あれから1週間がたった。
仲間を殺すなんてとても出来ない…
そう考えては心のどこかから、「 1度皆を殺したくせに 」って声が聞こえる気がする。
毎日夢を見る。
皆を殺した時の、浴びた血の生臭い匂い。
首をはねた時の鈍い音が、ぺいんとの腹を貫き、温もりを帯びた腕の感触が、鮮明に映し出される。
感じる。
聴こえる。
俺の中の後悔がずっと渦巻いて、呑み込まれて身体が引き裂かれるような感覚だ。
そのせいか最近あまり眠れない。
きっと 「 ホンノウ 」のせいだろう。
ホンノウは俺の別の人格と言っても過言では無い。
止められない衝動、青鬼としての野性、残忍さを俺からとった存在だ。
逆に言えば、それらで構成されている人格。
彼の目的は、至って単純だ。
1動物として、種を繁栄させること。
その為には、今の俺、食糧と仲良くするような人格は要らない。
だから俺の人格と位置を変えること、主人格になることを望んでいる。
ぺいんとの呪いのお陰で、俺はほぼ人間と大差なく生きれていた。
俺の中からホンノウが取り除かれたのは戦闘面以外ではなんの問題はなかった。
ただ、所謂野生の勘って言うやつが無くなっただけ。
まぁかなり使っていた、というか頼ってたというかだったから少し戦いづらくはなっていた。
それより、ホンノウと一緒に封じた青鬼としての多くの能力の方が問題だった。
人間になりたいが、皆を守れなくなるのも嫌だ、という我儘にぺいんとは答えてくれた。
ので、はたから見たら人間だが、青鬼の種族として固有のもの、大量の魔力などは内側に隠せる。
といっても角や牙、爪や筋肉が無くなるのは大変だった。
角は常に体の1番前に出ている部分、風の流れや魔力の流れを真っ先に直感的に感じられる器官。
そして、魔力の操作を補助する器官でもある。
牙や爪は狩る側の生き物として必要不可欠な鋭利な武器だ。
そして筋肉はそもそも人間と魔物では創りや強さが違いすぎる。
最初の方なんか常に身体強化魔法を使っていたし、戦う時は今でも必須だ。
まぁそれらを使える状態、ホンノウを解放した本来の俺よりかは、今の俺は半分以上の力を封じている状態にある。
そして、現状物資もない、肉体も育っていない皆じゃギリギリで倒したただの魔王すら倒せないだろう。
ともさんは、とても強い。
そんなともさんと融合した魔王を、こんな状態じゃ、俺じゃあ、倒せない。
悩んで出した結論、それは―――
ホンノウと再び融合すること。
といっても、どうやればいいか分からないし…
どちらにしろ呪いをかけた張本人、ぺいんとと話をする必要がありそうだ。
最近悪夢を見たり、新月でホンノウに打ち勝てなくなったりしてるのはきっと呪いが弱まっているせいだろう。
どちらにしろちょうどいいな。
ぺいんとを探しに校内をまわる。
•*¨*•.¸¸♬︎.•*¨*•.*♬*・:*ೄ‧·* ♪♬
どこからともなくピアノの旋律が聞こえる。
軽やかなはずなのに焦りと不安が伝わる。
音が感情を持っているような、この弾き方はぺいんとだ。
音楽室の方へと廊下を歩く。
次第に大きくなる音。
ピアノの音にかき消されて聞こえていなかった微かな歌声。
普段とは一転し、優しく、包み込むような穏やかなぺいんとの歌を聴いていたくて、ドアの横の壁にもたれかかる。
ぺ 「 -〜゚~~♪…… 」
やがてピアノと歌声が止む。
ぺ 「 …盗み聞きは良くなくない? 」
ら 「 あ、いやえと、盗み聞きとかじゃなくて… 」
ぺ 「 嘘々wwで、どうしたの? 」
ら 「 それがさ、かくかくしかじかで―― 」
ぺいんとに事情を説明すると、リアルにうーん、と唸り声を上げたあと、口を開いた。
ぺ 「 出来ないことは無いけど…らっだぁも分かってるんだよね? 」
ら 「 勿論。 」
リスクが伴う。
それも、とてつもない。
また繰り返すかもしれない。
でも、臆したままじゃ前に進めない。
このままじゃ皆死ぬ。
ぺ 「 …わかった。皆に伝えて明日中には準備しよっか。 」
ら 「 おっけ〜 」
覚悟の上だ。
必ず成功させる。
名誉挽回の復讐を。