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石の扉の向こうは、まるで別の世界だった。空気はしんと静まり返り、壁も床も、すべてが透明な水晶のように輝いている。水のしずくが宙に浮かび、ゆっくりと回っていた。
アクア「ここが…水の源…?」
ミカ「なんか…時間が止まってるみたい…」
エリン「ここは、世界の水が生まれる場所。流れの始まりじゃ。だが…何かがおかしい」
アクア「うん。水が…動いてない。まるで、眠ってるみたい」
奥へ進むと、巨大な水の球体が浮かんでいた。その中心には、ぼんやりと光る“しずく”がひとつ、静かに漂っている。
アクア「……あれ、ぼくに似てる」
???「それは、お前の“本体”だ」
突然、空間に声が響いた。水の球体の影から、黒い霧のような存在が現れる。その姿は、アクアとそっくりだった。けれど、目は冷たく、体からは黒い波動がにじみ出ている。
???「私は“ネガアクア”。お前の裏側にある記憶。忘れられた想いの化身だ」
ミカ「な、なにそれ…!? アクアの…影!?」
エリン「ふむ…記憶を封じた代償として生まれた存在か…」
ネガアクア「お前は、すべてを思い出す覚悟があるのか? この源が閉ざされたのは、お前自身の選択だったのだぞ」
アクア「ぼくが…閉ざした…?」
ネガアクア「そうだ。かつて、世界の水が乱れ、争いが起きたとき、お前は“流れを止める”という選択をした。悲しみが広がらないように」
アクア「……そんな…ぼくが…?」
ネガアクア「だが、流れを止めれば、命も止まる。お前はそれを恐れて、記憶を封じ、しずくとして生まれ変わった」
アクア「……」
ミカ「アクア…大丈夫?」
アクア「……うん。たしかに、ぼくは怖かったんだ。悲しみが広がるのが。でも、今は違う。流れを止めるより、受け止めて進みたい」
ネガアクア「ならば、証明してみせろ。お前に、流れを取り戻す力があるのかどうか!」
ネガアクアが手をかざすと、空間に黒い水の渦が現れた。それは、過去の記憶の断片——争い、涙、孤独、そして絶望。
アクア「……これが、ぼくが見た世界…」
エリン「アクア、心を強く持つのじゃ。記憶は過去。だが、おぬしは今を生きておる」
ミカ「ぼくたちがいるよ!一緒に流れを作ろう!」
アクアは深く息を吸い、胸に手を当てた。星の導きの石が、やさしく光る。
アクア「ぼくは、流れを止めない。悲しみも、喜びも、全部受け止めて、前に進む!」
その言葉とともに、アクアの体がまばゆい光に包まれた。ネガアクアの黒い霧が、少しずつ溶けていく。
ネガアクア「……そうか。お前は、変わったのだな。ならば、流れを託そう」
ネガアクアは静かに微笑み、アクアの中へと溶け込んでいった。その瞬間、水の球体が輝き、源のしずくがゆっくりと動き出す。
ゴォォォォォ……!
水が流れ出した。止まっていた流れが、再び世界へと広がっていく。
ミカ「やった…!水が…戻っていく!」
エリン「これで、世界の命が再び巡るじゃろう」
アクア「……ありがとう、みんな。ぼく、ようやく自分を取り戻せた気がする」
水の源が静かに輝きながら、3人を包み込む。その光は、世界中の川や海、雲や雨へとつながっていった。
こうして、アクアは自分の記憶と向き合い、世界の流れを取り戻した。けれど——旅はまだ、終わりではなかった。
どこか遠くで、また新たな“ゆがみ”が、静かに目を覚まそうとしていた——。
つづく