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目を覚ますとそこはあのショッピングモールだった。俺は立ち上がり周りを見る。ここは男子トイレだということが分かった。
俺は少し進みトイレにある鏡で自分を見た。前田蓮だ。成田彰でもカイセイでもない。現実へ戻ったということはきっとゾンビウイルスを消すことができたということ!俺はすぐに男子トイレを出て友人を探すことにした。男子トイレから出るとそこはショッピングモールとは思えない光景だった。人っ子一人おらず辺りの店は壊されていた。ゾンビウイルスを消したはず。俺はひたすらに走り回った。だが光景は変わらない。いくら走ったって人はいないしゾンビすらいない。いつの間にか俺の目には大粒の涙が溢れてきていた。なぜ。なぜ。人っ子一人すらいない。俺はゾンビウイルスを……。俺はその場で膝をついた。溢れてきていた涙は頬を伝い首元まで来ていた。俺はいままでの行動を思い出す。成田彰になってゾンビウイルスの実験を行う。その際一人がゾンビウイルスに感染し俺が殺した。その後妻と子供を殺し成田彰からカイセイに変わった。カイセイでは研究所に侵入しゾンビウイルスを消そうと…そうだ俺は……。今さながら俺はそこで殺されたことを思い出した。意識が薄れゆく中あいつは確かこう言った。
「極悪人は悲劇へ戻れ」
極悪人…きっと俺のことなのだろう。俺はどこかで道を踏み外した。俺は極悪人だ。ふと後ろを振り向くとそこにはゾンビがいた。ゾンビは俺めがけて走ってきていた。だが俺は逃げなかった。俺は罪を償う。だから殺される。その後まもなく俺は背中をゾンビに引っかかれた。1分もしないうちに体は緑へ腐敗が進み言葉が話せなくなった。俺はゾンビになっても人間を襲おうとは思わなかった。逆。殺されようと思った。
「あそこにゾンビ!」
「殺れ!殺れ!」
その声に聞き覚えがあった。俺は声のする方を向く。そこにいたのは柳川葵と梶原虹輝。俺の大親友だ。ゾンビになった俺のことを前田蓮とはきっと認識しない。ただのゾンビだと。俺は小刀で頭を刺された。俺はすぐにその場で倒れた。大親友に命を絶たれ良かった。だがまたきっと生まれ変わる。次は必ずゾンビウイルスを抹消する。そして友人と思い出を作る。その野望は変わらない。どんな手を使おうとも。