TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

アルテミス

一覧ページ

「アルテミス」のメインビジュアル

アルテミス

4 - 第4話EndlessStory(完結)

♥

49

2022年11月12日

シェアするシェアする
報告する

「弱ーヤツってのは、誰彼構わず取り込んで身を護るんだ。」

ボスの個性は人、モノ何でも自分に纏わせて固めて、防御や攻撃を行う個性だった。やっとのこと倒した爆豪は、小夜の元へ急ぐ。マントラから皆を守るこの歌。爆豪にだけ聞こえた危険を知らせる声。

「(この歌は謳ったらダメなんだ!!アイツはオレらを庇って人で無くなろうとしてる!!)」

頭の中で流れる歌声が大きく鮮明になってくる。

「アルテミス!!…っ!?」

モニタールームのドアを勢いよく開けて飛び込んだ光景に目を疑うが、無我夢中で小夜の羽を砕く。恐ろしい顔でこちらを睨む小夜に爆豪は思わずたじろいだ。鍾波が短いマントラを唱えると風圧で2人は壁に打ち付けられる。

「人の心が残ってたようだ。君の声に反応した。」

「てめっ、まだやんのか…!!」

「争うつもりはない。ボスの応答がないからな。かといって、捕まるわけでもない。」

「待ちやがれ!!」

そこの女神、しっかり介抱してやるんだな。

apショットは空を割き、鍾波が羽織っていたジャケットだけが残った。

「余計なことしやがって!!」

舌打ちして言って、一糸纏わぬ小夜にジャケットをかける。夜が明ける前に急いで小夜を病院へ運んだ。

「起きてていいんか。」

しばらくして目を覚ましたと聞き病院へ。小夜の部屋は完全に太陽が遮られている。

「天井見るのも飽きたから。」

「差し入れ。食うか。」

「うん。食べる。」

と言われ林檎を剥く。

「あの歌、二度と歌うなよ。」

3個目に手を伸ばそうとした小夜の手が止まる。

「止めてくれてありがとう。でも本物の呪いの言葉に対向するにはああするしかなかった…。」

爆豪の、眉をしかめたその顔は怒ってはいなくて。

「怖い思いさせた??」

「あんな姿見せられるとさすがにな。」

「ごめん。」

「謝んな。薄々ヤバいことになるって思ってた。声が聞こえたから。」

「声??」

「あんたが一肌脱ぐって言った時に“ダメだ”って声が。」

「私そんなこと言ったかしら。」

「あんたの無意識の中の無意識がそう言わせたんだろ。」

「壊れても良いって覚悟決めてたはずなのに。あの時君の声がして羽を壊してるの見て…鍾波がマントラを唱えてくれてなかったら私、君を壊してたかもしれない。」

「俺の精神力ナメんな。たかが天使に壊されるほど弱かねーよ。」

笑う爆豪に小夜は涙を浮かべて頷いた。

それから退院の日。

「こんな夜更けにありがとね。」

外に出たら爆豪がいた。

「あんたの退院と俺の休みがかぶっただけだ。」

「寒かったでしょ。コーヒーごちそうするわ。」

断る間もなくカフェに入る小夜にため息ついてあとを追う。

「んー、幸せ。」

小夜は飲み物と一緒に頼んだスイーツを頬張る。それをつまみ爆豪はコーヒーをすする。

「(ホント幸せそうな顔。)」

「私のいない夜勤はどうだった??」

「起きた事件は対処できるけど、未然に防ぐのは難しい。あんたがいて初めて被害者の声なき声が俺らに届くんだ。改めてアルテミスの凄さを痛感したよ。」

得意げに微笑む小夜に思わず。

「って皆が言ってるのを聞いただけだ。」

照れ隠しにひと蹴り入れた。かれこれ1時間は話したか。

「家に帰ったらやることいっぱいだぁ。」

「病み上がりなんだからちょっとずつやれよな。」

「はーい。送ってくれてありがとね。」

小夜はマンションのエントランスに入っていった。

小夜の現場復帰は3日後だ。その前にラジオが再開した。

「(この人と一緒にいれるなら壊されてもいい…。)」

ぼんやりとカバーさせてもらったという曲に耳を傾ける。

例えば誰かのためじゃなくあなたのために

歌いたいこの歌を

まさしく自分のために歌ってくれているような錯覚を覚える。

「(もう壊されちまってるのかもな。)」

次第に重くなる瞼。彼女の歌声に包まれるように眠りに落ちた。

この作品はいかがでしたか?

49

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