お久しぶりです。作者です。
急に病み系が書きたくなってしまいまして…欲望には抗えませんでした。
このお話は、割とガチで注意です…かなり病んでます。
いつもの雰囲気は全て消し去って、もうひたすらに暗くしましたので…。(当社比)
一応、𝖢𝖯はknshです。ですがあまり感じられないと思います…またこの𝖢𝖯で甘々書くので許してください…m(_ _)m
…と、今回色々要素が含まれておりますが、地雷の方はどうか自衛なさってくださいね。読んでから作者に文句は言わないでくださいね。ガラスハートですので()
…さて最後の注意喚起です。本当に後悔しませんね…!?
作者は病み系を書くのが初めてなので、その実そんなにやばくないかも知れないんですけれど…()
こういうジャンルは人を選ぶかなぁ、と勝手な自己解釈がありますので…。
自分のせいで嫌な気持ちになる方は居て欲しく無いんです…。
…流石に何度も言うのはうざったいですね…では。
スタートです。
緑side
がちゃん
家に帰るなり、雑に鞄を玄関へ放り投げ、その足で階段を駆け上り、自分の部屋へと急ぐ。
そして自室に入り、開けっ放しのドアを放置してぼふ、とベッドへと突っ込んだ。
自分の匂いなんてもう感じない布団にくるまり、外出したら必ずと言って良いほどに当たり前になった、自己嫌悪の言葉を喉から垂れ流した。
「俺は何で生きてるんだろうこんなにも無価値なのに」
「誰にも必要とされるわけが無いだって俺は要らない奴だから」
「なんで俺には唯一がないんだろうあぁだってそりゃそうだそうだよ」
「せめて何か取り柄があったら生まれ持ったものがあったら」
「どうせ感情って比べられるもんなんだろ図って決めるんだろ」
「しんどいにも順位があるのかな俺が知らないだけで」
「もっとしんどい人も世の中いるってそんなことわかんないし」
「でも俺はしんどいのに俺にとって今はしんどいのに」
「認められたいって思うのはきっと良くない事なんだろうなあ」
言葉を羅列するうち、涙が滲んでくるのももう慣れた。
自分を非難するような言葉を並べている時が一番死にたくなるし、怖くなるし、正を実感できる。
正しいって思える。
心臓が気持ち悪くぐちゃぐちゃに掻き乱されて、手首辺りの拍動がいやにうざったらしく感じて、吐きそうになった。
嗚咽を漏らしながら、ただ今日も自分を責めている。
俺は、きっと病んではいない。
周りの人が当たり前にこなして、当たり前に出来ていることが、俺には出来ない。
型にはまって生きる事に向いていない。
そんな自分が嫌になって、自責を繰り返してるだけ。
ただ、それだけの話。
そんな周囲と逸脱した俺には、きっとこういう惨めがお似合いだ、って自分でも納得してるから、もう遠の昔に諦めた。
普通には生きられない。
「普通」に生きている人は、
どうやって自分を守っているんだろう
って、何回も何回も、頭が擦り切れそうになるまで考えているのに。
未だに答えなんて出なくて、余計にしんどくなってしまう。
気が付けば承認欲求の塊になるし、誰かの一番になりたいし、いっその事依存されてしまいたい。
俺の存在を確立する何かが欲しくてたまらない。
俺を俺たらしめる何かが欲しくてたまらない。
俺を、俺自身取って代われない何かになりたい、して欲しい。
何時までも、何に対しても受動的で、能動になれない。
ほらまた今のこの瞬間だって。
ずんと重く感じる頭に苛立ちを覚える。
肺から絞り出すような溜息を漏らし、涙に覆われた目を瞬かせる。
頬を伝い落ち、ぽたりとベッドに染みを作る涙を見てまた自分を嫌いになった。
暫くして、ようやっと涙が止まった。
睫毛に着く水滴が弱さを嘲笑っている様な気がして、パーカーの袖で乱雑に擦る。
そのせいで瞼がじんじんと熱を持ち痛みを主張して、
「あぁ生きてるな」、と思えてしまって、なんだかまた死にたくなった。
すん、と鼻をすすり、ベッドから這い出した俺は、フラフラと覚束無い足取りで階段を降りる。
そしてそのまま、リビングのキッチンへと歩を進めた。
普段自炊なんて全くしないから、妙に生活感が無く無機質なキッチンに心臓が冷たくなるのを感じた。
唇を噛み締めながら、とある一点を見据える。
この住居に引っ越す際、特に用途は無いけれど一応、と購入した100円ショップの包丁。
その考え通り、結局今の今まで使う事は無かったのだが。
食器棚に置かれた包丁の取手を握る。
きらりと反射する表面に、自分の顔が映った。
青白くてくまが濃く、無意識に強く噛み過ぎていた唇から、真っ赤な血が出ているのが見える。
蒼白と鮮血のコントラストが不思議と綺麗に思えて、頭がぼやけるような錯覚に陥った。
