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攻🐉×受🔝の捏造まみれのジヨタプ小説。
ご本人様たちとは全くの無関係。
ご都合主義の矛盾まみれ解釈違いもろもろですがたくさんの愛はある。
今回も割とうじうじ🐉ですので注意。
覚悟の上読んでくださる方はそのままお進みください…!
これで何度目になるだろう。
何度目同じことを繰り返しているだろう。
「じゃあこれを1本ください」
こんなことしたってなんの意味もないのに。
それでもそのままになんかできなくて、今日もまた。
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始まるツアーに向けて着々と準備が進む。大変なことも多いが、その何倍も楽しいことがわかってるから、準備期間含めてこの時間が俺は好きだった。いつもたくさんの愛をくれるファンたちと会える機会でもある。最高のパフォーマンスを見せるためにみんな努力を惜しまなかった。
今日も練習を終えくたくたの身体を抱えながら帰宅した。疲れきってはいたが、シャワーを浴びたらなんだか目が冴えてしまった。明日も早いから少しだけ、とセラーからワインを取り出してあける。グラスに注いだそれを飲みながら、なんとなく自分たちの歌を流してしいた。
(……そういえば、)
俺たちの歌は基本的にジヨンが作っているが、恋愛系のものは失恋に悲しむものが多い気がした。悲しみに暮れるものや、好きなのに別れなければいけない苦しさ、片思いの苦味。離れてもまだ好きでいる自分の気持ち。そういった言葉をなぞりながら、俺はその歌詞の表現や言葉回しに驚かされることが多かった。
「どうしたらこんな言葉が浮かぶんだろうな…」
まさか全て実体験?経験故の表現方法?そうなれば彼はとてつもない数の恋をして、同じくらい失恋しているということになる。まさかそれはないと思うが、それにしてはあまりにもリアルなことが多くて。
「あのジヨンが…」
そう、みんなが憧れ崇拝し慕っているといっても過言ではないあの彼が。
歳下ではあるがリーダーのジヨンは、カリスマという言葉の擬人化みたいな人だと思う。当然好きになる人も多いだろうし、あのジヨンと付き合えたらさぞかし幸せだろうと、他人事だからだろうが思う。そんな彼が。
「人は見かけによらないからなぁ」
恋愛マスターかと勝手に思っていたがちがうのだろうか。どれが本当か嘘かわからないが、彼は女性との噂だって後をたたないのが事実だ。
「……ふっ」
恋愛マスターって。我ながら間抜けな言葉だ。自分で思ってからつい笑ってしまった。そんなこんなでグラスは空。俺はどうするかしばし迷った。
「……………あと、一杯だけ。一杯でやめる」
誰に言うでもなく1人で呟いて、俺はまたグラスにワインを注いだ。
「ジヨンてさ、」
「うん?」
ダンスの練習、休憩の合間。隣に座るジヨンに話しかけた。彼は水を飲む手を止めてこちらを見る。
「なんていうか…ジヨンの書く歌詞の、恋愛ものって失恋が多いだろ?」
「…ああ、そうだね」
「それって実体験なのか?」
数週間前のあの夜。ワインを飲みながらふと気になったことをストレートに彼にぶつけてみた。なにか嫌な記憶を思い出させてしまう可能性もあったが、どうしても気になってしまったのだ。
「んー…」
「……あ、答えたくなければ別にいいんだが…」
「あはは、そういうわけじゃないけどね」
そう言って笑ったあと、ペットボトルの水を飲み干した。
「うーん…実体験ていうのが正しい表現かどうか分からないけど…。でも失恋の数は数え切れないほどあるから。そのときの苦しさとか悲しさを、文字に起こしてる感じかな」
意外だと思った。あのクォン・ジヨンが数え切れないほどの失恋なんて。
「そうなのか」
「うん。ま、片想いにも失恋にももう慣れてるけどね」
「ふーん?」
ふと、「慣れてる」という言葉に引っかかった。「慣れた」という過去形ではなく。
「今も?」
「ん?」
「今も、誰かに片想いしてるのか?」
聞いてからしまったと思った。こういった話はメンバーだからこそしにくいのに。親しい間柄だからこそ聞きにくいこともたくさんある。恋愛話はその1つだ。
「うーん…うん。そうだね」
ジヨンは静かに頷くと、ふと微笑んだ。眉を下げて笑うその顔は、なんだか泣いてみたいだった。
「ずっと前から、好きな人がいる。もう何年も……何回も諦めようと思った。でもしぶとくてさ。今も諦めきれなくて」
