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4件
ほのぼの部門もありがとうございます😭✨ 🐤くんがツッコむところとか、たまに照れちゃうところとか すごく面白かったです☺️💞本当に3つも参加ありがとうございます🥲🫶🏻
超かわいい...尊い...
てん様のコンテスト作品です!
ほのぼの部門です!
途中で赤くんが口悪いです…
あと桃くんの名前がないこではなく、ない、になってますんで、そこは気にしないでください。
「起きるだけでも尊いのはなぜ?」
赤視点
「……おい、起きろ」
ぼんやりした朝。
同棲して半年、慣れきった1Kの部屋に響く俺の声。
ベッドに突っ伏したまま動かないないの背中を、軽く蹴る。
「……ぅるせぇ、まだ……寝る」
「講義、10時からだろ。あと20分だぞ」
「うるっせ……」
「マジで起きろ。俺もオンライン配信準備あるんだよ」
「やれよ一人で……俺は寝てる」
「お前も今日ゲリラ配信やるって言ってたろが」
「言っただけだし……」
「責任持てバカ」
ないは、布団にくるまったままゴロゴロ転がる。
どっちに転がっても部屋の壁に当たる狭さで、ドン、ドン、と小さな音がする。
「痛ぇ」
「自業自得だろ」
「……りうらが蹴るからだし」
「蹴られないように起きろや」
「お前DV彼氏?」
「は?」
「録音しとけばよかった。これ証拠になる」
「お前が投稿するなら俺が先に晒すからな」
「俺のこと愛してるって言った音声?」
「お前それ使うなって言っただろ!!」
「えへへ……」
ないが布団からちょっと顔を出して、ニヤニヤ笑ってやがる。
「マジでうざい」
「えー?愛してるって言ったくせに〜」
「その顔やめろキモい」
「ほら怒った〜。でも俺のこと好きなんでしょ?」
「うるせえ!!」
俺は布団をはぎ取る。
中から半袖のTシャツ一枚で丸まってたないが、急に寒そうに身震いした。
「さむっ!!」
「起きろ」
「……りうら、抱っこして」
「やだ」
「寒い……」
「だから起きろって」
「俺を起こすなら温めろよ」
「……」
「ほら、抱っこ」
「うぜぇ……」
「うぜぇって言いながら腕広げるの可愛い」
「殺すぞ」
でも結局、ないを引っ張り起こして、布団ごとぐしゃっと抱え込む。
「ほら。起きたらすぐ顔洗ってこい」
「ぬくい……」
「寝るな!!!」
2
結局、引きずって洗面所まで連れていった。
ないは眠そうに歯ブラシを咥えながら鏡を見ている。
「……俺、髪ボサボサ」
「いつもだろ」
「お前もだぞ」
「俺はちゃんと直す」
「ちょっと手伝え」
「……」
「髪、やって」
「お前自分でやれよ」
「無理」
「はあ……」
俺はないの頭を掴んで、ボサボサの髪を濡らして整える。
「イテッ、優しく」
「じっとしろ」
「彼女かよ」
「彼氏だよ」
「お、おお……」
「何で照れてんだよキモい」
「なんか、そう言われると……リアルだな……」
「今更だろ。同棲してんだぞ」
「……」
ないが歯ブラシを咥えたまま赤くなる。
「バカ、口閉じろ泡飛ぶ」
「んぐ……」
「だせえ」
「……お前の彼氏だし?」
「はいはい、口ゆすげ」
「おう」
結局全部世話してやった。
俺がタオル渡すと、ないは小さく「ありがと」って言って受け取る。
こういうところだけ素直なの、ずるい。
3
ようやくリビングに戻って、コンロの前に立つ。
狭いワンルームのキッチンスペース。
俺は冷蔵庫から卵を取り出した。
「何作んの?」
「卵焼き」
「それだけ?」
「ご飯チンしろ。味噌汁のインスタントもあるだろ」
「りうらって主夫?」
「俺がやらないとお前飢え死にするだろ」