舌先から広がる鉄の味と、鼻に抜けるよく覚えのある匂い。
さいごにしては、いつもと変わらないな、と嗤う。
包丁を首元に添える。
ひんやりとして、心地良い。
目を瞑る。
瞼の裏に、大好きな色。
もう見れない、大好きな青色。
「…じゃあな」
「勝手に居なくならないでくれない?」
ふわ、とミントの香りに包まれる。
ぐ、と固定された手から、包丁がからんからんと音を立てて床へと転がる。
よく通る、爽やかを体現したかのような聞き覚えのある大好きな声が、背後から飛んできた。
…またか、と呆れながら振り返ると、予想通り。
青い彼が、にこやかに微笑んで佇んで居た。
青side
家に帰ってから、何となく異様な雰囲気は感じ取っていた。
玄関には彼の靴が脱ぎ捨てられているし、鞄は定位置に片されていないし。
そして何より、彼…シャケのお出迎えが無い。
普段ならば、俺が帰ってきた瞬間、リビングからとたとたと慌ただしい足音が聞こえて来て
「ッきんとき!おかえり!」
と実に可愛らしい事をして、俺を悶絶させているのに。
喧嘩してそのまま二人とも仕事の為外出したとしても、この行為が欠かされたことは、とある事を除いては無かった。
…つまり
「…あら。久しぶりだなぁ、これ…」
今、その「とある事」が起きている、と言う事。
不思議と、焦りは無かった。
やれやれ、と呆れることも無かった。
ただただ、愛おしかった。
彼のことを想うと、酷く脆く、儚く。
それでいてどす黒い気持ちが溢れて、
そしてそれはとめどなく。
恐らく彼が居るであろうリビングへ行き、姿を見つける。
虚ろな目をして、包丁を眺めているシャケ。
目元は赤くなっていて、「あぁ泣いたんだな」、とすぐに分かった。
そして、まるでスローモーションかのような所作で、
その包丁を首元へと当てる。
死人のような顔色で、でも満足気な可愛らしい表情で。
緑が完全に閉ざされ、腕に力が入った時を見計らい、
彼が持っていた包丁を奪い、放り投げる。
からんからん、と音が鳴り、…やがて、摩擦で動きが止まった。
「勝手に居なくならないでくれない?」
そう告げると、シャケはくるりと振り返り、ゾッとする程美しい双眸が呆れたように俺を睨む。
まるで、「またか」とでも言いたげな顔で。
俺は軽く微笑みながら、シャケに「おいで」と腕を広げた。
そうするとシャケは溜息をつきながら、拗ねたような態度で近付いてきて、されるがままに抱き締めさせてくれる。
こういう素直じゃないところがまた可愛くて可愛くて、死ぬ程構い倒したくなる。
「ま〜た死のうとしてたの?」
「……」
「もう、なんですぐそんな事しちゃうの」
顔を背けて、「…言わない」と呟く。
いじらしく、唇を尖らせるシャケに、また愛おしさが募っていく。
シャケは、昔から自分を傷付けることが多かった。
少しでも目を離したら、自分で自分の腕を思い切り噛んで血を流していたり。
紐状の何かを手に入れると、すぐにでも首を吊ろうとしたり。
「なんでそんなことするの?」と聞いても、返事が返ってくることはなかった。
だから俺は今も理由を知らないし、多分これからも知る事はできないんだろうなって思ってる。
きっとこの行動は、シャケの性質に近しいものもあると思うから。
というか、正直に言うと
俺はそんなシャケにゾクゾクしてる。
いつ死んじゃうか分からない危うさとか、
それこそいつも纏ってる厭世観とか。
そんな守りたくなるような雰囲気と、徹底的に堕としたくなるような加虐心擽られる行動と。
突飛な性癖を見つけてしまった俺にとって、シャケはそれはもう素晴らしい存在な訳で。
そう簡単に死なせてはたまるかと、そんな薄汚い欲望から、「一緒に住もう」と提案したのが…確か半年くらい前。
その半年間、シャケは二度、未遂をした。
一度目は、飛び降り。
俺たちが住んでいるのは、マンションの八階。
人一人の命を奪うなんて訳無い、十分な高さがある。
それをシャケも理解していたから、行動に移すのは随分と早かった。
引っ越してきて荷解きが終わって…その次の日には、もう実行してたっけ。
荷解きの段階でよくベランダを見ていたから、
「あぁ多分飛び降りるんだろうな」
って予想着いてたし。
ガラッ、ってベランダのドア開けた瞬間「は〜いだめだよ〜」ってすぐ閉めて、鍵をかけてやった。
その時のシャケの顰めっ面と言ったらなかった。
…可愛かったなぁ。
二度目は、睡眠薬。
よくあるじゃん、いっぱい飲んで…ってやつ。
シャケもそれを実行しようとしてたんだけど…。
確か…10粒くらい飲んで、そのまま寝ちゃったんだよね。
俺はその時仕事で家に居なくて、帰ってきたらソファでシャケが寝てる状態だったんだけど。
机の上に大量の睡眠薬が放置されてたから、成程ねって察した。