「……そう、なのか」
なんだか彼の触れてはいけない部分を見てしまった気がしてそわそわした。これ以上この話をするのよくないのかもしれない。
「……でもきっと、ジヨンなら、大丈夫だろ。うまくいく」
結局なんとも無責任な言葉になってしまったが、どうにか前向きにしてあげたいという気持ちもあった。
「…………はは、ありがとう」
なのに、彼の顔はますます悲しそうになるばかりで。俺はそれ以上どうしていいかわからなかった。
「今日もいつも通りの包装でよろしいですか?」
その言葉に頷いた。もう何度も同じものを買ってるから、店員ももう覚えているのだろう。
「いつもありがとうございます」
眩しいくらいの笑顔でそう言われ、曖昧に頷くことしかできなかった。
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「タプヒョン、映画出演決まったってほんとうですか?」
キラキラとした目のテソンにそう言われ、俺は頷いた。
「ああ、そんなメインじゃないけど…」
「でもすごいですよ!まだ公式発表じゃないですけど、決まったら宣伝しますね」
「ありがとう」
「へぇ、どういう内容なの?」
楽屋で話していたからみんなの耳にも届いていたのだろう。ヨンベが会話に入ってくる。
「ん?今回は恋愛もの…だったかな」
「おお〜さすが俺らのビジュアル担当!」
「おいバカにしてんだろ」
にまにました顔のスンリの頭を叩けば、痛いと嘘泣きをされたので無視した。
「しかも噂によると、今人気急上昇のあの女優さんが相手だとか?」
「え?ああ、まあ…」
「あの人ほんと綺麗ですよね〜」
そう言うテソンに、そうだなと同調する。正直言えばあまり気にしてなかったが、たしかに肌も白くて細身の女性だったような…。
「……タプヒョンはああいう人がタイプなの?」
「!」
まさかの質問に声の主を見れば、ジヨンがソファに腰かけながらこちらを見ていた。
「え、いや…どうだろう。考えたことないな」
「そういえばタプヒョンてあんまり浮いた話がないような…どういった方がタイプなんですか?」
正直こういう手の話はあまり得意ではない。が、スンリは好きらしい。嬉しそうに話にのってくる。
「んー…どういうって、言われてもなあ」
過去に素敵だなと思った人はもちろんいるし、小さいころは好きな子もいた。告白してふられたことももちろんある。
「…年上の人が多かった、かな?偶然だけど。落ち着いてて安心するというか…」
「へぇ!なんか意外です」
「そうか?」
姉がいることが多少なりとも影響しているのかもしれない。この仕事を始めてからは仕事ばかりで恋愛なんて考えてもなかったし、業種的にもファンの方を優先にすることが多いので、誰かに夢中になる機会も早々ないが。
「……ふーん、そうなんだ」
呟くように言ったジヨンの声がやけに耳にこびりついて、彼の方を見た。もうみんなは違う話を始めていても、彼は1人、ぼんやりとどこかを見ている。
「……ジヨン?」
思わず名前を呼んでいた。その声に反応するようにこちらを見たジヨンは、ただ静かに笑うだけ。眉を下げ、悲しそうに。
マネージャーから渡された週刊誌のゲラに顔をしかめる。この前ご飯に行った先、タバコを吸おうと外に出たタイミングでファンの女性に話しかけられた。ところを撮られたようだ。
「潰してもらいますけど、これって事実じゃないですよね?」
「ああ」
そのときの状況を説明すれば、マネージャーはホッとしたような顔をした。傍から見れば俺とこの女性がデートしているように見えるし、記事もあることないこと好き勝手に書かれている。
「こういうの、書いてて楽しいか?全部妄想だってのに」
「まあまあ、パパラッチってそういうもんですよ」
テソンの慰めに、余計に呆れてそのゲラはゴミ箱に捨てた。
「でもタプヒョンが撮られるの珍しいね」
「そうですね、こういうのはだいたいジヨンヒョンなのに」
そう言ったスンリを、ジヨンがギロリと睨みつけて手のひらで頭を叩く。でもたしかに、ジヨンはよく女性関係の噂が後をたたない。それだけ有名でみんなの注目を浴びているということなのだろう。その都度「こんなの嘘」と否定してるが、実際のところどうだかはわからない。
「…はあ。タプヒョンで証明されたけど、こんなの嘘ばっかなんだって。俺も毎回言ってるけど、中々なくならないよね」
「え、でもジヨンて…」
好きな人いるんだろ?
