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『空中要塞 デスカウント』の制御室の中では、黒い軍服と白い手袋と左目にある獣の爪痕と赤い瞳と黒い長髪が特徴的な『ブラック・ダイヤモンド』と赤い鎧と赤い四枚の翼と先端がドリルになっているシッポと黄緑色の瞳が特徴的な少年『本田《ほんだ》 直人《なおと》』が戦っていた。
「……す、すごい……」
グレー(灰色の炎の形態)は二人の戦いを目の当たりにすると、そう呟《つぶや》いた。
「当たり前よ。彼は今、モンスターチルドレンと合体しているのよ? 普通の人間と一緒にしないで」
そう言ったのは『|純潔の救世主《クリアセイバー》』こと『アイ』である。
彼女は白というより銀に近いショートヘアと黒い瞳と白いワイシャツと白いスカートと白い靴下と白い運動靴が特徴的な身長『百三十センチ』の美少女……いや美幼女である。(モンスターチルドレンの生みの親でもある)
「いえ、その……彼が強いのは知っていましたが、私の兄とここまで渡り合えるとは思っていませんでしたから……」
「あなたはバカですか? モンスターチルドレンと戦うということは、あの『五帝龍』と戦うのと同じことなんですよ? そして、その力をものにしているナオト様はそれすらも超えた究極の生命体です。そんな彼と渡り合える者は『アイ』様と『はぐれモンスターチルドレン討伐隊司令』の『オメガ・レジェンド』以外、この世にいません」
彼にピシャリとそう言ったのは、赤いスーツと赤い武装と白髪ロングと水色の瞳が特徴的な美少女……魔導兵器『アリサ』だった。
「なるほど……。しかし、私の兄は強いですよ。相手によって戦闘スタイルを変えられますからね」
この部屋にある制御ユニットを破壊すれば、『ビッグボード国』にいるモンスター化した人たちを元に戻すことができる。
しかし、そのためには『|漆黒の裏組織《アポカリプス》』最強の幹部である『ブラック・ダイヤモンド』を倒さなければならない。
ナオト(『第二形態』になった副作用で身長が百三十センチになってしまった主人公)は、そのために彼と戦っているのである。
「おい、ブラック」
「なんだ?」
「お前の拳から殺意が伝わってこないのはどうしてだ?」
ナオトは彼の拳を片手で受け止めながら、そう言った。
「そ、それは……」
「なあ、お前はいったい誰の指示でここを守ってるんだ?」
「そ、それは……」
「……はぁ……まあ、そんなことはどうでもいいけどよ。そろそろ手加減するのは、やめてくれないか? 俺はこう見えても今年で二十八歳なんだからよ」
「そ、それは本当か? とてもそうには見えないが」
「訳あって、こんな姿になっちまったんだよ。で、それをどうにかしたくて、この国にやってきたんだよ。まあ、まちはあんな状態だから、それをしようにもできないんだけどな」
「……そうか……しかし、俺はここを守るように言われた。だから、ここを通すわけにはいかない」
その直後、彼の赤い瞳に光が灯《とも》った。
「そうか……。じゃあ、そろそろ俺も本気を出すとしようかな……!」
その直後、ナオトの黄緑色の瞳が一瞬、ピカッと光《ひか》った。
二人は、距離を取ると拳を構えた。
この戦いの勝敗はまだ誰にも分からない……。
しかし、この戦いの結果次第で『ビッグボード国』のこれからが決まることは言うまでもない……。
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!』
二人は床を思い切り蹴《け》ると、前に進み始めた。
挨拶がわりのガトリング……ではなく、挨拶がわりの殴打《おうだ》を顔面にくらわせた後、二人はひたすら相手を殴り始めた。つまり、殴り合いである。
それは秒単位で加速していった。
それは秒単位で威力も増《ま》していった。
それは秒単位で激しさも増《ま》していった。
「それっ!!」
ナオトの一撃が彼のみぞおちにヒットした。
彼は数メートル後ろに下がったが、倒れなかった。
彼は歯を食いしばっていたが、彼の赤い瞳には闘気が漲《みなぎ》っていた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
彼はナオトの顔面に自分の拳を打ち込もうと、高速で接近した。
しかし、ナオトはそれをスレスレで躱《かわ》すと、先端がドリルになっているシッポで彼の脇腹をビンタした。
「くっ……!」
彼は数回、横転してしまったが、まだ戦意を失ってはいなかった。
彼はスッと立ち上がると、両手の掌《てのひら》に集めた黒い闇を彼に向けて、連続で撃《う》ち始めた。
「おいおい、そんなので俺を倒せると思っているのか?」
ナオトはそう言うと、赤い四枚の翼を羽ばたかせた。そして、部屋中を飛び回り始めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
彼はナオトに向けて、それを撃《う》ち続けた。
彼に当たるまで撃《う》ち続けた。
