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桃Side
今日は珍しく関東組揃ってすちの家で作業。
「あー…」
なんでこここうなってんの…?最悪…
自分のミスに気づいて気分が落ち込む。
トントン、と肩をたたかれて振り返ると微笑むすちの姿が。
「一回休憩しない?」
「うん……あ、」
気づいた時にはまた、爪がボロボロになっていた。
「…俺、また」
きっとさっきイライラしたせいだろう。
昔から、イライラしたり不安になったりすると無意識に爪を噛んだり手を引っ掻いたりする癖があった。
最初メンバーには隠していたのだが、何回か会っているうちに当たり前にバレた。
俺の自傷癖を直すため、自傷してしまっている時は声をかけてくれる。
でもなかなか治らないのが現状で。
現に今も爪を噛んでしまって、さらに手がボロボロになった。
「らんらん、はいココアどうぞ」
「ありがと…」
なんで治らないんだろう。
「らーん、大丈夫よ」
「治そう治そうって焦って余計にストレスになっとるけぇ、一回落ち着こ。」
「ちょっとずつ治してこうや」
「うん…」
なっちゃんの言葉とココアの甘さで、少し心が軽くなった。
赤Side
『大丈夫』『ちょっとずつ治そう』
そんな言葉をかけたのが数週間前。
ライブも近づき、今日はメンバー揃っての打ち合わせ。最近は特に集まることも増えた。
ライブに向けてのエンジンがかかってきたというところだが、 らんの手を見れば、自傷癖が悪化しているのは明らかで。
でもライブ前で忙しい中、身を削って頑張ってくれているらんに、誰も何も言えなかった。
緊張しいならんのことだ、不安もあるだろう。
休憩中。
水を買って会議室に戻れば、らんが一人でパソコンに向かっていた。
ちょっと休まん?と声をかけようとして、
「らんっ…手、」
「ん…?あ…ッ 」
血が出ていた。
深い傷にならないように、と短く切られた爪で血が出るほど傷つけてしまったとは。
ちょうど帰ってきたみことも事態に気づいたようで、すぐにかばんから絆創膏を取り出した。
「らんらん絆創膏貼ろ?手ぇだせる?」
俯いたまま動かないらん。
「らん…?」
顔をのぞき込むと、瞳から涙が溢れ出した。
血が流れる手の上に、涙も流れていく。
「…なん、でッ」
「やめたいのに…っ」
「らん…っ」
背中をさすってやることしかできない自分が情けない。
みことが帰ってきたほかメンに事情を話している姿が見えた。
メンバーも、苦しそうな顔をしている。
リーダーが、大事なメンバーが、友達が、こんなに苦しんでいるのに。
俺達にできることはないのだろうか。
「…最近自傷する頻度が増えてて、」
俺等が思っていた通り、自傷癖の悪化には気付いていたらしい。
ライブでは手も見えてしまうから…
なんとかしたいと焦って焦って。
そんなときにメンバーの前で、目に見えて大きく傷つけてしまったことがかなりのショックだったようだ。
「自分でも、びっくりしちゃって」
「こんなになるの、久しぶりで」
はは、と小さく笑うらん。
「迷惑かけて、ごめん。」
「迷惑なんかじゃないからっ」
「無理して笑うなよ…ッ」
泣きかけた顔を隠すように、無理やりらんに抱きついた。
「なんでお前が泣いてんだよw」
そう言ういるまだって、泣きそうなくせに。
その後すぐに手当をして、対策を話し合った。
手袋をしたらどうか?
ネイルをしてみたらどうか?
そもそもストレスや不安を小さくしなければ…
というわけでまずはリーダーをめいいっぱい甘やかすことにした。