と言いそうになって慌てて口を噤んだ。この話はだいぶ前に彼から聞いたが、無闇に言いふらしていいものでもないと思ったのだ。あのときはたしかダンスの練習の合間、休憩中に少し話しただけだが、あのときの彼の顔はなんだかとても悲しそうで寂しそうだった。あまり触れない方がいいのかもしれないと思ったのを覚えている。
「ん?俺がなに?」
「……いや、なんでもない」
そう、ずっと俺は、親しい間柄のメンバーだからこそあまりこういった恋愛話をしないと思っていたが、よく考えるとそんなこともないなと最近思っていた。テソンやスンリ、ヨンベとはたまにすることがあるから。小さい頃好きだった女の子の話だとか、告白したときの話、バレンタインで貰ったチョコの話や街で見かけた可愛い女の子の話。他愛もないものばかりの恋愛までもいかない話だが、そういった話をすることがたまにある。
しかし、ジヨンとそういう話をした記憶がほとんどない。彼にだけ。
『 ……タプヒョンはああいう人がタイプなの?』
前にドラマの話の流れで、一度だけそういった質問をされたことはある。でもそれだってすぐに話は終わった。他の人たちはどうなのだろう。俺にだけなのか、それはわからなかった。
「……ねぇ、」
そんなことを考えていたから、そっと近づいてきたジヨンにびっくりして反射的に身体が跳ねた。他の3人には聞こえないような声で、彼が話しかけてくる。
「な、なんだ?」
つられて俺も小さな声で答えた。彼はじっと俺の顔を見る。その瞳は、なにかを探るような色をしていた。
「………本当に、嘘…なんだよね、?」
「………ぇ?」
言われた言葉に一瞬固まる。まさかそんなことを言われると思っておらず、随分と間抜けな声が出てしまった。
「……なんでそんなこと聞くんだ?」
気づけば質問に質問で答えていた。するとジヨンは、ふっと息を吐き出すように微笑む。
(……また、だ)
もう何度、彼のこういった表情を見てきたのだろう。眉毛を下げ憂いを纏うその笑顔は、笑ってるはずなのにとても悲しそうに見える。
(なんで、そんな顔……)
「…………ううん。なんでもない。忘れて」
忘れられるわけない。そんな泣きそうな顔で言われても。
玄関で靴を脱ぎ、真っ直ぐにその場に向かう。いつもの定位置、窓際のスペース。晴れた日の夜は綺麗に月が見えるこの場所に、買ったばかりのそれをそっと置く。
「………ごめんね、」
次にこれを買うのはいつになるだろう。きっとそんなに遠くない。
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そこの喫煙所は、外に灰皿がぽつんと1つ置いてあるだけ。屋根もなにもないから雨の日は最悪だ。そこに向かったとき、見えたものに思わず足を止める。ひらひらと手を振るジヨンの背中、その奥には嬉しそうにその場を去っていく女性が1人。
「…………誰だ?」
彼女が見えなくなったころ、ようやく近づいて声をかける。
「ああ、ファンだって子。俺に気づいて声かけてくれたの」
「そうだったのか」
「ほんと、嬉しいよね。こうやって話しかけてくれたり応援してくれるって。たくさんの愛をくれて、幸せだなあって思うよ」
「ああ、そうだな」
ジヨンは嬉しそうに笑ったあと、咥えたタバコに火をつけた。仄暗い煙がゆっくりと上がっていく。それをなんとなく見ながら、俺もタバコを1本取り出して咥える。
彼の言う通り、感謝してもしきれないくらいたくさんの愛をもらっている。
(……愛、か)
果たしてそんな彼の、愛はどうなってるんだろう。
「……最近、どうなんだ?」
「ん?なにが?」
「その…前に言ってたろ。好きな人がいるって」
「………うん」
「どうなったのかなって…進展?とか」
俺は彼とこの手の話をほとんどしない。だからあまり深堀しないほうがいいとは思ってるが、それでもそれと同じくらい応援したい気持ちがあった。
『何回も諦めようと思った。でもしぶとくてさ。今も諦めきれなくて』
あの日聞いたそれを心配していたから。もちろん彼がそういった私情を仕事に出すことは一切しないが、1人の友として気にはなっていた。
「…特にない、かな」
「……そうか」
「言ったでしょ?もう諦めてるって」
「……、」
