コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
朝 。
私は早くから家を出て学校へ向かっていた 。
今日はくれがいなく 、いつもより早い時間に歩いている 。
それも昨日見れなかった手紙を見るために 。
ドキドキと心臓が高鳴るなか 、私の足は早く動いていた 。
それくらい楽しみ 。そのおかげで学校が楽しく感じるくらい 。
本当に大げさに見えると思うけど 、それくらい 。
そのため朝が早く辺りには人がいない 。
この時間では相当早く来ている人くらいしかいないんじゃないかと思う 。
段々歩いていくうちに学校が見えてきた 。
更に心臓の鼓動が早くなる 。
大きな校門をくぐり、靴箱に靴を収め 、教室に向かった 。
教室に着くと 、クラスメイト二人ほど教室にいた 。
「 おはよーございます 。 」
私は小さく挨拶し 、机にカバンを置いた 。
筆箱や教科書を出してカバンをしまって 、早足で図書室に向かった 。
図書室に着く 。
朝早い時間帯ということで 、開室しているとはいえ 、明らかにしんとしている 。
まぁ、人がいてもしんとしているけど 、そうじゃなく 人の気配が少なく物静か 。
そんな中でも私は奥に進み 、例の本を探していた 。
いつもの本棚に着く 。
少し場所が変わっていたけれど 、例の本を見つける 。
パラパラと本をしているとひらりと紙が落ちた 。
あった … これですかね 。
落ちた紙を拾い上げ 、紙を広げる 。
そこには思惑通り 、新たな返信が書かれていた 。
「 手紙を始めたのは偶々なんですけどね 。
ちょっとしたロマンを味わってみたくて 。 」
ロマンを味わうなんて素敵なことに思わずドキッとしてしまう 。
あぁ 、思ってること結構一緒だなぁ 。
なんて少し近いものを感じて嬉しくなる 。
私はいつも通り胸ポケットからシャーペンを取り出して 、返事を書く 。
「 ロマン 、わかります。私も思ってました 。
密かにお手紙を交わすなんて素敵ですね 」
私は思ったことを率直に書いて 、本を元に戻した 。
お手紙を交わすだけでこんなに嬉しいなんて初めて 。
相手は見えないけどドキドキするなんて 、ほんとにロマンチックですね 。
そう考えながら 、明日もお返事ありますように 、そう心のなかで願って教室に戻った 。
教室に戻るとくらが来ていた 。
「 おはよーござす 、くれ 。朝はすんません 」
「 あぁ 、めも 。おは 」
短く挨拶を交わし席につく 。
って言っても私の前の席がくれなんですけどね 。
「 だいぶ朝早く行ったんだよね?何してたん? 」
くれが気になると言わんばかりに聞いてくる 。
まぁーくれ ぐらいなら言っていいですかねぇ 。
そう思って話してあげることにする 。
「 一昨日だっけか 、その前でしたっけ 。
まぁそれで 、図書室の当番のときに 、本棚から結構離れた場所に本が落ちてあったんです 。
それ拾い上げたらまさかの一枚の紙が落ちてきて 、拾い上げるとまさかの手紙が書いてあったんですよ! 」
私は心が弾みながらくれに説明する 。
「 最近お楽しみ!って言ってたのがこれのことです 。
昨日はちょっとあって見れなかったんで今日の朝至急で見ようかなあと思いまして。
顔が見れない相手ですけど良くないですか!?ロマンチックでドキドキしますよね!! 」
私はハイテンションで語ってみせる 。
するとくれがニヤッとして言った 。
「 はぁ 、もしかして恋じゃない?笑 」
「 は? 」
場違いな言葉に思わず、は?と反応してしまう 。
「 顔も姿も誰かもわからないし 、男子か女子かも分からないのに 、恋!?
頭おかしいんですか!?あー 、そういえば くれ よく冗談言いますもんね 」
私は焦ったように後づけする 。
本当何いってんだが 。
もし手紙の相手が嫌いな人だったらどうすんだって話 。
ないとは思うけどくれの可能性もあるわけじゃないですか 。
そう思いながら心の中で否定していると 、
「 いやぁ 、恋だと思うけどね? 姿顔は見えなくてもさ 、ドキドキしてるんでしょ?
嫌いな人かもとか女子かもしれないしとか言ってるけどどうせ 、男子でいい人が相手だと思ってるでしょ?
めもの顔見たら分かるよ 。『恋してます、乙女です 。』って顔に書いてあるもん 。 」
くれが真面目な口調、顔で言うんなから思わずしゅんと黙ってしまう 。
……っていうかなんですか、「恋してます、乙女です」って!?
たしかにくれとは付き合い長いですけど 、恋してます乙女ですってなんですか!?
「 まぁ 、それはふざけたけどさ 、笑 ほんとに 、恋だと思うけどね?
相手はこの学校にいるわけだし、毎日図書室に通ってるってことになるでしょ?
きっとめもの近くにいそうだけどなぁ 笑 まぁ 、応援してるよ?」
「 確かに … 図書室に毎日通ってくれてるから優しい人かなって思ってるんですけど … 」
はっきりしない声で言っていると 、くれがパッと近づいてきた 。
「 そういうとこじゃない? 」
くれはそれだけ言って 、私をじっと見つめてきた 。
…… 恋 、なのかな 。
ずっと顔も見えないんだし 、無意識にありえないなんて思ってたんだろうけど 。
「 まぁ 、たくさん悩みな?応援してるし 、また色々聞いてあげるから 」
悩む私を前に 、真剣にくれが言ってくれる 。
親友って頼もしい 。
今の段階だと本当に恋なのかもわからないし 、
顔も姿も分からないんだから 、それが分かったときに失望するかもしれないし 。
でも 、
これが恋だとしても 、手紙は絶対に絶やさない 。