テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
32,670
6,332
※Attention
こちらの作品はirxsのnmmn作品となっております
上記単語に見覚えのない方、意味を知らない方は
ブラウザバックをお願いいたします
ご本人様とは全く関係ありません
えー……こちらなんと、
わたしの地雷シチュとなっております😌
そのため内容がひどい可能性がありますが、
みなさま地雷克服頑張りましょうね😊
君は我慢強い性格だ
それは
長所でもあり
短所でもある
あー……でも
仕事に集中しすぎたり
睡眠時間が削れたりで
短所のほうが多いかも
……まぁまぁ、それはさておき
こんなにも我慢強い君なら
これだって、我慢できるよね……?♡
我慢、できるよね……?♡
「ごちそうさまでした」
「ん、皿ちょうだい。俺、片付けとくわ」
「いや、俺も手伝うよ。
まろにばっか任せきりにするの、嫌だし」
なんて、建前。
だって今日は、
久しぶりの休み。
まろと2人でいられる、
久しぶりの休みの日。
少しでも長く、一緒にいたいから。
「そっか。じゃあ俺が皿洗うから、
ないこは拭く係な?」
「はーい」
軽く返事をしながら、ふと思う。
最近、お互い忙しかったな、って。
ありがたいことに、
いろんな企業とコラボさせてもらったり、
ライブもたくさんやらせてもらったり。
そのせいで……いや、
そのおかげって言うべきなんだろうけど。
まろとプライベートで触れ合う時間は、
気づけばかなり減っていた。
仕事では、ずっと隣にいる。
相棒として、同じチームのブレインとして。
でも、それとこれとはやっぱり違う。
例えば、その……夜、とか。
疲れ切って、
どっちかが先に寝落ちしてしまって。
気づけば、もう二週間くらい。
まともに触れ合えてない。
……なんか、禁欲週間もどきになってる。
「……」
けど、所詮俺も男で。
溜まるものは、ちゃんと溜まるわけで。
「……今日くらい」
小さく呟いて、
濡れた皿を拭く手を止める。
今日は、久しぶりの休みなんだし。
少しくらい、
甘えてもいいよな、とか。
自分から、
誘ってみてもいいよな、とか。
……そんなことを、考えている。
「これで最後な」
「ん、りょーかい」
最後の一枚を拭き終えて、軽く息をつく。
「今日何する? 外行く?」
手を洗いながら、
まろが何気なく聞いてくる。
「家いようよ。たまにはゆったりしよ」
そう言うと
まろが一瞬だけ目を見開いて、
次の瞬間、吹き出した。
「ふはっ、いつも仕事仕事言うてるないこが
それ言うん珍しいな」
「別にいいでしょ、たまには」
少しだけ拗ねたみたいに返しながら、
ちら、とまろの様子をうかがう。
……本当は。
ただ、外に出るより。
こうして2人で、ゆっくり過ごしたくて。
……できれば、そのまま。
なんていうか、その。
いい感じの流れに、なればいいな、なんて。
……少しくらいの、下心もあったりする。
まろがソファに腰を下ろしたのを見て、
俺も、その隣に座る。
まろは軽くスマホをいじり始めて、
こっちを見る気配はない。
だから。
俺にも構えの意味も込めて、
まろの膝に、ごろんと寝転がった。
さすがに気づいたのか、
その手がぴたりと止まる。
「……」
ちら、と視線だけが落ちてきて。
次の瞬間、
空いている方の手が、そっと伸びる。
指先が髪に触れて、
ゆっくりと梳かれる。
その、何でもないみたいな仕草が、
やけに優しくて。
ちょっぴり頬を緩めると、
「何? 今日は構ってちゃんの日?」
からかうような声が、頭上から落ちてくる。
「……俺がこんなことすんのだめ?」
ふい、と視線をそらしながら言う。
……やっぱり。
こんなガタイしてて、
いい歳したやつが、こんなことしてたら。
……引くよな、普通。
「っわ」
不意に、前髪をわしゃわしゃと乱された。
「ちょ、何すんの」
「ないこが変なこと考えてそうやったから」
「はぁ?」
不満げに声を上げると、
まろは今度こそスマホを脇に置いて。
ちゃんと、こっちを見る。
……見下ろす形にはなるけど、
それでも、
さっきまでとは違う〝ちゃんとした視線〟
「ないこが甘えてくんの珍しいし、
