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それはまるで歌詞のように好きになっていった.
彼女とは職場の同期で,新歓の2次会のカラオケで自分が彼女に一目惚れしてしまったのが始まり.しかし中々声をかけれず,やっと告白できたのはその年の夏のことだった.
そんな彼女と喧嘩した.仲直りのタイミングを逃しに逃して1週間気まずい仲が続いている.職場ではお互い愛想笑い,家に帰れば口数少なくおはよう・おやすみなどの挨拶のみ.
「なぁ,久しぶりに一緒に走ってくれないか.」
金曜日,夕食後に堪らず声をかけた.
「いいよ.」
そう言って彼女は準備を始める.バイクが趣味の彼女.初めて後ろに乗せて走ってくれた時の姿は,冗談抜きで翼が生えたかのように綺麗だった.そんな彼女に憧れて,自分も免許を取った.
「前走って.着いていくから.」
「うん.」
夜の街を走るのは久しぶりで,渋滞する車と月を背に走る.やがていつも走る海岸線に出た.
「いつもの所で止まっていい??」
「良いよ.」
無線から聞こえた声.ちょっとした駐車スペースにバイクを止めて,ヘルメットを外して海を眺める.
「ごめんなさい.ほんとはもっと早く謝らなきゃって思ってたの.」
おもむろに彼女は口を開く.
「言わなくても分かって欲しくて,察してほしくて.思うようにならなくてつらくあたっちゃったの.ほんとに,ごめんなさい….」
「こっちこそ,きつく怒鳴ってしまって悪かった….◯◯の言葉遮って,ちゃんと話聞かないといけなかったのに.」
「何言っても,言いくるめられるのがなんか悔しくて,言葉が出なくなるの.」
「◯◯は負けず嫌いというか,変にプライドが高いんだよ.」
「…うるさいな.」
言葉に棘はなく,そう言って強めに寄りかかってきた.
「…仲直り??」
「…うん.」
自分は盛大に安堵のため息をついて彼女を抱きしめる.
「ん…!!折れる!!」
「折れるもんか.なぁ,今日は少し羽を伸ばしていかないか??」
「…??うん.」
ということで,付き合いたての頃よく行った海沿いのモーテルへ.
「ちょっと,がっつきすぎじゃない??」
「1週間ろくにスキンシップできなかったんだ,これくらい良いだろ….」
風呂が溜まるまで,彼女をベッドに押し倒してキスしたり服の上から触ったり.
「自分で脱ぐよ….」
とにかく彼女に触れていたくてつい世話を焼く.
最初に好きになったのは声
それから背中と整えられた指先
時々黙りがちになる癖
どこかへ行ってしまう心とメロディ
湯船に浸かりながら,彼女があの時歌った歌を脳内再生する.実はこの1週間暇があれば聴いていた.彼女はこの歌詞の通り,自分にとっては紛れもない…
「ボーッとしてどうしたの??」
「何でもない.俺も洗うとするか.」
風呂から上がれば言うまでもなく,溜まりに溜まったものを吐き出すかのように求め合う.
「基…っ!!」
「そんな急かすな.」
少し意地悪をして動くのをやめると,彼女は矯声をあげて自ら腰を動かして呆気なく果てた.
「キスして….」
両手を頬に伸ばして言うので応えると.
「またイったのか.1週間ぶりだから無理もないか….」
とうとう自分も限界がきて,ありったけを彼女のナカに注ぎこんだ.はずだけど.
「もう1回シてくれるか.」
「…良いよ.」
目は潤んで,完全に蕩けた顔で言うものだから,理性の糸が切れシーツがダメになるくらい激しくしてしまった.
それから,スマホのアラームの音で目を覚ますと,彼女もうっすらと目を開けていて.
「ごめん,起こしたか.」
「うん….」
「今日は土曜日だから,もう少し寝ような.」
「うん….」
再び目を閉じた彼女の頭をそっと撫でてキスを落とす.
君という天使,その声でその笑顔で俺の世界を照らしてほしいと願って.