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おそらく彼の夢の中なのだろう、白に包まれた一本道を彼が白衣姿で歩いている情景が映し出される。

その手には薄いボードのようなものが握られており、日本語ではないどこかの国の文字でびっしりと文字が綴られていた。


「あ」


彼の目の前に、もう一人、白衣姿の男が足を止める。


「やっと仕事する気になったんですかぁ?」


片眉を下げ、下から覗き込む男。

目の色は黄色で、片方の瞳は少し淡黄地味ている。

”オッドアイ”とでも言おうか。


「いやそれがめっちゃいい夢見てたんよね」


「どんな夢?」


彼が声にうまく強弱をつければ内容を知りたがる男。


「エッ◯な女の人が誘ってくる夢」


「うわなにそれぇ!」


子どものようにキラキラとした瞳を彼に向ける男。


「え、もちろん…?」


ニヤニヤと笑みを浮かべながら小声で聞いてくる男に、彼は溜息を大きく吐いてみせる。


「それがさぁ〜__」


彼と男が楽しそうに話す情景が遠のいていく。

そして_








ブツッ__










??。

痛みを訴える頭を抱えながら、重い体を起き上がらせる彼。

辺りには知らない灰色のコンクリートで出来た空間が広がっていた。

彼が体重を預ける革製のソファ1つと人体模型が4つ…それらが頭のみ、彼の座る方へ向いていた。

部屋は薄暗く、空気が冷えた様子からどこかの地下室なのだということが連想される。

動きにくい自身の身体に目を向けると、何やらバサバサとしたものが巻かれていた。

形状からしてロープの一種なのだろうか…

色の識別が格段に落ちる彼の視界では、残念ながら判別することは難しい。


『あ、起きたよ』


透き通るような声が、部屋の隅から聞こえる。

影になって声の主が目視できないそれに、彼はじっと目を凝らした。


『あほ。そんなんで見えるわけないやろ』


懐かしい、けれど聞いたことのあるような、ないような不思議な声たちに、さらに頭が痛む。

まるで何かに蝕まれているように。


ギイィ__


出入口なのだろう鉄扉が音を立てながら開かれるも、防音材が敷き詰められた構造のここでは音が自然と空気に溶け込み、やがて聞こえなくなる。


…あれ?


「おはざぁ…す、」


今起きたと言わんばかりに目を閉じた男が入って部屋の中に足を踏み入れた。


…俺は、何かを、


「お、起きてんじゃ〜ん」


男は4つの人体模型を彼の前に移動させる。


ゴトッ

「よっし!」


土埃のついた手袋を取り、ゴミ箱に捨てる。

男は両サイドに2:2で置かれた人体模型の間に立ち、両腕を広げて見せた。


「思い出したぁ?」


その瞳はどこか…懐かしく…


「…何を?」


どこか、


「わかってんでしょ?」


顎を掴まれる。


「ねぇ、”らっだぁ”」


その瞳に、沼に引き摺り込まれる様な…


ドン‼︎


大きな音と共に、目の前の相手が後方に飛ばされる。

男とは別に、彼の前に大きな影がひとつ。


『強制的にやるのは無しって言ったでしょ』


それは片腕を出して、怒っていた。





→♡3000






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