最初突然過ぎて、何が起こってるのか分から無かった。
信号の途中で突き飛ばされた私と、周りから聞こえる悲鳴。そして
大好きな人の血でじわゞと水溜まりができていく足元。
それを見てるのが怖くて、思わず彼に声を掛けた
「…だい、ちゃん。ねぇ、大ちゃん。」
彼からの返答は、予想してた通り無い。
誰かが呼んできた救急隊員の声も聞かずに、自分より大きな身体を揺さぶった
「大ちゃん、返事してよ。」
「……しず…き、」
横に座り込んでた私の頬に腕を近付けながら、震える声で名前を呼ぶ彼。
「大ちゃ、」
思わず涙が零れた。それなのに
「無事で良かった。」
彼はそう言い其の儘意識を飛ばして、泣き喚く私と一緒に救急車に放り込まれた