俺やって嬉しいわ」
さらっと言ってから、
少しだけ間を置いて。
「せやけど、自分の可愛さ、自覚してもらわな」
「は?」
「俺、供給過多で死ぬ」
無駄に真顔で言ってくるから。
「……ははっ」
思わず、吹き出してしまった。
「何それ、意味わかんない」
そのまま腹を抱えて笑っていると、
まろが少しだけ唇を尖らせる。
「ないこのビジュ推し、舐めんなよ」
「……それ、前言ってたよね」
くすくすと笑いながら、
むくりと体を起こす。
その流れのまま距離を詰めて、
今度は、まろの上に跨るように座った。
「……でもさ、俺はビジュ推しなだけ?」
両腕を首に回して、
覗き込むように問いかける。
少し近すぎる距離。
それでも、目は逸らさず、
逆に妖艶に見つめてやる。
すると、まろは一瞬だけ目を細めて。
俺の腰に手を回した。
「いや?」
低く、少しだけ含みを持たせた声で。
「ないこの恋人ですが?」
少し意地悪な質問をした自覚はあった。
だから、
まさか真正面から
返してくるとは思ってなくて。
思わず、目を丸くする。
「……」
一瞬、言葉が出てこない。
けど。
そんな反応が意外だったのか、
まろはほんの少しだけ眉を寄せた。
「……何、その顔」
さっき俺がしたみたいに、
覗き込むように距離を詰めてくる。
「俺、なんか変なこと言った?」
「……や、別に……」
目を逸らしたまま、
ぶっきらぼうに返す。
……こいつ、絶対分かっててやってる。
火照った顔を見られたくなくて、
そのまま俯くけど。
たぶん、それすらバレてる。
その証拠みたいに。
「んは、ないこたん、顔真っ赤」
わざとらしく、
ぽえボでからかってくるんだから。
「……ね、顔見せて」
さっきよりも低く、優しくなった声に、
少しだけ心臓が跳ねる。
そっと頬に触れられて、
軽く力をかけられるまま、
顔を上げさせられる。
ぱちり、と目が合う。
そのまま逸らせなくて、
見つめ返していると。
まろの指先が、垂れていた髪に触れて。
ゆっくりと、耳にかけられる。
……あ。
これ、知ってる。
まろがキスするときの、癖。
そう思った瞬間、
変に抗う気もなくなって。
そっと、目を閉じる。
近づいてくる気配。
触れそうな距離。
重なる。
そう、思った。
その時。
ブブッ、ブブッ——
ブブッ、ブブッ——
無機質な振動音が、部屋に響いた。
「……」
ぴたり、と動きが止まる。
社会人にとって、
こういう時に、一番聞きたくない音が。
発信源は、
横に置かれたまろのスマホ。
お互い、そっちに視線を向けたまま。
少しでも動けば、
触れてしまいそうな距離で、
固まる。
「……出、れば……?」
おずおずと声をかけると、
まろは小さく目を伏せて。
「……はぁ」
押し殺すような、深いため息。
そのまま体を離して、
ソファに置いてあったスマホへ手を伸ばした。
画面を見た瞬間、
「げぇ」と言いたげに眉をひそめる。
その時点で、なんとなく察した。
「はい」
いかにも不機嫌です、って声で応答する。
[もしもしいふくん!?]
最近はあまり聞かないけど、
前によくプテボって呼ばれてた、あの声。
スマホ越しでも分かるくらい、慌ててる。
「何、ほとけ。
用件あるんやったら三秒で言いな」
まるで、ジ〇リのあの作品のキャラを
彷彿させるような、あの強気な言い方。
[……あのー……ですね、
お仕事がちょっと終わりそうになくて……]
「それで?」
[半分、手伝ってくれませ]
「やだ」
はや。
いむが言い切る前に言ったぞ、こいつ。
即答すぎて、思わずそっちを見る。
……いや、まぁ。
気持ちは分かるけど。
こんなタイミングだし。
でも、話くらいちゃんと聞け。
べしっ、と目の前の体を軽く叩くと、
まろは一瞬むっとした顔をして、
すぐに、呆れたみたいに息をついた。
「……納期は」
[……明日]
「明日!?」
思わず、声が被る。
……いや、それはさすがに。
「……あー……、
手伝うから俺のpcにデータ送っといて」
そうなるよな。
[ほんと!?ありがと〜!!!
今度なんか奢るから!!]
「はいはい、あ、ちなみに次やったら、
ないこ行きな」
[以後気をつけさせていただきます。
えっと、じゃあ、データ送るから切るね!
よろしくお願いします、いふ先生!!]
