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「嫌ああああああああッ!」
美咲は叫び声を上げると同時に、ベッドを蹴って飛び起きた。バッグに手を伸ばす時間すら惜しい。枕元にあったスマホと、剥き出しの財布だけを両手に掴み、狂ったように玄関へ走る。背後で「ドスウウゥン!」という、天井から肉塊が床へ落下する凄まじい音が響いた。
「待ってよ、美咲ちゃん! どこ行くの、美咲ちゃん!!」
聞いたこともない男の、裏返った耳障りな声が追ってくる。電子ロックのレバーを力任せに引き下げ、美咲はドアを押し開けた。夜の冷たい空気が肌を刺す。裸足のままアスファルトを蹴り、階段を駆け下りた。足の裏に小石が食い込み、激痛が走るが、振り返る余裕などない。
「アハハハハ! 待って、待ってよお!」
背後を盗み見ると、街灯の下、ボロ布のような服を着た痩せこけた男が、四足歩行に近い異常な姿勢で、猛スピードで階段を降りてくるのが見えた。人間とは思えない動きだった。美咲は必死に走り、大通り沿いにある24時間営業のコンビニの自動ドアへ滑り込んだ。
「助けて! ストーカーが! 警察を、呼んでください!!」
床に崩れ落ち、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら叫ぶ美咲に、驚いた店員がすぐに110番通報を入れる。男はコンビニのガラス越しに美咲をじっと睨みつけていたが、遠くからパトカーのサイレンが聞こえると、夜の闇へと消えていった。駆けつけた警察によって、美咲の部屋の天井裏が捜査された。そこから見つかったのは、ベニヤ板一枚を隔てた真上の空間に敷かれた薄い布団、何百枚もの美咲の盗撮写真、そして、床に向かって小さな穴が開けられた、アナログな「覗き穴」だった。電波式カメラが引っかからなかった訳だ。男はそこに何ヶ月も潜んでいたのだ。数ヶ月後。美咲は遠く離れた別の街へ引っ越し、厳重なセキュリティのマンションで暮らしていた。あの男はまだ捕まっていない。ある夜、午前2時。新しいスマホが、静かに震えた。見知らぬアカウントからのメッセージ。添付された写真を開くと、そこには今のマンションの防犯カメラを見上げながら、不敵に笑うあの男の顔が写っていた。
『新しいお家、見つけるの大変だったよ』
コメント
1件
ちょっと待ってマジで怖すぎるんだけど!!😭💦 天井裏に布団と盗撮写真って…あの男、何ヶ月も潜んでたってこと?!ベニヤ板一枚隔てた場所で寝起きしてたとか想像しただけで鳥肌立った…。しかも引っ越し先まで特定されて最後の『新しいお家見つけるの大変だったよ』の一文、本当にゾッとする…まだ捕まってないのも不安でしかない😱 続きどうなっちゃうの?!次話が待ちきれないよ〜!らるあると先生、引き続き怖い展開お願いします(震えながら応援)🔥