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セカキク短編集

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セカキク短編集

24 - ワールドワイドな昔話

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2024年12月21日

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昔々、あるところに菊という名のおじいさんと王耀という名のおばあさんがいました。

「おばあさん、私は山へ行ってきますね」

「お、おば………!?我はお兄───」

「おばあさん???」

「………仕方ないあるね……………」

そうして、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯をしに行きました。

おばあさんが川で洗濯をしていると、どんぶらこ〜どんぶらこ〜、と桃が流れてきました。

「何あるかこれ…………まあ食後に丁度いいあるね、家に持って帰るある」

そうしておばあさんが家に帰ると、おじいさんは台所で塩鮭を焼いていました。出来る男です。

「あらおばあさ…………、、、その桃は……?」

「あいやぁ、川に流れてたある」

「えぇ…………」

とりあえず塩鮭を食しました。




「この桃どうしましょう…………?」

「我の太極拳ぶちかますあるよ!応援してある」

「は、はい……!

……おばあさん頑張ってください…!おばあさんの持ち前の太極拳なら切れますよー…!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉーー!!!」

スパ、という音とともにパッカーンと桃が割れました。

「流石ですねおばあさん…!」

「このくらい朝飯前あるよー!!」

ドヤ顔を披露しているおばあさんの横で、桃の方から何やら鳴き声が聞こえます。

「「?」」

頭に疑問を浮かべた2人は、切って真っ二つになった桃の間を見ると、そこには金髪の赤ん坊がいました。

「赤ちゃん………!?」

「何でそうなるあるか………!?!?我捨てて──」

「と、とにかく育てましょう!」

「は………!?!?!?」

良心が痛んだおじいさんは、必死に制止するおばあさんを振り切ってアーサーと名付けた赤ん坊を育てました。

アーサーは瞬く間にぐんぐん成長し、緑色の瞳と無駄に多い眉毛を持ち合わせた紳士(自称)と化しました。

しかし、紳士なのはおじいさんに対してのみでした(紳士のあまりおじいさんと呼ばずに菊と本名で呼んでいるところなど)。

おばあさんに対しては〝おばあさん〟すら呼ばないほどでした。沢山の要因が考えられますが、おばあさんが制止したことと何か気に食わないというアーサー自身の気持ちの問題でしょう。


ある日。

「な、なななな何あるかこれぇぇぇぇ!?!?」

「どうされたのですか!?」

おばあさんの持っていた紙をのぞき込むと、〝桃から赤子出現!!〟という見出しの下に、アーサーのことが書かれている面積よりも大きく、知らぬ間に撮られていたらしい写真と〝美男子の赤子の親に惚れる人続出〟というような文章がつらつらと書かれていました。

「な、ななななんですかこれ……!?!?」

「だから言っ────」

「菊」

わざとおばあさんの言葉に被せるようにアーサーが、珍しく真剣な眼差しで呼びました。

「? どうしましたか?」

「俺、今から旅に出るよ」

「旅………!?!?!?!?」

「なんでこのタイミ─────」

「少し一仕事してくる」

「……………分かりました、……何故かは聞かないほうが良さそうですね」

「…………」

「あ、………少し待っていてください」

そう言っておじいさんは台所に向かうと、巾着を手にこちらへ戻ってきました。

「きびだんごです、足しになれば良いのですが……」

「ありがとう菊……! …いってきます」

「お気をつけて」

そうしてアーサーは生まれた家を発ちました。

「やっと邪魔者が消えたあるね……」

「おばあさん!!そんなことを言ってはいけませんよ!」

「……………我の胸の内知らないから言えるある」

「……?????」




「はぁぁぁー……愛しの菊の元を離れちまった……

でも仕方ないよな、菊に惚れたとか言うヤな奴らを成敗するためだしな…………

でも離れたとしても俺にはここ(心)にも菊がいるし、何より菊のつくったきびだんごが………ふふふふふふ…………

待ってろ菊ーーー!!」


その後どうやって惚れた者たちや記事にした者たちを成敗したのか、菊を救ったのかは誰も知りません。

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