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【安曇高校】はただの私立高校ではない。ここは原石が集まる場所だ。この高校のモットーは「将来有望な人材になるであろう原石を磨くこと」だ。一見すれば綺麗事に伺えるが、言い換えれば「ここに入る奴は、まだ世間に届かない道端に転がっている石ころ同然なんだ」と言い聞かせているようなものである。
だからこそ、【聖桜高校】に入れず、安曇高校に格下げされた私は癪で癪で仕方がなかった。「如月キラ」として名を馳せるよりも前。幼馴染と二人で曲を作っていた頃。あの時でも「私はもう日本に影響を及ぼしている1人である」と確信していたし、推薦でしか進学生を募っていない聖桜高校にも、安易に入れると思っていた。
けれど、私には無理だった。結局聖桜高校の推薦は来ず、進学したのは「石ころ」が集まる安曇高校。別に入学してから「こんな学校来なければよかった」と憎んだことは一度もないが、一連の出来事が私の心に傷を与えたのは明確だった。「お前はまだ磨き足りない石ころだ」と突きつけられた私は暗闇に放り投げ出されたように沈んでいった。
聖桜高校は安曇高校の対とも成り得る学校だ。聖桜高校が推薦するのは「既に世間に名を轟かせている人材」である。つまり、「石ころ」ではなく既に磨かれた「宝石」を拾い集めているのだ。宝石として認められなかった私は、何とか「日本最光の高校生」として、K³のメンバーとして。あの姫守谺と並んで名を挙げられるアイドルとして、今は上り詰めたわけだが⋯
それでも、私の心は満たされなかった。「自分が音楽に向いていないのを自覚した」のはつい最近のことだ。どうやら私がソロで発表した曲はどれも反応がいまいちだった。そもそもK³を推してくれているファンたちが大勢居ようとも、その殆どが「日本最愛の高校生」の谺だけを瞳に映していた。私は谺の引き立て役に過ぎないのかもしれない。私はいつだって隣に谺がいなければ⋯昔のように一緒に音楽を楽しんでくれる幼馴染がいなければ、世間は目を向けてくれない。
結局、私はこの世界で一人ぼっちだってこと。