大森side
目を開けた涼ちゃんは、俺を見ながらニコッと笑う。
涼ちゃんがプレイを今から始めるよって合図だ。
始まる
わかっているのにいつも緊張する。
藤澤「元貴、Kneel(おすわり)」
俺は素直にラグの上にぺたんと座る
藤澤「うん、上手だね。Goodboy元貴」
久々のコマンドに身体がぽかぽかとする感じがした
藤澤「今日は元貴がどうして欲しいか言ってみようか。元貴、言える?」
まずはコマンドを使わずに聞いてくれる涼ちゃん。
大森「あ、……ほ、……めて、欲しい……」
藤澤「うん、他には?」
大森「…………」
藤澤「元貴……say(言って)」
大森「っ、た、沢山、撫で、て欲しい……」
プレイだと言っても、やっぱり内側に秘めた思いを話すのが恥ずかしくて俯いてしまう
藤澤「下向かないでこっち見て…………元貴、look(見て)」
涼ちゃんからのコマンドに顔を上げれば、優しい顔で俺を見つめる涼ちゃん
藤澤「ちゃんと言えて偉いね、沢山褒めなきゃ、Come(おいで)」
ずりずりと座ったまま涼ちゃんの足元まで行けば、優しく俺の頭を撫でてくれる。
涼ちゃんの手から何か出てるのかと思うほど涼ちゃんの手は暖かく、気持ちがいい……
藤澤「いい顔……気持ちいいね、元貴がいい顔してると僕も嬉しいよ」
大森「うん…………涼ちゃんの手、あったかい……」
藤澤「んふふ、ありがとう、今日はもう少し……ね。元貴が話しやすい体制とろうか、どうしたい?」
大森「……ぎゅってして……ほしい……」
藤澤「自分から言えて偉いね……元貴、Come」
俺を迎えるように両手を広げ、しっかりと俺の目を見ながらおいでと言う涼ちゃん
座っている涼ちゃんを跨ぎ、胴に腕を回し胸元に顔を埋める
藤澤「ちゃんと来れて偉いね、Goodboy」
大森「……ズルい……」
藤澤「ん?」
大森「だって……全部褒めるんだもん」
藤澤「ちがうよ、元貴がちゃんと出来てるから褒めてるんだよ」
大森「……簡単なやつばっかりだから」
藤澤「それでも出来てる、だから僕は褒めてるだけだよ」
頭と背中を撫でながら沢山褒めてくれる涼ちゃん。
身体がぽかぽかと暖かくなる感じと頭がほわんとする
藤澤「元貴気持ちいいね、……元貴が気持ちよさそうで僕も嬉しい」
大森「ありがと……涼ちゃん……」
藤澤「……ねえ元貴、さっきの事、聞いていいかな?言える?」
涼ちゃんは優しい声で俺が自ら話をするか、コマンドを使うかをさりげなく聞いてきた。
俺は首を縦に降り、ゆっくりと話しだした
大森「…………最近……前より若井と居る時間が苦じゃなくなってきて……」
藤澤「うん、」
大森「昔の……中学の頃の事を思い出してた……」
藤澤「うん」
涼ちゃんは俺の主語もなく、突拍子もない話に優しく相槌をうちながら聞いてくれる
大森「出会った頃は……domとかsubだとか関係なく互いに音楽が楽しくて、共感出来ることが嬉しくて…………でも…………」
藤澤「大丈夫、ゆっくり……ゆっくりでいいから」
大森「……この前みたいにサブドロップしかけた事があるんだ……その時……若井が……コマンドをくれた……。今でも覚えてるんだよね……初めてのコマンドに身体が熱くなるような感じとドキドキするような感覚……若井に……hugって言われて俺の心拍数とか聴こえてるんじゃないかと思うと若井の顔なんて見れなかった……俺……恥ずかしかったんだよね……」
藤澤「うん……」
大森「その後俺入院して……若井とは1週間後くらいに会ったけど……助けてくれてありがとうとか、迷惑かけてごめんとか……本当は言わなきゃいけないのに俺……言い出せなくて……そしたら、そのままその時の話は俺たちの中ではしない……みたいになった。だから俺……ずっとあの時、あんな事が無かったら……あの時、ちゃんと若井にしてたら……って…………」