「まあな」
「認めんなよ」
「りうら、俺のこと一生養ってくれ」
「無理だバカ」
「えー。お前が食わしてくれるって約束したじゃん」
「してねえよ」
「『俺が面倒みてやる』って言った」
「それは同棲始めるときにお前が生活力ゼロだから言ったんだろ」
「じゃあ一生面倒みて」
「……」
「な?」
ないがにやっと笑う。
「……あーもう、食えなくなったら俺が食わせてやるよ」
「やった」
「でもその代わり、歌い手活動も大学もサボんな」
「へいへい」
「お前ファンにバレたら炎上すっぞ」
「彼氏が生活管理してます、って?」
「怖いだろ」
「可愛いって言われる」
「どんなファン層だよ」
「りうらも可愛いから大丈夫」
「俺は可愛くねえ」
「可愛いって言われてスクショされてた」
「うるせえ」
「俺もされた」
「お前はやる気出せ」
「やだ」
「殺す」
「俺のこと好きなのに〜」
「好きだからムカつくんだよ」
「ふふふ」
卵を巻きながら、チラッと横目で笑うないを見る。
こいつ、本当に面倒くさい。
でもまあ、仕方ない。
俺の彼氏だし。
4
朝飯は結局、白米、卵焼き、インスタント味噌汁だけ。
質素だけど、まあ大学生には十分だ。
「ほら、食え」
「いただきます」
「もっと感謝しろ」
「ありがとー」
「心がこもってねえ」
「ありがと。愛してる」
「……気色悪い」
「りうらも言えよ」
「は?」
「俺のこと好きって言え」
「やだ」
「言え」
「言わねえ」
「言え!!」
「俺の作った飯食いたくないのか?」
「……」
「言えよ」
「……好き」
「ははは、無理やり言わせてやった」
「マジでお前、性格悪い」
「俺、りうらにだけは素直なんだよ」
「どこがだよ」
「……言わせたのはお前じゃん」
「……あーもう、食えバカ」
「ありがと」
5
食器を洗って片付けるのは結局俺。
ないはソファに寝転がってスマホをいじってる。
「おい。出かける準備しろ」
「もうちょい」
「何してんだよ」
「今日のツイート下書き」
「真面目か」
「えらいだろ」
「えらい」
「もっと褒めて」
「えらい。天才。イケメン」
「チープ」
「うるせえ。じゃあ早く風呂入って着替えろ」
「一緒に入る?」
「入らねえ」
「何で?」
「落ち着かない」
「えー。俺のことエロい目で見るくせに」
「見ねえよ!!」
「見ろよ」
「バカか」
「見ないなら風呂場で歌う」
「やめろ配信に入るからマイク拾う」
「いいじゃん。即興コラボ」
「いらん!!」
「へへへ」
ないは笑いながら立ち上がって、だらしなく伸びをした。
Tシャツが少しめくれて、腹が見える。
「……だらしねえな」
「お?見た?」
「見てねえ」
「嘘つけ。エロい目で見た」
「ぶっ殺す」
「きゃーDV彼氏〜」
「うるせえ!!早く風呂入れ!!」
「はーい」
6
ないがシャワーを浴びる音を聞きながら、俺はマイクをセットする。
歌い手活動。
同棲してるから、お互いに生活音が入らないよう時間帯をずらしたりする工夫が必要だ。
でも、ないはだいたい俺に合わせてくれる。
文句を言いながらも、結局調整してくれる。
だから俺も、ないの配信スケジュールを把握して、できるだけ被らないようにする。
「……あいつ、ああ見えて真面目だし」
俺はちょっとだけ笑ってしまう。
ソファの上には、ないのスマホとイヤホンが放り出されてる。
画面を見ると、配信用の歌詞メモが開きっぱなしになってた。
「……」
いつも、適当そうに見えて、ちゃんと歌詞を考えてる。
ファンのことも、音楽のことも。
そして俺のことも。
「……」
タオル巻いて出てきたないと目が合った。
「ん、何ニヤついてんの?」