ジヨンはそう言って笑った。その拍子に口から煙が吐き出されていく。
「……なんか、その…上手くは言えないが……ジヨンは本当にすごい人間だと思う。男から見てもかっこいいし、感心させられることばかりだし」
「……どうしたの?急に」
「いや…そんなジヨンから想われたら、その子も幸せだと思うぞ俺は。だから、告白とかしてみないのかなって…」
余計なお世話だと言われたらそれまでだ。でも言ったことは本心だった。こんなスーパースターのクォン・ジヨンから想われるなんてさぞ幸せだろう。なのに諦める必要があるのだろうかと思ってしまう。
「………」
黙ってしまった彼に焦った。やはり余計なことを言ってしまったか。そう思いなにかを言おうとしたとき、彼の方が先に口を開いた。
「…じゃあさ」
ふとタバコを持つ右手の手首を掴まれる。そこからじんわりとした熱が広がった。
「…タプヒョンでも、そう思うの?」
「…ぇ、?」
「俺から愛されたら、幸せ?」
真っ直ぐにこちらを見つめる瞳に思わず心臓が跳ねた。言われた言葉が咄嗟に理解できなくて混乱する頭に反して、鼓動がどんどん速くなっていく。
「……な…なに、言って……、」
声が震えてしまった。長くなった灰が耐えきれなくなって地面に落ちる。
「……ジ、ヨン?」
右手首に感じていた熱がなくなった。離れていった手、意外と男らしいなと今更ながらに思った。
「………ふ、はは。冗談だよ」
彼はまた悲しそうに、笑っていた。
「これを1本、お願いします」
今日もまた、いつもと同じ。包装してもらったものを抱えて店を出る。今夜もこれを見ながら、君の好きな赤ワインを一杯飲もうかな。
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(…あ、)
久しぶりのオフ、特に予定もなく1人で出かけた先で、たまたまジヨンを見かけた。店から出てきた背中を見ながら、ふとその看板を見上げる。
「…花屋?」
そう、小さな花屋から彼は出てきた。そこでふと思い出した。俺はこの光景を見るのが初めてじゃないということを。
いつだったかもう思い出せないほど前、今日と同じように花屋から出てくるジヨンを見かけた。包装されていてどんなものまでかは見えなかったが、大きさから見て一輪だけ。花屋に来ること自体はない話ではないだろう。だが驚いたのは確かだった。時が経つにつれ忘れていたが。
あの日見た光景と全く同じだった。
「ジヨン、」
気づいたらその背中に声をかけていた。彼は足を止め、ゆっくりと振り返る。カモフラージュとしてかけているメガネの奥、驚いたように目が見開かれていた。
「…タプヒョン、?…なんで、ここに…」
「たまたま近くを通りかかったらお前を見つけて…」
「そう、だったの…」
目を伏せる彼の手をちらっと覗く。そこにはやはり一輪だけ。
(…黄色の、チューリップ?)
不思議に思って見ていると、その視線に気づいたジヨンが笑った。
「なに?変?」
「いや変とかじゃ…ジヨンでも花とか買うんだなって…」
「あはは、俺のことなんだと思ってんの」
彼はそう言いながら歩みを進める。迷ったが、俺もその隣を歩いた。しばらくお互い黙ったまま歩みを進める。その沈黙を破ったのはジヨンだった。
「………………実は今日が、命日でさ」
「ぇっ」
思ってもない答えに思わず立ち止まってしまった。命日?誰の?いやそれより…黄色のチューリップ一輪は不自然だろう。つられるようにジヨンも止まって、ゆっくりと俺を見上げる。
「ううん。今日が、じゃないな……今日も、の方が正しいかも」
「……どういう、ことだ、?」
それに対して彼は何も言わず、ゆっくりと微笑んだ。それは全てを諦めたような、あの悲しい笑顔。
「……タプヒョン、この後時間ある?」
「え?あ、ああ…」
「よかったら、俺の家来ない?」
笑ってるのに、泣いてるみたいな。
コメント
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すきです😭😭続きが気になる😭読み始めた時タプが実は死んでて過去の話を語ってるのかと思ってたけどそうじゃなさそうでひとまず安心です...🩷でもこの先どんな展開になってもすきです😘てかやっぱ書くの上手いですね😭