その言葉を最後に、
プツッ、と通話が切れた。
「……」
まろはスマホを耳から離して、
じっと画面を睨みつけている。
……睨み殺す勢いで。
「……はぁ」
小さく息を吐いて、
ぐしゃっと前髪をかき上げる。
数秒だけそのまま固まってから
「ごめん、作業してくる」
「ん」
短く返す。
あーあ。
せっかく、いい流れだったのに。
さっきまでの空気を思い出して、
なんとなく、胸の奥がもやっとする。
そのまま、行き場のない感情がこぼれて。
「どーせ、まろは俺より仕事だもんねー」
……なんて、べー、と下まで出して。
つい、悪態をついてしまう。
「……は?」
ぴたり、と足が止まる。
そのまま、
ゆっくり振り返ってきたまろと目が合う。
「今の、どういう意味?」
「別に?思ったこと言っただけだけど」
ぷい、と視線を逸らす。
自分でも、子どもっぽいとは思う。
けど、止められなかった。
「……拗ねとるやん」
「拗ねてないし」
即答するけど、
どう考えても説得力はない。
「……じゃあさ、待っとってる間、
俺のお願い聞いてくれたらご褒美あげるわ」
いきなり、何、こいつ。
変な提案してきて。
「何それ」
じと、と睨むと、
まろはどこか楽しそうに口角を上げた。
「拗ねとるまま待たれるんも嫌やし」
「拗ねてないって」
「はいはい」
軽く流されて、むっとする。
「で? 何、そのお願いって」
聞き返すと、
まろは一歩だけ距離を詰めてきて、
「そんな難しいことちゃうで」
そう言って、
俺の顎にそっと指をかける。
「ちゃんと〝待て〟できるか、試すだけ」
「……はぁ?」
さらっと言われたその一言に、
一瞬、意味が追いつかない。
「こっち来て」
腕をぐい、と引き寄せられる。
「ちょ、待っ」
抗う間もなく、
気づけば寝室の方へ連れていかれていた。
「ほら、座って」
軽く押されて、ベッドに腰を下ろす。
「……何する気」
「んー?」
まろはわざとらしく首を傾げてから。
「これ、つけてもらおうかと思って」
そう言って、
棚の奥から取り出したそれを見て、
思わず、言葉が詰まる。
見覚えは、ある。
ないわけがない。
けど。
「……は?」
さすがに、予想外すぎる。
「貞操帯っていうんやけど」
かちゃ、と小さく音を鳴らしながら、
まろはそれを軽く持ち上げてみせる。
「俺がいない間に、
一人でないこに好き勝手されてたら」
そこで一瞬、言葉を区切って。
「……ちょっと、悲しいやろ?」
なんて。
冗談みたいな口調のくせに、
視線だけは妙にまっすぐで。
「いや、別に……そんなことしないけど」
反射的に言い返すけど、
どこか言い切れない自分がいる。
「ほんまに?」
じ、と見つめられて。
「……っ」
言葉に詰まる。
「ちゃんと〝待て〟できるか、試してみよ?」
低く落ちる声に、
さっきまでとは違う空気を感じて。
「……別に、一人でどうこうする気なんてないし」
小さく呟く。
それでも。
「……いいよ」
視線を逸らしたまま、続けた。
「つければいいんでしょ」
その時は、まだ。
これがどういう意味になるのか、
深く考えてなかった。
「はーい、じっとしてー」
まろの手に、軽く肩を押さえられる。
「……別に逃げないって」
ぼそっと返しながらも、
言われた通り、大人しくしていると。
かちゃ、と鍵を閉める小さな音。
ひやりとした感触に、
一瞬だけ体がびくっと跳ねた。
「ほい、完了」
「……早」
思わず呟くと、
まろは満足そうに笑う。
「これで安心やな」
「だから、何が」
軽く睨むけど、
まろは気にした様子もなく立ち上がる。
「ほな、ちょっと仕事してくるわ」
「……ん」
短く返すと、
そのまま部屋を出ていく背中が見えた。
ぱたん、と扉が閉まる音。
「……」
一人、取り残されて。
なんとなく、その場に座ったまま、息を吐く。
「……別に」
一人でどうこうする気なんて、
最初からないし。
ただ、少しだけ落ち着かなくて。
体勢を変えて、ベッドに寝転がる。
スマホを手に取って、
適当に画面を眺めてみるけど。
全然、頭に入ってこない。
「……はぁ、俺も仕事するか」
小さく呟いて、スマホをポケットにしまう。
気を紛らわせるみたいに、
俺も、その部屋をあとにした。