すぴすぴと気持ち良さそうに眠るシャケを姫抱きしてベッドに運んで、頭を撫でたら「んぅ”〜…」って呻いてて可愛かった。
万年寝不足の彼にとって、きっと何よりも向いていない方法だったんだな、と思う。
目の下のくまをすり、と指で触れ、そのまま額へキスを落とした。
寝てるはずなのに、へにゃ、と笑うシャケに俺が心臓を射抜かれたのはまぁ、言うまでもないよね。
緑side
「人為的な美人薄命だね」
リビングのソファに並んで座り、きんときが作ってくれたホットミルクをこくりと飲んでいると、ふいにそんな発言が鼓膜を揺らす。
先程まで自殺しようとしていた人間が居た事なんて考えさせないような優雅な時間に、また違和感を覚えなくなっていた。
「…なに?どう言うこと?」
「ん〜?まんまの意味だよ」
「…ふぅん……」
俺の目を覗き込んで目を細める仕草が様になってて、なんとなく恥ずかしくなって目を逸らした。
きんときは、こう言うところがある。
俺に向けての言葉じゃないし、別に理解されたい訳でもない。
きんときがきんとき自身に分からせてる、みたいな。
一種の自己暗示とも取れる気がする。
正直言って何言ってんのかわかんないし、この時のきんときは何となく怖いし。
でもまぁ害もない訳で、適当な相槌を打ってお茶を濁すのが俺の中で一連の流れになっていた。
…多分、この関係は異様なんだろう、って。
俺が死のうとしてもきんときは動じないし、
きんときが俺を止めるのもなんだか当たり前。
俺は死にたい衝動に駆られている時以外は普通に過ごしているし、きんときだって真っ当に生きている。
時々来るこの時間は、実に奇妙で奇怪で…それでいて心地良い。
よく分からない沼にズブズブと嵌って、もう抜け出せないところまで来てしまった。
「…シャケ、難しい顔してるよ?wかぁいい」
「うっせ…」
「…ねぇねぇシャケ。俺ね、思うんだよ」
「何?」
「この関係ってさ、多分一生続くって」
「…」
「俺はシャケに死んで欲しくはないけど、
死のうとはして欲しいし。
行為を途中で止められて、憮然としてるシャケの顔は本当にゾクゾクして堪んないし」
「…変態」
「ふふ、何を今更」
「…確かに」
「でしょ?w
…で、シャケは唐突に死にたくなることがあるんだもんね」
「…ん」
「ここまで異常な程ぴったりな関係を切るなんてこと、
俺…俺らには無理でしょ、きっと」
「…うん」
「…だからさ、いつか結婚しようね」
普段となんら変わりのないトーンで、
永遠を誓わせようと目論む青い奴。
俺たちは、切っても切れない関係性になってしまっている。
歪で、気持ちが悪くて。
世間になんて、きっと非難轟々。
それでもお互いを求めて、結局は隣に居る。
頬に手を当てて、そのままどちらともなく唇を合わせて。
存在を確かめ合うかのように、体の隅々まで触れ合う。
脳味噌をぴりぴりと痺れさせる、甘い言葉だけを囁く。
ただ、都合が良くて、…。
きっとこれには、ぴったりな言葉が有るんでしょ。
「…ん、約束。」
返事に満足したのか、甘く微笑んだ青色は、俺の左手をとり薬指をかぷりと咥える。
ちく、と小さな痛みの後、じわりと滲む擬似的な結婚指輪。
心臓を蝕む冷たさは、仄かな暖かさに溶かされていく。
猛毒にも、毒薬にもなるような二人だけど。
「これからも、末永くよろしくね」
「こちらこそ」
『共依存』
…ね、ぴったりな言葉でしょ。
いかがでしたでしょうか…!
書いている途中、正直自分でも何書いてるのか分からなくなりましたので多分終始「何だこれ」だったと思います…
書いてる側としてはすごく楽しかったので、もう自己満足として括ります。こういう重めの共依存、作者は大好物です()
久々の投稿がこんなよく分からないやつで申し訳ないです…。
次回また見て頂ける事がもし御座いましたら、暗いお話ではなく、甘々な明るいお話になっていたらな…と思います…。
…まぁ出来ればの話ですけれども…!
では、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
また次回お会いしましょう!
コメント
6件
最高でした、、有り難うございます、、。前にも言ったことがあるかもしれないのですが、やっぱりアマンタさんの小説はめちゃめちゃ想像しやすいです、、。比喩表現も上手ですし、なによりやっぱり音ですね。ものすごく引き込まれます。 高校生らしいのでお勉強も頑張ってください。一生応援します
𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬過ぎる。良。 アマンタって文章力すげぇよな 体壊さない程度に一生書いててくれ()