ナオトがそれをくらった時、彼はそれを撃《う》つのをやめた。
「……なあ、お前の実力はこんなものじゃないだろう?」
黒い煙が晴れた直後、ナオトは彼にそう言った。
ナオトの赤い鎧には罅《ひび》一つ入っていなかった。
「俺の実力……か。いいのか? 命の保証はできないぞ?」
「別にそれで構わねえよ。というか、俺は最初からお前の本気を見ずに倒すつもりなんてねえよ」
「そうか……。なら、久しぶりに本気を出すとしよう」
彼はそう言うと、体の中にあるリミッターを外し始めた。
「はぁああああああああああああああああ…………」
彼の体から徐々に溢《あふ》れ出す黒い雷は、次第に彼の体を包み込んでいった……。
「へえ、まだそんなの隠してたのか。これは期待できそうだな」
ナオトは、そう言いながら彼の体が変貌《へんぼう》していくのを空中から見ていた。
「……むんっ! はぁあああああああああああ!!」
彼が天に向かってそう叫ぶと、彼の体は黒と黄色が混じった鎧で包まれた。
その直後、彼の赤い瞳が一瞬、ピカッと光《ひか》った。
「これが……俺の本気だ!」
バチバチと黒い雷が彼の周囲から放たれる。
そんな彼から伝わってくる凄《すさ》まじい量の気迫はナオトの闘争本能を刺激した。
「なるほど。それがお前の本気か。じゃあ、そろそろ降りるか」
ナオトはそう言うと、ゆっくりと降下し始めた。
ナオトが床に足をつけると、彼は拳を構えた。
「へえ、さっきとは大違いだな。自信とやる気に満ち溢《あふ》れてる」
「俺のこの姿を見て、生きて帰れた者はいない。だが、お前になら、この俺を倒すことができるかもしれないぞ?」
「へえ、それは本当か? けど、俺はそんなことどうでもいいんだよ。俺はただ、本気のお前と戦いたいだけだからな……!」
ナオトはそう言うと、床を思い切り蹴《け》って前に進み始めた。
「ふんっ!」
ナオトは、自分の拳を彼の顔面に打ち込んだ。
しかし、その時にはもう、彼はそこにはいなかった。
「……遅い」
「ぐっ……!」
ナオトは、空中で身をよじらせると、自分の背後にいた彼の拳を瞬時に両腕をクロスさせて受け止めた。
しかし、ナオトは部屋の壁まで吹っ飛んでしまった。
「……言っておくが、今の俺は、さっきより格段に強くなっている。だから、手加減していると……すぐに死ぬぞ?」
ナオトは、スッと立ち上がると右腕を回しながら、こう言った。
「うーん、スピードは上がってるけど、パワーはいまいちだな……。もう少し期待してたんだが……まあ、いいか」
本気モードになった俺の攻撃をくらっても、まだ余裕とは……こいつは本当に人間なのか?
「よし、それじゃあ、今度はこっちから行くぞー」
ナオトはそう言うと、両足が少し食い込むくらい床を踏みしめた。
「ん? いったい何を……」
「……『電光石火《ジェットアクセル》』!!」
彼が最後まで言い終わる前に、ナオトは勢いよく前に進み始めていた。
光の如《ごと》く前進するナオトに、彼は驚きを露《あら》わにしていたが、今はそれどころではないと思い、咄嗟《とっさ》に両腕をクロスして彼の拳を受け止めた。
「そおおおおおれっ!!」
「……ぐっ!!」
しかし、ナオトの一撃は彼の想像を遥《はる》かに上回っていた。
それは、彼が部屋の壁に食い込むほどのものであった。
な、何という威力だ……。咄嗟《とっさ》に両腕でガードしていなければ、俺は今頃、死んでいた……。
この少年は……いや、この男は……危険だ……。
ここで殺しておかなければ、組織にとっても世界にとっても脅威《きょうい》になる。
勝てるかどうかは分からないが、せめてこの部屋にある制御ユニットだけは守ってみせる!
「どうやらお前の強さは本物のようだな」
彼はそんなことを言いながら、ゆっくり立ち上がった。
「だろ? だから、早くお前の本気を見せてくれよ。じゃないと、一瞬で終わっちまうぞ?」
「ああ、そうだな……。もう出し惜しみはしない。ただし、死んでも後悔するなよ?」
「ああ、俺はお前と本気で戦えば、それで満足だよ。けど、泣いても喚《わめ》いても制御ユニットは破壊するから覚悟しろよ?」
「ああ、分かった。では、行くぞ。ナオト!!」
「来《こ》い! ブラック!!」
ブラックは、ナオトがそう言うと黒い雷を辺りに放ちながら、前進し始めた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「おっ、いいね……。けど、負けるわけにはいかないから、全力で行くぞ!」
ナオトは彼の黒雷《こくらい》を躱《かわ》しながら、彼のところへ前進し始めた。
そして……。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「はあああああああああああああああああああ!!」
二人の拳が重なり合った。
その直後、二人は再び殴り合いを始めた。
周りに黒雷《こくらい》を飛び散らせながら、彼はナオトを攻撃する。
ナオトは黒影《こくえい》を周りに飛び散らせながら、彼を攻撃する。