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「うちだけじゃない。この百貨店を経営してる榊(さかき)グループも、今は世界中に店舗があって、入っているブランドも、扱う品物もとにかく超一流だからな。常に時代の先を行ってないといけない」
「うん、確かにここはすごく素敵なお店がたくさんあるよね」
その分、お値段もびっくりする。
ただ目の保養にするだけ。
もちろん、私でも頑張れば買える物もあるから助かるけれど……
「ああ。ここの榊社長には、ホテル リベルテも以前からずっとお世話になってるから、挨拶も兼ねて足を運んでるんだ。俺も、しっかり勉強して物の価値を判断できる力を身につけたいと思ってる」
「そうなんだ……本当にすごいね。そんな目を養う勉強って、きっとすごく大変なんだろうね。龍聖君、もう立派に経営者だね。本格的に経営陣に加わるんだ……これから忙しくなるよね」
「ホテル経営を学ぶのは大変だけど、やり甲斐はある。経営側ももちろんだけど、今はホテルのことをいろいろ勉強して、お客様とも実際に関わったりしてる」
「龍聖君、ホテルマンもしてるの?」
「まあな、今は何でも屋だ」
2人で笑う。
この感じ、とても懐かしい。
「龍聖君は、何といっても鳳条グループの御曹司なんだもん。大変だと思うけど、バスケ部のみんなで応援してるから頑張ってね。でも……体には気をつけて」
一生懸命過ぎて無理してしまう時があるから、病気になったり、怪我をしないでほしいと本気で願っている。
龍聖君は、世界中に期待されてる人だから。
「ああ、体が資本だからな。体力には自信がある、だから心配いらない。ところで、そのパジャマ買うのか?」
私は手に持ったままのパジャマを見た。
まるで自分の物みたいにずっと抱きしめながら話していた。
「あっ、本当だ。うん、これ、買うね」
お父さんのプレゼントを買いに来たことを、私は数分間忘れてしまっていた。
「琴音、ここ出たら、少しお茶でもしないか?」