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今日も、何も無い。
何も無い、というか、嬉しいことや、悲しいことがない。
僕は大人しく誰もいない図書室で1人読書をしている。
「あっ!それ!私におすすめしてくれた本?」
誰もいないはずの図書室に、ソプラノ声が響く。
は、?
聞き覚えのありすぎる声。でも、この世には、いない、いるはずのない声、
「あれー?おーい!凛(りん)?聞こえてるー?」
僕の隣には、蒼(あお)がいる。
なん、で、?
蒼は3年前に、引っ越して、その途中に亡くなった。
僕は、その1週間後に父の転勤が決まり、引っ越したが、
てか、待て、なんで、ここにいる、?
「なんで、君が、」
僕の声は、震えて、かすれて、情けない声を出しているだろう。
それはそうだ。だって、ここにはいるはずのない人なんだから、
「んー、なんでなんだろうね、なぜか、3年前から成仏が出来ないんだよ、」
うーん、と唸っている蒼。
「いや、待て!成仏出来ないって、」
どういう意味だ、?
僕には見えるということは、僕が関係している、?
「そーなのかなぁ、」
まるで、心の声を読んでいるかのような反応をした。
「心の声読めるみたいだね、ってことは、天才になった?!」
「そんな訳ないだろう。」
「すぐ否定しなくてもいいじゃん、」
眉をさげ、悲しそうな顔をする蒼。
「ってことは、未練があるのか?」
「多分。」
なんだろう、こいつの未練、か、くだらないことだとは思うが、
「なっ!ちょっとー!」
あ、心の声読めるの忘れていた、
でも、こいつが成仏出来ないのは嫌だな、
「よし、今日の放課後、お前の未練を探しに行くぞ。」
「ってことは、デート?!」
あからさまに嬉しそうに反応する。
「まあな。」
一応、蒼と僕は付き合っている。
今は、分からないが、
「付き合ってるよっ!」
こいつが、付き合っていると言ったら、付き合っているのかもな。
じゃあ、放課後、入口前で待っていろ。
もうすぐ昼休みが終わる。
絶対、今日中にこいつの未練を見つけてやる。