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雪斗が宝石になってから何年も経った。
俺は旅に出るため荷物をまとめていた。その時、宝石の上に荷物を落としてしまい、宝石にひびがはいった。
「痛い」
確かにそう聞こえた。雪斗の声で。
「ごめん、なり」
俺はひび割れてかけたところに詰め物をした。
「ありがと…」
また声が聞こえた。
しばらくして荷物をまとめ終わり、家族に挨拶をして、また部屋に戻ると、ひび割れが大きくなっていた。
宝石の隙間から肌の色が見えた。
「…!」
俺は慎重にひび割れたところから宝石を剥がしていく。
最初は「痛い」とか「やめて」とか聞こえたが
「我慢しんしゃい」
その一点張りだった。
最後のほうは雪斗は何も喋らなかった。
全部剥がし終わると、あの頃から何も変わっていない雪斗がいた。
俺は優しく抱きしめた。
雪斗は眠っていた。
俺は荷物を持ち、雪斗を抱き上げて家を出た。
人気のない公園に来た。
俺はそっと雪斗をベンチに座らせる。
「ん……」
雪斗が目を覚ました。
「あれ…ここは…?」
俺は強く雪斗を抱きしめた。
「仁王?どうしたの?」
「寂しかったぜよ」
「ごめんね、僕も寂しかった」
雪斗はそう言って俺の頭を撫でる。
「雪斗、俺旅に出るんじゃ。」
「え…?」
「お前さんも、一緒に行くか?」
「いいの…?邪魔になるだけだよ…?」
「俺は一緒に行きたいのぅ」
「行きたい!!」
「じゃあ行く前にお前さんの家に行くぜよ」
「うん!」