「はぁー……」
ひとつ、またひとつとタスクを片付けるたびに、
時間だけが過ぎていく。
なのに、
まろは一向に部屋から出てこない。
「……」
もう何杯目かも分からないコーヒーを、
また一口、口に含む。
そのまま、次の資料に目を落とした。
このコーヒー、美味いんだよな。
また今度、まとめて買っとくか。
ぼんやりそんなことを考えながら、
ページをめくる。
……せっかくの休み、だったはずなんだけどな。
気づけば、
やってることは平日と変わらない。
「……はぁ」
小さく息を吐く。
いむには、明日ちゃんと注意しとくか。
持ち帰ってきたある程度の仕事が終わり、
時計を見ると、もう夕方。
お昼は、まろが作って、
部屋まで持ってきてくれて。
……いつ作ってたんだろう。
それすら、気づかなかった。
それくらい、目の前のことに集中していて。
「んー……」
小さく声を漏らして、
ぐいー、と背筋を伸ばす。
固まっていた体が、
じんわりとほぐれていく。
その流れのまま、
ゆっくり立ち上がった。
「……ん」
一歩、踏み出したところで。
なんとなく、違和感に気づく。
「……あれ」
さっきまで集中してたせいか、
気にもしてなかったけど。
じわ、とした落ち着かなさが、
下腹のあたりに残っている。
「……」
その場で、軽く体勢を変える。
……気のせい、じゃない。
「……そっか」
小さく呟いて、思い出す。
コーヒー。
今日もいつもみたいに、
たくさん飲んでしまった気がする。
最近表で呟くほど、
結構飲んでるからな……。
「……だからか」
納得したように息を吐いて。
「……とりあえず、トイレ」
そう呟いて、部屋を出る。
廊下に出て、数歩。
「……」
ぴたり、と足が止まった。
「……あれ」
視線が、ゆっくりと下に落ちる。
これ。
さっき、まろにつけられたもの。
「……嘘だろ」
一瞬、理解が追いつかない。
「……いや、ちょっと待って」
頭の中で、状況を整理する。
トイレに行こうとしてる。
でも。
「……これ、外さないと……」
つまり。
「……行けない?」
じわ、と現実が追いついてくる。
「……は?」
さっきまで余裕だったはずなのに。
一気に、意識がそこに集中する。
確か、これ外すにはまろが持っている
鍵が必要なはず。
「……ちょ、まじで」
まだ、限界ってほどじゃない。
けど。
……確実に、このままだと無理になる。
「……最悪なんだけど」
小さく、そう零した。
「……どうしよ」
一瞬、まろの部屋の方を見る。
押しかけるのは、簡単だけど。
……集中してるだろうし、邪魔はしたくない。
それは、最終手段。
「……とりあえず」
小さく呟いて、リビングの方へ足を向ける。
このまま部屋に戻って、
まろが出てきたタイミングを逃したら。
それこそ、やばい。
「……ここで待っとこ」
ソファに腰を下ろして、軽く息を吐く。
残りの仕事も、ここでやればいい。
そうすれば、
気も紛れるし、一石二鳥。
「……まだ、いける。大丈夫」
ぼそっと呟いて、
自分に言い聞かせるみたいに頷く。
けど。
ふと、頭の中に浮かんだ言葉に、
「……あ」
ぴたり、と動きが止まる。
「……待て、できるかって……」
ゆっくり、その意味をなぞる。
「……そういうこと?」
ぞわ、と背筋に何かが走った。
「……いやいや」
小さく首を振って、考えを振り払う。
そんなわけ、ないだろ。
ただの、偶然。
……そう思いたいだけかもしれないけど。
「……っ」
そっとソファに座り直す。
さっきより、少しだけ落ち着かない。
無意識に、足を組み替えて。
「……大丈夫……大丈夫」
小さく呟いて、
テーブルの上の資料に手を伸ばす。
視線を落として、文字を追う。
だけど。
「……」
さっきとは違う理由で、
全然、頭に入ってこない。
さっきまで普通にできてたのに。
なんで今になって。
「……っ、はぁ」
小さく息を吐いて、
背もたれに体を預ける。
……気になる。
どうしても、そっちに意識が向く。
「……ちょっと、だけ」
体勢を変えて、軽く前かがみになる。
それだけで、
さっきよりは楽になって。
「……はぁ……」
思わず、長く息を吐く。
やっぱり、気のせいじゃない。
じわじわと、確実に。