「ニヤついてねえよ」
「キモ」
「うるせえ」
「でもそんなりうらも好き」
「……」
「なに照れてんだよ」
「……早く着替えろバカ」
7
ようやく出かける時間になった。
玄関で靴を履きながら、ないが小声で言う。
「なあ」
「ん?」
「今日、帰りにコンビニ寄ろうぜ」
「何買うんだよ」
「アイス。お揃いの」
「……」
「いいだろ?」
「バカか」
「じゃあ、いい?」
「……わかったよ」
「やった」
「……」
「あと今日、帰りにハグしろ」
「注文多いな」
「当たり前だろ、彼氏なんだから」
「……」
「なあ」
「……あーもう。わかった」
「好き」
「うるせえ」
「俺もお前も、だいすき」
「……知ってる」
【第2話:コンビニ行くだけで事件】
(約4000字超のコメディ回)
1
「なあ、りうら。なに味がいい?」
「だから俺は抹茶って言ってるだろ」
「んー……チョコミントにしてよ」
「なんでだよ。お前がチョコミント好きなだけだろ」
「だって、おそろいで買おうって言ったじゃん」
「俺は抹茶が食いたいんだよ」
「ケンカ……?」
「ケンカじゃねえ」
夜9時過ぎ。
夕飯を済ませてふたりでコンビニに来ただけなのに、入口前でもう5分揉めてる。
「じゃあさ、お互いに選び合おうぜ。相手のために」
「俺がないのためにチョコミント、ないが俺のために抹茶買うってこと?」
「そうそう!」
「食いたくねえよ!!」
「えー!食えよー!」
「お前だって抹茶嫌いだろ!!」
「りうらの味がするかもしれんし?」
「バカか!俺は抹茶じゃねえ!!」
「でも好きなもの食べてる人って、その味になるって言うじゃん?」
「誰が言ってたんだよその理論」
「俺」
「信用ゼロだわ」
ないは「えー」とか言いながら、いつもの調子で店内に入っていく。
俺も仕方なく後を追う。
こうやって、毎回だいたい、だいたい俺が折れる。
2
「ほら、これチョコミント」
「お前のじゃん」
「で、これりうらに。ピスタチオ味」
「は?抹茶は?」
「売ってなかった」
「あるじゃねえか!ほら、ここに!」
「えっほんまや……」
「エセ関西弁使うな」
「ちょっと関西に寄せただけじゃん。トレンド意識だよトレンド」
「誰の?」
「俺の」
「つよいな……」
ないがふざけて買い物カゴにカップラーメンを3つ入れてくる。
「深夜用」
「何用だよ。夜中にラーメン食うな太る」
「俺は太ってもいい」
「よくねえよ。顔丸くなったらファン泣くぞ」
「えっ、じゃあ痩せたらりうら泣く?」
「泣かねえよ」
「え〜泣いてくれよ」
「うるせえ、戻せラーメン」
「……はい」
「素直か」
「彼氏の前では素直です」
「かわいくないな」
「でも顔はかわいいだろ?」
「それは認める」
「照れんなよ?」
「してねえ」
「照れんなよぉ〜?」
「しつこい!!」
店員さんに苦笑いされた。
3
家に帰って、部屋着に着替えて、
テレビをつけながらアイスを食べる。
「うま」
「チョコミントうまい……」
「お前、それ俺のやつじゃね?」
「え?」
「俺の抹茶、ないんだけど」
「え、食べた」
「は?」
「間違えて……」
「はあぁぁぁ!?!?」
「俺のもあげるから許して」
「お前のチョコミントだろが!!」
「えー、でも一口食ったら慣れるって」
「俺はミント歯磨き粉って思ってる派なんだよ!!」
「ひどい偏見だな!訴訟だ!」
「じゃあ食うな!」
「……じゃあ、あーんする?」
「は?」
「ほら、りうらの口に、あーん。ミント、嫌いじゃなくなるよ?」
「……」
「ほら。はい、あーん」
「……っくそ、なんだよその顔……」
「可愛い顔って言って?」
「可愛い顔……してんじゃねえよ」
