクッと跳ねる。
その完全に怯え、調教されたかのような反応に、直哉は満足げに口元を歪めた。
「よぉ分かったやろ。お前がどんだけ特別な力持ってようが、中身はただの、脆くて弱い男やってことや」
直哉はしゃがみ込み、憂太の濡れた黒髪を乱暴に掴んで顔を近づけた。
間近で見る憂太の瞳は、涙で潤み、完全に視点が定まっていない。
「……まぁ、ええわ。今日のところはこれで勘弁したる。その可愛い顔と鳴き声、しっかり俺の頭に刻んどいてあげるわ」
髪を掴んでいた手を乱暴に離すと、直哉は立ち上がり、懐から懐紙を取り出して指先を拭った。
「またな、乙骨くん。次はもっと、ええ声で鳴いてな?」
嘲笑を残し、直哉の足音が遠ざかっていく。
やがて、完全に静寂が戻った廃墟の中で、憂太は震える手を自分の胸元に当て、小さく丸まった。
「あ、は、ぁ……っ、う、そ、だ……ぼく、は……っ///」
じわじわと戻り始める呪力を感じながらも、失われたプライドと、身体に深く刻み込まれた快楽の記憶は、二度と消えることはない。
憂太はただ一人、薄暗い闇の中で、いつまでも静かに震え、泣き続けていた。
コメント
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うわっ、これ結構えぐい展開だな……! 特級術師の乙骨がまさかここまで無力化されるとは思わなかったわ。呪力封じの媚薬トラップとか、直哉の支配欲がヤバすぎる。でも、普段あんなに強いキャラが堕ちていく過程の描写が細かくて、読んでてドキドキした。続きが気になるわ!🔥