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水の源が目覚め、世界に再び流れが戻った。 川は歌い、雲は踊り、草木は命を取り戻していく。 アクアたちは、源の光に包まれながら、地上へと戻ってきた。
ミカ「ふぅ〜っ、やっと地面の上だ〜!やっぱり土の匂いって落ち着くね!」
エリン「うむ。だが、空気が少し…重いのう」
アクア「うん。なんだか、風がざわざわしてる。何かが…変だ」
3人が立っていたのは、かつてアクアが生まれた森の近く。 けれど、そこには見覚えのない“黒い霧”が、森の奥からじわじわと広がっていた。
アクア「……あれ、なんだろう?」
ミカ「うわっ、あの霧、木を枯らしてる!」
エリン「これは…“ゆがみ”じゃ。流れが戻ったことで、長く閉じ込められていたものが目を覚ましたのかもしれん」
アクア「じゃあ、ぼくたちが源を開いたせいで…?」
エリン「いや、いずれ目覚める運命だったのじゃ。むしろ、今こそ向き合う時じゃな」
ミカ「じゃあ、行くしかないね。アクア、行こう!」
アクア「うん!」
3人は黒い霧の中へと足を踏み入れた。 森の中は、まるで別世界。木々はねじれ、空は灰色に染まり、雨が静かに降っていた。
でも、その雨は——黒かった。
アクア「この雨…冷たい。心まで凍るみたいだ…」
ミカ「うぅ…なんか、悲しい気持ちになってきた…」
エリン「これは“黒い雨”。心の奥にある不安や後悔を引き出す、ゆがみのしずくじゃ」
アクア「……ぼく、また流れを止めてしまったのかな」
ミカ「ちがうよ、アクア!ぼくたち、ちゃんと前に進んできたじゃん!」
エリン「そうじゃ。だが、この森には“過去に囚われた者”がいる。そやつが、この雨を降らせておるのかもしれん」
そのとき、霧の奥から、ひとつの影が現れた。 それは、ぼんやりとした人の形をしていて、顔は見えない。けれど、どこか懐かしい気配があった。
???「……なぜ、戻ってきた」
アクア「君は…誰?」
???「私は“ナミ”。かつて、お前と共に流れていた者。だが、お前が流れを止めたとき、私はここに取り残された」
アクア「ナミ…!思い出した!ぼくたち、一緒に旅してた…!」
ナミ「そうだ。だが、お前は私を忘れた。自分の記憶と共に、私の存在も封じた」
アクア「……ごめん。でも、今は違う。ぼく、もう逃げない。君のことも、ちゃんと覚えていたい」
ナミ「ならば、証明してみせろ。この黒い雨を晴らせるかどうか」
ナミが手を広げると、雨が激しくなり、空が真っ黒に染まっていく。 風がうなり、木々が悲鳴を上げるように揺れた。
ミカ「アクア!どうするの!?」
アクア「……ぼくがやる。水の流れは、悲しみも運ぶ。でも、それを光に変えることだってできる!」
アクアは空へと舞い上がり、体をしずくの粒に変えて、黒い雨の中へ飛び込んだ。 そして、心の中で強く願った。
アクア(悲しみも、後悔も、全部受け止める。だけど、それで終わらせない。流れは、未来へ続いてるんだ!)
その瞬間、アクアのしずくが光り出し、黒い雨と混ざり合って、やさしい青に変わっていく。
ナミ「……これは…」
アクア「ナミ、ぼくは君を忘れたこと、ずっと心の奥で後悔してた。でも、今はもう、忘れない。君も、ぼくの一部なんだ」
ナミの姿が、少しずつ透けていく。 その顔には、やわらかな微笑みが浮かんでいた。
ナミ「……ありがとう、アクア。ようやく、流れに還れる」
ナミの姿が光に包まれ、空へと昇っていった。 黒い雨は止み、森に再び光が差し込む。
ミカ「……やった…?」
エリン「うむ。ゆがみは晴れた。だが、まだ世界のどこかに、流れを乱す“記憶”が残っておるかもしれん」
アクア「それでも、ぼくは進むよ。流れがある限り、ぼくの旅は終わらない」
こうしてアクアたちは、再び歩き出した。 次なる流れの先に、どんな出会いと記憶が待っているのか——それは、まだ誰も知らない。
つづく