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No side
『、、、案外こーゆーもんなのかな、人殺すのって』
深夜、とあるマンションの一室。
至る所に血が飛び散った寝室に1人佇む血を被った無表情の少女。
その手には血塗れの包丁が握られている。
『よかったね。楽になれたよ』
少女は綺麗な笑顔で目の前の既に息絶えた男の死体に笑いかけた。
『こんな歪んだ世界から』
プルルルルピッ
『、、、なに?』
〈スピリタス、殺ったか?〉
電話口から男の声が響く。
『ん』
〈殺したのならさっさとそこから立ち去れ。死体なら専門の奴向かわせたから〉
『、、、車』
〈行かせた。もうついてる頃だぞ〉
少女は近くの窓から外を覗く。
そこにはリムジンが佇んでいた。
『、、、ベルモット?』
〈車はベルモットのだが人はちげぇ〉
『ふーん』
〈血は気にしなくていい。体のは帰ってから落とせ〉
『ん』
ピッ
トコトコ
リムジンの前には1人の男性が佇んでいた。
少女に気付き顔を上げる。
『、、、迎え?』
「えぇ、ジンから聞いています」
ガチャ
「そこのタオルである程度拭いといてください」
『ん』
バタンブゥゥゥン
車の中に訪れる沈黙。
それを破る幼い声。
『名前』
「バーボンです」
『そ。スピリタス』
「僕は情報屋をしているので何か知りたいことがあったら言ってください」
『ん』
再び訪れる沈黙。
それが数分続き車はとある一軒家に着いた。
『、、、ありがとう』
「それではおやすみなさい」
『おやすみ』
ガチャバタン
『、、、』
少女の足は一向に玄関から動かない。
『、、、もういいよ』
リビングから1人の男が顔を出す。
「お、行った?それにしても軽く拭いてあるとはいえほんっとに血塗れだね」
『だって、中々死なないもん。それに死んだって確信がなかったから』
「脈とか呼吸とか確かめればいいじゃん。はい、タオル。拭けたらお風呂入ってきな」
『ん』
フキフキトコトコヌギヌギ
少女はふと、洗面台の鏡を見る。
そこに写っていたのは血が少し付いているいつも通りの顔色をした無表情の少女の顔があった。
少女は写った顔に手を伸ばす。
『、、、はは、もう手遅れなのかなぁ。人を殺してもこんなに凪いでいるなんて』
そう言って少女の顔は哀しそうに笑った。
『、、、こんな私でもやんなきゃいけないことがあるんだから』
『上がった』
その声を聞き男がキッチンから顔を覗かせた。
そして少女の下着姿を見た男は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「、、、その家の中だと下着しか着ない癖治さない?」
『めんどくさい』
「そっかぁ」
少女は無表情なのに対して男は困ったように笑った。
『ご飯は?』
「生姜焼き」
その言葉を聞いた瞬間少女の顔は明るくなった。
『!お肉!✨』
「いっぱい焼いたからいっぱい食べてね」
『ん!』
「よし」
コト
「『いただきます』」
パクパク
『んー!おいしぃ』
「そりゃよかった」
「『ご馳走様でした』」
「お皿洗っとくから歯磨いてまってて」
『ん』
「ごめん、またせた?」
『んーん。ん』
少女は両手を差し出す。
「はいはい、ぎゅー」
男は少女に抱きつきベットに雪崩れ込んだ。
「おやすみ」
『、おやすみ』
そして2人は目を閉じた。