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奇病

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奇病

2 - 第2話

2022年06月26日

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雪斗が宝石になってから何年も経った。

俺は旅に出るため荷物をまとめていた。その時、宝石の上に荷物を落としてしまい、宝石にひびがはいった。

「痛い」

確かにそう聞こえた。雪斗の声で。

「ごめん、なり」

俺はひび割れてかけたところに詰め物をした。

「ありがと…」

また声が聞こえた。


しばらくして荷物をまとめ終わり、家族に挨拶をして、また部屋に戻ると、ひび割れが大きくなっていた。

宝石の隙間から肌の色が見えた。

「…!」

俺は慎重にひび割れたところから宝石を剥がしていく。

最初は「痛い」とか「やめて」とか聞こえたが

「我慢しんしゃい」

その一点張りだった。

最後のほうは雪斗は何も喋らなかった。

全部剥がし終わると、あの頃から何も変わっていない雪斗がいた。

俺は優しく抱きしめた。

雪斗は眠っていた。

俺は荷物を持ち、雪斗を抱き上げて家を出た。


人気のない公園に来た。

俺はそっと雪斗をベンチに座らせる。

「ん……」

雪斗が目を覚ました。

「あれ…ここは…?」

俺は強く雪斗を抱きしめた。

「仁王?どうしたの?」

「寂しかったぜよ」

「ごめんね、僕も寂しかった」

雪斗はそう言って俺の頭を撫でる。

「雪斗、俺旅に出るんじゃ。」

「え…?」

「お前さんも、一緒に行くか?」

「いいの…?邪魔になるだけだよ…?」

「俺は一緒に行きたいのぅ」

「行きたい!!」

「じゃあ行く前にお前さんの家に行くぜよ」

「うん!」

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