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「おい、それラストだから持ってくなよ!」
言い忘れていたが、炎露もなかなかの酒豪だ。
この寒いシベリアで過ごしていると、体を温められるウォッカなんかは最高のものだ。無くなるなんてしたら、この家の酒好きが泣くぞ?
「不法侵入も辞めろよ〜」
俺が炎雰にそう声をかけても、「ん」とだけ返事が返ってきた。
あれは多分俺の話し聞いてないわ。
「じゃ」
そんな短い言葉を残して、炎雰は、炎露のラストのウォッカを持って窓から家を出た。
「炎雰……、かっこいいな…」
そんな事を小さく呟く共華の声を俺は、俺達は聞き逃さなかった。
「共華?!まだ嫁に行くな!」
「共華…、もうちょっとこの家に居てね」
「ツッコミ要員が減るから家は出るな。婿入りしてもらえ」
宇炎を除く、俺と白華、炎露の3人で必死に共華の嫁入りを止めようとする。
ん?待て、炎露。婿に来てもらう前提で話さないでほしいんだが……。
「け、結婚はまだ考えてませんよ!…結婚は…」
おいおい、これは彼女になる気満々じゃないか…。
炎雰のどこが良いのやら…。
あの無口&無表情で、何考えてるか分からんし、堂々と不法侵入するし、吹雪きの中のあいつの射撃はトラウマ級の怖さだし…。
いや、本当に…。吹雪きの中歩いてたら周りにいた人間が一人、二人と脳天撃ち抜かれて死んでんだから、怖くねぇ方が恐ろしいわ。
家族でワイワイと過ごすこの空間が愛おしい。
苦難を乗り越えて、手に入れたこの家族。
やっぱり最後に残ったのは、氷の中になんて閉じ込める事が出来なかった愛情と、幸せだった。