時間と一緒に、
感覚が強くなっていく。
「……まじか」
ぽつりと、呟く。
まだ余裕はある。
……ある、けど。
「……これ、どんくらい保つんだよ」
誰に言うでもなく、ぼやく。
時計を見る。
まだ、そんなに時間は経ってない。
「……嘘だろ」
思わず、乾いた笑いが漏れる。
もう一度、
廊下の方に、視線が向く。
まろの部屋。
「……」
呼べば、多分来る。
外してって言えば、
きっと外してくれる、はず。
それくらいは、分かってる。
でも。
「……まだ、いい」
ぎゅ、と軽く手を握る。
さっきの言葉が、頭に残っているから。
——『待て、できるか』
「……できるし」
もはや、
俺の子供みたいなプライドとの対決だった。
我慢するぐらい、誰でもできると。
成人超えたいい大人が漏らすわけないと。
そんな、これっぽっちなプライドと。
けれど、身体的には
少しずつ限界を迎え始めているようで
無意識に太ももに力が入った。
それから、また小一時間経った。
「……っ」
限界まであと少し。
さっきみたいな余裕なんて、もうどこにもない。
「……ん、は……っ」
直接押さえられない分、
無意識に太ももに力が入る。
ぎゅ、と脚を寄せて、
なんとか誤魔化そうとするけど、
焼け石に水だ。
「……無理、むり……っ」
小さく漏れた声すら、震えてる。
仕事なんて、とっくに手につかなくなって、
さっき片付けたばかり。
「……っ、あー……」
あの時、コーヒー。
あんなにがぶがぶ飲まなきゃよかった。
……なんて。
今さら後悔したところで、遅い。
「……んぅ……っ」
いくら待っても、
まろが来る気配はない。
「……っ、くそ……」
ぎり、と奥歯を噛みしめて。
震える手で、スマホに手を伸ばす。
もう、意地とか言ってる場合じゃない。
慣れた手つきで、画面をタップする。
数回のコール音のあと。
[……もしもーし、どーかしたー?]
電話越しに聞こえてきた声は、
拍子抜けするくらい、のんきで。
……その温度差に、余計に腹が立った。
「お、お前……これ外せ……っ!!」
[……これって、貞操帯のこと〜?]
とぼけた調子で返してくる。
「そうに決まってんだろ……っ、
漏れるから……!!」
ほとんど懇願みたいに言うと、
[……っふ]
画面の向こうで、小さく笑う声。
「……っ、笑ってんじゃねぇよ……!」
ぎり、と奥歯を噛みしめる。
[これで分かったやろ?
コーヒー飲み過ぎたらあかんって]
「……っ、だからって……!」
言い返そうとして、言葉が詰まる。
……こいつ。
〝1人で勝手にしてほしくない〟って名目で、
本当は、そっちが目的だったんじゃないか……?
「……最悪……」
思わず、力が抜けそうになるのを堪えて、
もう一度体に力を入れる。
集中してるかも、とか。
邪魔したら悪い、とか。
そんなこと考えてた自分が、馬鹿みたいだ。
「……はやく……っ」
震える声で、もう一度絞り出す。
「分かったから……外して、って……」
[んー……どうしよかなぁ]
わざとらしく間を置く声に、
ぶわっと焦りが広がる。
「……っ、ふざけんな……!」
思わず声が強くなる。
「……ほんとに、無理……っ」
[……なら]
一拍、間があって。
[ないこが、俺の部屋まで来れたら、いいよ]
「……は?」
一瞬、意味が分からない。
「……何、それ……」
[そのまんまやん。
ちゃんと〝待て〟できるか試してるだけ]
軽い声。
なのに、言ってることは全然軽くない。
「……っ、今それ言う……?」
思わず、声が震える。
[ほら、来れるやろ?
声の距離的にリビングやろうし。
そこからやったら、すぐやもん]
「……っ」
ぐ、と言葉に詰まる。
距離だけで言えば、
確かに大したことはない。
数歩、歩くだけ。
「……っ、くそ……」
無意識に、脚に力が入る。
じっとしてるだけでもきついのに、
動けなんて……。
「……できる、わけ……っ」
言いかけて、止まる。
[ん? 無理?]
わざとらしく煽るような声。
「……っ、うるさい……!」
反射的に返して。
そのまま、ぎゅっと目を閉じる。
……ここで折れたら、負けだ。
「……できるし……っ」
ぼそっと、意地みたいに呟く。
[ん、じゃあ来てみ?]
