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「わ〜!!凄い凄い凄い!!積もってるー!!」
「アチャー!!」
電車に降りるなり走りだし、近くの積もっている雪にダイブするシオンとアチャモ
「寒…ここまで来ると流石に寒いな」
「へへへっ、雪ふわふわ〜!!」
「んな雪に何度もダイブしよったら、風邪引くで」
そういって雪の中に埋もれていたシオンの手を引っ張り雪の中からシオンを出す
「わっ、へへ。折角ですし少しエイセツシティ探検しましょ!!」
「はぁ、ほんまじっとしとれん女やな」
そう言いつつもシオンに手を引かれそのままエイセツシティを散策する2人
エイセツシティにあるブティック等を少し見回ったあと雪が多く積もっている人気のない場所に着く
「カラスバさんみて!!カラスバ雪だるま!!」
「おー、遺言最後に聞いたるわ」
「え”!?─あだっ!!」
どこか目つきの悪い極悪そうな顔をした雪だるまを見せつけられ、そのまま青筋を立ててシオンへ雪玉を投げつけるカラスバ
攻撃を思いっきり受け、尻もちをついて倒れるがすぐに立ち上がりシオンもカラスバ目掛け雪玉を投げる
「危なッ!?お前顔面狙う気やったやろ!!」
「ソンナコトナイデスヨ」
「カタコトすぎて隠す気すらないやろ!!」
楽しそうに笑うカラスバに釣られるように笑みを浮かべるシオン
しばらく2人で子供のように雪遊びをしていた
それから、少しして疲れたのかぼふっという音を立てて地面に寝転がるシオン
「へへへっ、楽し〜…カラスバさんとここ来れて良かったなぁ〜」
そう呟くシオンの顔は本当に楽しそうで幸せそうな表情をしていた
そんなシオンに対し、何かを決めたように真剣な顔立ちになりそのまま寝転がるシオンの上に被さるカラスバ
「…教えてや、あの日の続き」
「あの日の…あ」
ふと冬に入りたての頃、カラスバが数人に襲われそのまま助けてしまい正体がバレてしまったあの日のことを思い出す
ふとカラスバの方を見ると、顔はほんのり赤くなっていた
「なんで、殺す気なくなったんや」
「言わなくても分かってるじゃないですか…」
「直接言葉で聞きたいんや。」
カラスバの真っ直ぐな瞳に見つめられ、シオンの頬も段々赤く染まる
「…好き、だからですよ。本当に」
「演技とかやなくて、ほんまに好きなんか?」
「そうに決まってるじゃないですか…じゃなかったらもうとっくの昔に殺してますよ〜?」
その言葉にカラスバは目を見開いたあと、「ならええわ」と嬉しそうに微笑んだあとそのままシオンの唇を塞ぐ
「んっ……」
シオンの熱い体温がカラスバに伝わる
近いからか、ドッ、ドッ、ドッとシオンの心臓の音が聞こえる
唇を離すとシオンは顔を赤らめて驚いた表情をしていた
「あんな好き好きいいよったのに、案外初心なんやなお前は」
「し、仕方ないじゃないですか!今どき流行りの恋愛漫画くらいの知識しかなかったし…」
「なら、これからいっぱい教えたらないかんな」
そう笑いながら、シオンの額にキスを落とす
「あ”〜…もう本当にやな人!」
「なんや今更気づい───っ!?」
余裕そうに笑うカラスバの頬を両手で包み、言葉を塞ぐようにそのままキスをするシオンに驚き口をポカンと開け顔を赤くするカラスバ
「カラスバさんも初心なんですね〜?」
「ははっ、ええわ。とことん付き合ったるわ」
「えっ?わ!?ちょっ、まっ───」
シオンに煽られたことに対し青筋を立てて笑い、片手でシオンの頬を掴みそのまま食べるようにシオンの唇を再び塞いだ
───2時間後
「ゲホッ、ゴホッゴホッ…」
「ほら悪化しとるやん。そろそろホテル行くで」
「えー!!
というか、この咳はカラスバさんががっつきすぎたからですよ!!キス慣れてないんですから、いきなりあんなキスやめてくださいよ!!」
「でもその割にはオレに引っ付いて離れんかったのはどこの誰や?」
「……アチャモ?」
〖アチャ!〗
「どつくぞお前」
そう言って怒るカラスバに対し「ひゃー!!」と怯えつつも、楽しそうな笑みを浮かべる
「本当に帰らないとダメですか?あと少しだけここに居たいです」
そう不貞腐れるシオンに対し、溜息をつき「ダメや。」と話したあとシオンの手を取りそのままエイセツシティへの道を二人で歩く
周りは暗くなっていて、チラホラとある街灯が雪をキラキラと照らしていた
「…カラスバさん」
「なんや。」
「カラスバさんって好きな子には尽くしちゃうタイプでしょ」
「まぁ、そら好きな女には幸せや思って欲しいからな。」
「ヒュ〜!かっこいい〜!!
───じゃあ、お願いも聞いてくれますか?」
「お願い?ま、できる範囲でやけど」
少しぶっきらぼうに離すカラスバに対し、クスクスと笑みを浮かべたあと嬉しそうにするシオン
「私結構重い女なんです。好きな人の1番になりたいし、1番想われたい…寝ても私の事考えちゃうくらいカラスバさんの記憶に残りたい」
そう話すシオンの顔は少し赤くて恥ずかしそう
しかし話すのをやめず、そのまま続ける
「けど、もし私が居なくなったら私以上に好きな人を見つけて好きになって欲しいって思うんです。」
「なんや、今日付き合ったばっかやのにそんな辛気臭いこと言うもんやないで」
「じゃあ明日も好きでいてくれるんですか?」
「当たり前やろ、明日も明後日も何年後でも」
「へへっ、カラスバさんってやっぱり一途なんですねっ!」
カラスバの言葉に顔を赤くしながら嬉しそうに笑いぎゅっと強くカラスバの手を握る
「……本当にありがとう、カラスバさん」
「ん?なんやなんか言っ──」
──パシャ!!
何か聞こえたと思い後ろを振り向いた瞬間言葉を遮るようにシャッター音が聞こえる
「付き合った記念〜!!」
そう言って撮れた写真を嬉しそうに眺める
「カラスバさん振り向きイケメン〜!!」
「なんやそれ、阿呆か」
「反応、冷たっ!!」
撮れた写真にはしゃぐシオンに対し、そんなシオンを見て苦言を言いつつも優しい目でシオンを見つめつられて笑みを浮かべるカラスバ
「……これ送っときますね〜」
「ん、おおきに」
───ピコン。
通知と共にスマホロトムをすぐに開き、写真を確認するカラスバ
しかし届いたものは写真ではなく、どこかの位置情報だった
「?シオンこれ───」
「私、ここで育ったんですよ。言ったでしょ、全部教えるって」