「デレてんじゃーん!!!」
「ちげーよ!!」
ツッコんだ勢いで、スプーンを持った手を掴んでしまって、ふたりでフリーズ。
「……えっ、えっ、今なんか、恋の展開じゃね?」
「ねーよ!!アイス落ちたわ!!」
「うわああ俺のチョコミントおお!!」
「ざまあ!!!」
4
「結局アイス2つとも溶けて終了……」
「俺らほんと何してんの」
「付き合ってるだけで尊いからいいよ」
「バカ」
「なあ、りうら」
「ん」
「俺たち、いつまでこんな感じでいられるかな?」
「突然どうした」
「いや、ちょっと思っただけ」
ないがテレビのリモコンをぽちぽちしながら、ぽつんとつぶやく。
「もしさ、どっちかが忙しくなって、あんまり一緒にいられなくなったら、寂しいなーって」
「……」
「りうら、俺のこと飽きたりしない?」
「飽きねえよ。ていうか飽きる要素がねえ」
「ほんと?」
「むしろ毎日何かしら新鮮に腹立つ」
「それって褒めてる?」
「褒めてる。飽きないって意味でな」
「ふふ……」
「俺の方こそ、お前がどっかいかねえか心配だわ」
「俺、りうらいないとダメだから」
「知ってる」
「ちょっとドヤるなよ」
「ドヤってねえよ。自慢してんだよ」
「……あーもー好き」
「知ってるって」
5
テレビも消して、寝る準備。
ベッドに入ると、ないがぴとっと俺にくっついてくる。
「寒い」
「お前布団蹴ってんじゃん」
「だって、りうらあったかいし」
「もう……」
「……なあ」
「ん?」
「チョコミント、明日また買いに行こうぜ」
「抹茶買わせろ」
「いいよ、お揃いで」
「お前……妥協って言葉覚えたんか……」
「好きな人と食うアイスは、何味でもうまいって、今日わかった」
「……は?」
「えへへ」
「……まあ、今日のお前はちょっとだけ褒めてやるよ」
「ちょっとだけ?」
「ちょっとだけ」
「じゃあ今日だけ、抱きついて寝ていい?」
「いつもしてんじゃん」
「え、気づいてた?」
「バカ。わざと寝たふりしてんだよ」
「うわ、照れる……!」
「はいはい、寝るぞ」
「……りうら」
「ん」
「好き」
「俺も」
【第3話:記念日だっけ?だっけ。】
(約4000字超コメディ+ちょっとだけ感動風味)
1
「なあ、りうら」
「……ん」
ソファでYouTubeを漁っていたら、ないがいきなり隣に座ってきた。
今日は日曜、講義もバイトも配信もオフ。
ゆるゆるした時間に、ないがまた変な顔をしてる。
「お前今日、何の日かわかる?」
「……は?」
「ほらほら、ヒント。めっちゃ大事」
「給料日?」
「は?」
「光熱費引き落とし?」
「生活感やめろ」
「じゃあ何だよ」
「……俺と、りうらが、付き合い始めた日」
「……」
「忘れてた?」
「……」
「忘れてただろ」
「……」
「なあ!!」
「うるせえ!!」
「えええええええええええ!!!」
ないが全力でソファをバンバン叩く。
俺は頭を抱える。
「ごめん……」
「最低!!」
「ごめんって」
「心こもってない!!」
「じゃあ、今からお祝いする」
「……」
「するから怒んな」
「今から?」
「今から」
「え、ほんとに?」
「……」
ないの目がキラッと輝く。
「ちょろ」
「バカ、今俺の心読んだだろ」
「読める。りうら単細胞だから」
「殺すぞ」
「殺す前に祝って」
「……」
「やったーー!!!」
「俺ほんとお前甘やかしてんな」
「知ってる」
2
「で、何する?」
「え?」
「お祝いって」
「……何がいいんだよ」
「俺は、ケーキ」
「はいはい」
「あとジュース」
「子供か」
「あと、ハグ」
「いつもしてんだろ」
「今日は特別ハグ」
「どう違うんだよ」
「わからん」