「……っ」
ゆっくり、息を吐いて。
震える足に、力を込める。
「……行くから、待ってろ……っ」
そう言い捨てて、通話を切った。
「……っ、は……」
ソファから、ゆっくりと立ち上がり、
一歩。
踏み出しただけで、分かる。
「……っ、やば……」
さっきまでとは、比べものにならない。
動いた分だけ、
一気に意識が引っ張られる。
「……っ、く……っ」
その場で立ち止まりそうになるのを
何度も堪えて。
あと、数歩。
「……いける……っ」
自分に言い聞かせて、もう一歩。
まろの部屋の扉が、目の前に見えた。
ガチャリ、と勢いよく扉を開け、
「っ、は……」
乱れた呼吸のまま顔を上げると。
ごゆるりとゲーミングチェアに腰かけたまま、
こちらを見ているまろと目が合った。
「お、来た」
まるで何事もなかったみたいな声。
「……っ、来た、じゃねぇ……っ」
ドア枠に手をついて、なんとか体を支える。
「……はやく……外せ……っ」
絞り出すように言うと、
まろはくすりと笑った。
「ちゃんと来れたやん」
そのまま、
ゆっくり立ち上がって近づいてくる。
手には鍵があって、
ようやく外される、そう思った。
じー、とチャックを下ろし、
ズボンを脱がされ、露わになるそこ。
じ、と一度だけ見下ろされて、
わざとみたいに手が止まる。
「……っ、はやくってば……」
催促すると、くすっと小さく笑って。
「分かっとる」
カチ、と小さな音。
ようやく、その拘束が解かれた。
安堵したのも束の間、
すぐに次の試練が訪れた。
さっきまでは、
機械的に抑え込まれていたから、
出したくても出せなかった。
しかし、今は、
その支えもなく、風に晒されてるため、
さっきより一段と我慢が効かなかい。
「……っ、やば……」
思わず、その場で体を折る。
ぎゅ、と力が入って、
足元がぐらついた。
「……っ、むり……」
震えが止まらない。
ぎゅうっと股間を握りしめ、
ぷるぷると子鹿のように足を震わす。
さっきより、明らかにきつい。
「ほら、トイレ行くんやなかったの?」
にやり、と笑うまろ。
ずっと、こいつの手のひらで
転がされてるみたいで気に食わないけど。
でも、
そんなこと言っている場合じゃなくて。
「……無理……」
小さく首を振って、
そのまままろの服を掴む。
「……連れてって……っ」
ほとんど縋るみたいな声。
この年でお漏らししちゃいました、
とかいう新たな経歴は欲しくない。
コーヒーも、
ちゃんと加減して飲むから。
そんな俺の思いとは裏腹に、
あいつは
「やぁだ、漏らしちゃえ」
あっさり、返した。
しかも、最低の内容で。
「……っ、は?」
一瞬、思考が止まる。
漏らしちゃえって言った……?こいつ。
無理、そんな。
俺が動けないことをいいことに、
ひょいと体を持ち上げられる。
少しの揺れすら刺激になってしまいそうで、
ただ、まろにされるがまま。
結局、部屋の入り口から
いちばん遠いベッドの上まで運ばれた。
同棲してから、
ほぼ使われていない互いの部屋のベッド。
初めて使われるのが、
これで、
しかも俺が気を抜けば汚れるとか。
……屈辱すぎだろ。
「なんで……っ」
キッと俺を下ろして、
後ろに回り込んでいるまろを
睨みつける。
「んー……躾するなら、
徹底的にって言うやん?」
ニコニコと当たり前のように言う口調に、
軽く絶望した。
動けば漏れる、そんな状況で、
まろに頼むしかないのに、
当の本人は協力する気がない。
すぅっと顔が青ざめていくと同時に
股間を握りしめる手も
さっきより強くなる。
その手をまろはちらりと見て、
「そんなにそこ押さえとったら、
後から痛なるで?」
誰のせいだと……っ。
そんな言葉をぐっと飲み込む。
反抗的な態度をとればとるほど、
まろの思うツボだ。
できるだけ弱ってるところを見せれば、
少しは手を貸してくれるかもしれない。
「……」
残ってる理性を総動員して、
必死に考える。
……それがバレちゃったのかな。
「何、余計なこと考えとるん?」
いつの間にか
耳元まで近づいていたまろがそう嘆いた。
「ひぁ……っ」
驚きとその低音の振動の勢いで、
じゅわ、と先端から少し溢れて、
慌ててもう一度握り直す。
やばい、やばいやばい。
もう無理、漏れる。
1度出てしまえば、
もう身体は言うことをきかなくて。
少しずつだけど、
抑える手の隙間から、
どんどん零れ出るのが分かる。
括約筋を締め直そうにも、
我慢に我慢を重ねてきた身体は、
限界を訴えるように力を抜き始める。
「我慢できない子。
ほら、もっと出せたら気持ちえぇよ……?」
まろはわざと煽るように、
さらに囁いてくる。
鳥肌はぞわぞわたつけれど、
まだすべてが出切っていない分
理性は折れてない。
「や、だ……」
最後の足掻きのように、
かすれた声で絞り出す。
「……っ」
吉と出るか凶と出るか。
しばらくして、
まろがはぁ……と息をついた。
もしかして、
する気になってくれた……?