藤澤「そっか……話してくれてありがとう、偉いね、Goodboy元貴」
大森「……涼ちゃんこそ……聞いてくれてありがとう」
藤澤「ちゃんと出来た元貴をもっともっと褒めてあげないとね」
大森「……もう沢山褒められたじゃん……」
藤澤「ううん、僕はもっともっと褒めたい。だからもう少しだけ……今度は僕に付き合って?」
珍しく涼ちゃんからのお願い。
俺がコマンドプレイを頼んで、俺がある程度満足したらいつもそれで終わっていた。
Switchの涼ちゃんはその名の通り、切り替えられるからdomになってもそこまでdom性が強い訳じゃないと聞いていた。
でも今日はもっと俺を褒めたいと
大森「いいよ、涼ちゃんにはいつもお世話になってるし、俺も……褒められるのは……」
藤澤「褒められるのは?なに?」
大森「……」
藤澤「元貴、look。say」
大森「……褒められるのは……嬉しいし、気持ち、いい……」
俺の発言に、涼ちゃんはびっくりして目が開いてたけど、すぐに涼ちゃんの目は弓のように弧を描き、優しく笑った。
藤澤「素直に言えたね、Goodboy元貴。そう言って貰えて僕はめちゃくちゃ嬉しいよ」
優しく笑いながら俺のおでこに軽く唇を落とされた
大森「りょ、涼ちゃん?!」
藤澤「素直な元貴が可愛くてつい……僕のdom性がちょっと擽られすぎちゃったかも……嫌だったよね、ごめんね……」
大森「ううん、嫌じゃない……おでこ……熱いや」
藤澤「どれどれ……僕も熱いみたいでわかんないね」
コツンとおでこを合わせてふたりで笑った
藤澤「元貴、今日はこれで最後………hug……」
大森「……ん、」
俺はもう一度、涼ちゃんの背中に添えていた腕を回して、強く、強く、涼ちゃんを抱き締めた。
藤澤「Goodboy、元貴。……今、身体はどう?」
大森「今……ふわふわしてる」
藤澤「ちゃんとプレイが効いてるね。今のうちに寝よっか……ベッドまで連れていこうか?」
大森「……涼ちゃんはどうするの?」
藤澤「今日は元貴が起きてるし帰ろうかと……」
大森「……そっか」
藤澤「どうしたの?」
大森「ちょっと……寂しいなって」
藤澤「ふふ、」
大森「な、なに笑って」
藤澤「素直で甘えたな元貴は可愛いなって。寂しいって言って貰えたし、僕、泊まっていくね」
そう言って涼ちゃんは俺を抱えたまま寝室へと向かった。
藤澤「抱きしめるのは悪いから手を繋いで寝よっか」
大森「何が悪いの?」
藤澤「あ、いや、元貴は若井が好きなのに僕じゃあ悪いなって事だよっ」
大森「前回抱きついて寝たけど……って俺覚えてないんだ」
藤澤「ふふ、確かに爆睡だったね、今日は疲れたでしょ、僕だけど隣に居るから寝よう」
大森「涼ちゃんだからいいんだよ……ありがとう……」
藤澤「そう言ってくれてありがとう、おやすみ元貴」
大森「おやすみ……涼ちゃん」
いつもの様に右側に居て
手を繋いでくれて
繋いだ手が暖かく安心して俺は眠りについた
涼ちゃんにありがとうと何度も感謝しながら
コメント
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初コメ&一気読み失礼させて頂きました…!読めば読むほど沼にハマるぐらい面白くて…🤭もうニヤニヤが止まりません🥴 続き楽しみにしてます!✨️
ひゃあ、ひゃあっ!! やばいでしょ…..甘い甘い、!! うぃ、最高です。 癒やされました~……幸。
GoodboyがGooddayに見えてくる……だと?!