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ブブブブブブ
スマホがなった。
スマホには、【酒井妃織】の表示が。なんだひおりかと電話に出る。
「もしもし?どうしたの?」
「出てくれた、良かった」
ひおりの事を思い出すと、齋藤くんの言葉が蘇った。ひおりが殺される?これは直接聞いてはいけないよな、
「あのさ、今から送る住所に来てくれない?」
なにかに脅されているような声でひおりが言ってきた。
「うん。わかった。」
後程送られてきた住所を調べると、山奥にある一軒家。一人で行くなんて怖すぎる。本当だったら関わりたくない人種だったけど。たくさんひおりにはお世話になった。恩を仇で返す訳には行かない。せめて、仲間を連れて行きたかった。齋藤くんはひおりに何をしでかすか分からない。お母さんも頼れない。そうだあの怪しい男。でも危ないか、犯人ではないというのが分かっているから、なんなんだろう。でも、すぐそこで私を見てメモしている怪しい男。頼るしか無いか、
「あの!ちょっと手伝ってくれませんか?」
「え、あ、すみません。えっと、分かりました、?」
案外大丈夫な男だと判断した。その男の車に乗せてもらい、目的地へと向かった。内心あれだけで判断してしまったことを後悔して、変な場所へ連れていかれないかビクビクしていたけれど、きちんと目的地まで連れて行ってくれて助かった。
ガチャ
「あ、来たんだね。イノウエ様来ましたよ。」
イノウエ様?誰だ、死んだ私の苗字と同じようだが、
「来たのね。いらっしゃい」
手を強引に引かれ、抵抗する間もなく中へ引き連れられた。
「単刀直入に言います。私はあなたのお母さん。ごめんね、顔を出さずにいつも1000円札だけ置いて。」
目を見開いた。信じられない、私のお母さん?これが、違うよだって私の最後の記憶にあるお母さんはもっと綺麗で、もっと綺麗で、冷たくて、背筋が凍るほど“完璧”だった。
目の前のこの人は、ボサボサの髪に深く刻まれたクマ、そして怯えるような目で私を見ていた。
母親?こんなに弱そうな人が?あの冷酷で、愛情の“あ”の字もなかった女が?
私の声は、知らず知らずのうちに震えていた。
「信じられないでしょう。でもコレが今の私なの。あなたが、’ひらり”が、壊れた日。あの時から私はあなたを守ることだけを考えて生きてきたの。」
「、、嘘、でしょ」
ひらり、?誰それ、私の名前は、、、なんだっけ。手が震える。その時、幼稚園の頃の思い出が蘇ってきた。
「かげこ、?どうしたのその傷。」
「あ、ひらり。どうってことないさ!ほらほらいっしょかえろ!」
「だいじょばない!誰にやられた?倍返ししてくるから」
「大丈夫だよ、」
そうだ。影子と私は双子。同じ人なんかじゃない。やっと確信できた。私は影子じゃないんだ。中学の時。影子はいじめを受けてた。私はそれをいつも守って、だから私も、影子も、どっちも影子って呼ばれてた。そこからだ、私が自分の本当の名前を思い出せなかったのは。影子はもう死んじゃったけど。
「私、ひらり?私、影子じゃなくて、天舞だよね?」
泣き崩れるお母さん。本物かは分からない。でも、そこにいるお母さんは、なんだか懐かしい感じがする。見た目もガラッと変わったのに。
「そうだよ、あなたは、影子じゃなくて井上天舞。笑顔が可愛いお節介な女の子。」
全部全部思い出した。ありがとうひおり。思い出す手助けをしてくれて。