「も〜、さっさと諦めて、ほら」
いきなり、
ぐっと下腹部を押された。
「……あ゛っ……!?」
そこでもう終わり。
一気に尿意という名の快楽が押し迫る。
手の隙間から、
勢いよく液体が滴り、
押さえれば押さえるほど惨めな格好。
「やだ……やだぁ……」
震える声で否定する言葉とは反対に、
綺麗だった白いシーツも、
座っている位置から黄色に染まっていく。
「だめだってば……」
ぎゅ、と体を丸めながら、
ただその場で、
しゅいいぃぃと音が鳴るのを
耐えることしかできなくて。
ぽろぽろ涙がこぼれ出る。
「んぅ……ぁ……ひく」
嗚咽とも、
一気に解放される快楽に浸る声とも
とれない声を出して、
なんとか止まった。
ぐちゃぐちゃの顔の俺の頭を
「いい子やね、上手に出せて」
なんて言いながら、
優しく撫でるまろ。
もう何が何だかだった。
「まろが……まろが悪いんだからね……」
こんなことになったのも、
全部まろのせい。
俺は自分で漏らしたくて漏らしたわけじゃない。
かすれた声で抗議する。
「えぇ……ちゃんとご褒美あげたやん」
その言葉で、ぴたりと涙が止まる。
どこが……どこがご褒美なの……?
こんな痴態晒して。
ベッド汚して。
きゅっと唇を噛んで、
じとりと見つめると。
「俺がいなきゃ、
この快楽知らなかったでしょ?」
そう言って、
親指でぐり、と
液体で少し濡れて、
ゆるく勃ったそれの先端を弄る。
「んぁ゛……っ」
ぴりっと電流が走ったような、未知の感覚。
いつもしてる行為とはまた違った快感に、
頭が混乱する。
……こんなご褒美、いらない。
望んでない。
朝までは望んでたかもだけど、
こんなことをされるのなら、
いらない。
「や、っ……」
まろは
そのまま竿を上下に擦り上げた。
拒否したはずなのに、
体の方が先に反応して、
次々と甲高い声が出る。
「ぁ、ィク、あ、ぁ、イッちゃ、んぅ〜〜……っ」
ぷし、と音を立て、
さっきより勢いは少ないが、
黄色い液体の代わりに、
白濁液でまたシーツを汚す。
「ふ……ぁ……」
荒い息を繰り返す、そんな中で。
「ないこ」
まろが呼ぶからそちらを見れば、
ギンギンに勃ったモノがあって。
「ちょっとだけ、頑張れる?」
ちょっとなんて絶対嘘。
でも、
さっきの余韻で頭はうまく働かないし、
目の前にある快楽には抗えなくて。
「……いっぱい、ちょ〜だい……?♡」
その言葉を合図に、
さっき終わったはずの〝我慢〟が、
もう一度、始まった。
「……まろなんて嫌い」
クッションを強く抱きしめながら、
ぽつりと呟く
翌日。
本当は今日だって、
会社に行かなきゃいけない日だったけど。
身体も、メンタルもボロボロで、
大人しく休ませてもらった。
「……はぁ」
ソファに沈み込みながら、
昨日のことを思い出しては、顔をしかめる。
……最悪すぎる。
ほんとに。
「……」
社員には連絡を入れたけど。
『とうとう社長が自分から休みを……!!』
なんて、
やけに感動した声を向けられたと思ったら。
その後、まろも休むって知った途端
『あ、これまろさんが何かしたんだな』
っていう、妙に察しのいい、
生温かい声に変わって。
「……なんでバレてんだよ……」
思い出すだけでイライラする。
マジで、あいつのこと
ぶん殴ってやろうかと思った。
「誰を?」
「まろに決まって……」
反射的に返してから、ぴたりと止まる。
「……」
ゆっくり振り返ると、
大量のシーツを持ったまろがいた。
それで何があったかなんて、
考えたくもない。
「これ洗濯機入れてくるわ」
そんな報告求めてねぇよ。
「……最悪」
今1番見たくないものを見てしまって、
思わず、顔をクッションに埋める。
「なんやその反応」
洗濯機を動かしてきたまろが
くすっと笑いながら、
何事もなかったみたいに近づいてくる。
「……来んな」
「ひどない?」
「ひどいのはどっちだよ……!」
思わず声が強くなる。
「昨日のこと、
忘れたとは言わせねぇからな……!」
「え、覚えとるけど?」
あっさり返されて、言葉に詰まった。
「……っ」
こいつ、ほんとに。
反省する気ゼロかよ。
「コーヒー飲み過ぎちゃいかんって、
リスナーさんたちも言うとったのに、
全然改める気なさそうやったから」
「……」
「俺がやるしかないかなぁって」
にこやかに言われて、余計に腹が立つ。
「でも、可愛かったなぁ……」
「は?」
嫌な予感しかしない。
「やだやだ言いながら、
結局漏らしちゃうないこた――へぶっ」
言い切られる前に、
近くにあったクッションをぶん投げた。
「最っ低」
「ないこが覚えてるかとか言ったんやろ!?」
「それとこれとは別!!」
声を張り上げてから、
そのまま距離を取るみたいに
ソファの端へ移動する。
できるだけ、あいつから離れるように。
「……」
けど。
「そんな離れんでもええやん」
当たり前みたいに、隣に座ってくる。
「来んなって言ってんだろ……」
低く返すけど、迫力なんてもう残ってない。
「怒っとる?」
「当たり前だろ」
「そっか」
あっさり頷かれて、
逆に拍子抜けする。
……なんだ?こいつ。
また何か企んでんの?