「わかんねえのかよ」
「あと、俺の言うこと1個聞く権利」
「それ怖いな」
「いいじゃん。記念日だし」
「……」
「いい?」
「……わかったよ」
「やったーーーーー!!」
「うるせえ近所迷惑だ」
「りうらが全部買ってきて」
「なんで俺だよ」
「記念日だもん」
「お前も来い」
「えー、俺パジャマだし」
「着替えろ」
「やだ」
「じゃあ留守番しろ」
「やだ」
「どっちだよ」
「……りうらがいないと寂しい」
「……」
「一緒に行く」
「最初からそう言えよ」
「えへへ」
3
着替えて、夜のスーパーへ。
日曜の夜は割引シールが多い。
「ケーキ、割引になってる」
「買え」
「ジュースも2本100円」
「買え」
「さすが貧乏カップル」
「うるせえ。学生なんだから当たり前だろ」
「こういうの、嫌?」
「別に」
「りうら、金持ちのイメージあったのに」
「は?」
「冷静で、計画性あって、将来設計完璧みたいな」
「幻想だわ」
「でも俺、そういうとこ、ちょっと好き」
「……」
「言えよ」
「……俺もだよ」
「声ちっさ」
「殺す」
「聞こえたからいいや」
4
レジを出たら、ないが不意に俺の袖を引っ張る。
「……なあ」
「ん?」
「ありがとう」
「は?」
「今日、忘れてたけど、思い出してくれて」
「……」
「俺、記念日とかあんま気にしないけど」
「めっちゃ気にするくせに」
「うるさい、でもさ。こうやって一緒にいてくれるのが嬉しい」
「……」
「りうら、彼氏で良かった」
「……」
「おーい?」
「……」
「りうら?」
「……知るか」
「え、ちょっと、無視?」
「うるせえ。顔見んな」
「照れてる?」
「見んな言ってんだろ!!」
「顔真っ赤」
「黙れ!!!」
「俺も好きだよーーーーー」
「やめろ!!周り見るな!!」
「おーいみんなー、俺たちカップルでーす!!」
「死ね!!」
走って逃げるないを、仕方なく追いかけた。
5
帰宅。
ケーキを並べて、缶ジュースをプシュッと開ける。
ささやかな記念日パーティー。
「乾杯」
「……乾杯」
「なーんか地味だな」
「じゃあ盛り上げろよ」
「愛の言葉、言って」
「……」
「ほら、今日の特別権利」
「……」
「言え」
「……ない」
「はい」
「……好き」
「もう一回」
「好きだって」
「もう一回」
「殺すぞ」
「もっと甘く」
「無理」
「彼氏だろ!!」
「お前が言えよ」
「……好き。大好き。愛してる」
「……」
「りうらも」
「……俺も愛してる」
「ふふふ、やっと言った」
「言わされたんだろが」
「でも嬉しい」
「……」
「なあ、りうら」
「なんだよ」
「これからもよろしく」
「……」
「絶対一緒にいような」
「当たり前だろ」
「……んふふ、だいすき」
「知ってるよ」
6
ケーキを食い終わったあとは、洗い物を押しつけ合ってケンカした。
ないが拗ねて、俺が仕方なく洗って、
その間にないはスマホでファンへのツイート下書きを書いてた。
「お前、俺のこと書くなよ」
「書かないよ。『大切な人にお祝いしてもらいました』ってだけ」
「……」
「いいだろ?」
「……うるせえ」
「愛してる」
「……」
「ほら言え」
「……俺も」
「えへへ、素直」
「殺すぞ」
「DV彼氏ー」
「だまれ」
「でも好きー」
「……俺も」
7
夜更け。
ベッドに入って、眠いのにくっついてくるない。
「りうらー」
「ん」
「離れるな」
「暑い」
「やだ」
「はあ……」
「今日、幸せだった」
「そうかよ」
「りうらも?」
「……うん」
「ちゃんと言え」
「……幸せだった」
「ふふ、良かった」
「……」
「おやすみ」
「……おやすみ」
「大好き」
「……俺も」