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疲れた。
靴箱に入っていた画鋲を十分ほどかけて片付けた俺はようやく教室まで辿り着いた。
しかし、俺に休む暇などなく、いつ書いたのかわからない机の上の落書き、、という名の悪口を雑巾で消し、机の中に入っている大量のゴミを掻き出し、黒板に書いてある俺への悪口を消す。ここまでが朝来てからの流れ。全部やり終えるまでは大体二十分少しはかかる。
早く着いたとはいえ、この労働のせいで相当な時間を無駄にしている。
まあ、今日はこれのおかげで何も考えずに済んだか、などと考えていると、続々とクラスメイトが教室に入ってきた。
もうそんな時間か、と思いながら自分の気配を消す。
教室では俺の存在を無にし、空気と化す。正確には空気にされている、だけど。
「またあいつ来てんのかよ」
「懲りないね」
「いじめられたいんかな」
などという陰口は、聞きたくなくても聞こえてくる。
聞こえないようにしようとしても結局無駄なので、本を読むことにした。
本を読み始めて二分。誰か俺を呼んでいる気がして目線を上げる。
「おい!いつまで本読んでんだよ!」
「本なんか読んじゃって頭いい気取りでもしてるわけ?」
「絶対今日も放課後来いよ」
「あ、ちなみに今日は屋上な」
屋上、か。いつもは体育館裏なのに、なぜわざわざ場所を変えるのだろうか。
そろそろ殺されるとか?
「死んで欲しいなら死んでやるっつーの。」
いつのまにか声に出てしまったらしい。
幸い誰にも気づかれることなく、授業開始のチャイムが鳴った。