眉を寄せて、怪訝そうに見ると、
「ほな、ないこのために
寿司とか甘いもん買おうか思っとったけど、
それもえぇか……」
わざとらしく肩を落として、
スマホを取り出す。
「ウーバー、取り消しとこ……」
「待て待て待て!!それはずるいだろ!?」
思わず、勢いよく身を乗り出した。
「なんで?」
まろはきょとんとした顔で首を傾げる。
「怒っとるんやろ?なら、いらんかな思って」
「それとこれとは別!!」
即答すると、
「さっきも同じこと言うてたな」
くすっと笑われて、ぐっと言葉に詰まる。
「……っ」
でも、ここで引いたら終わる。
せっかく寿司食べられそうなのに。
「……食べ物は別」
ぼそっと付け足すと、
「素直やなぁ」
「うるせぇ」
じと、と睨むけど、全然効いてない。
「ほな、どうする?」
スマホを軽く振りながら、
試すみたいに聞いてくる。
「……」
一瞬だけ迷って。
「……頼め」
ぼそっと言うと、
「へぇ……そんな言い方でいいんだ?」
にやっと笑われる。
「……っ、は?」
「さっきから口悪いし、
お願いする人の態度やないやろ」
「……」
こいつ、絶対遊んでる。
今だって、
表情はあんまり動いてないくせに、
内心ではひゃははとか笑ってるんだろ?
「……っ」
いいよ、それなら。
俺だって、やりようはある。
「……まろ」
ふっと、声のトーンを落とす。
「ん?」
何も疑ってない顔で見るから。
わざと、距離を詰めた。
そのまま、まろの上に座る。
腕を首に回して。
あの時と、同じ体勢。
「……お願い、すればいいんだろ?」
目を逸らさずに、ゆっくり言うと、
一瞬だけ、まろの動きが止まった。
……よし。
「……ねぇ、まろ」
おでこを軽くぶつけて、極限まで近づく。
「俺のお願い……聞いてくれる?」
低く、少しだけ甘えた声で。
さらに距離を詰めて、
あの時できなかったことを、なぞるように。
チュ、とリップ音が部屋に響く。
「……っ」
まろは目を見開いて。
さっきまでの余裕が、少しだけ崩れる。
「ねぇ、だめ?」
念を押すように、もう一度言うと、
まろの眉が、ぴくっと揺れた。
「……お前」
「何?」
「……それはずるいやろ……」
小さく、そう零す。
「お前が言ったんだろ」
そのまま返した。
一拍、間があって。
「……注文し直しとく」
諦めたみたいにスマホを操作し始める。
「ふ」
思わず、口元が緩んだ。
……勝った。
最初からそれでいいんだよ。
「ないこ」
「ん?」
「あとで覚えとけ」
今の、やばかったか?
一瞬だけ不安がよぎるけど。
「……まぁ、いっか」
小さく呟いて、
ふふんとクッションを抱き直す。
……だって。
寿司、食べられるもんね。
後日。
休憩時間、
スタッフがふとないこを見ると。
ほとけに満面の笑みで詰め寄っていて。
そのデスクの上には、
珍しくコーヒーではなく、エナドリがあったとか、
なかったとか。
コメント
2件
通知が来て目を開いて見に来ました💘 今回もまたまた素敵な書き方ですね😌💭尊敬でしかないです。。主さんの作品見るのめっちゃ生き甲斐です😭
ぐへんぐへんすきです😭😭 またまた流れてきて「小スカ」って書いててすぐ飛んできました😭💓 登場人物全員くそがきみたいなの好きです😽🤟( ( ( コーヒーもエナドリも程々にしてくださいねしゃちょう( ( ( 素敵な作品ありがとうございました😭👊❤️🔥