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「置田先生。警察の方たちもいるんで……。あまり言いたくないですけど……。用務員室に大量の血痕があって、壁中に人形の手足があったなんて……。松田さん(用務員のおじさん)はどこへ行ったのでしょう。あの松田さんのことだから、どこかへほっつき歩いているかも知れません。まさか、殺されているなんて、絶対考えたくはないですよね」


話の内容はともかく、声は真壁先生の声だ。


「…………」


しばらく、沈黙の後に、羽良野先生の声が聞こえて来た。


「村の方ではなくて、何故ここなんでしょう?」


「それは、解りません」


今度の声は校長先生だ。


「これじゃあ、一昔前と同じですが皆さん気をしっかり持ってください」


校長先生が咳払いした。




僕は一通り話を聞いていると、先生たちが用務員室へ向かったので、教室の反対側から足音をたてないように歩いて行った。

見つかるわけにはいかないから、ある程度急いで学校を抜け出さないと、そう思ってじりじりして廊下を歩いていると、いつの間にか1年3組の教室のドアが開いているのに気が付いた。

あれ? 確かに閉まっていると思ったのに。そういえば、ほとんどの教室のドアが開きっぱなしだ。

僕は興味が湧いて、ちょっとだけ教室内を覗いた。


「わ?!」


教壇の上に口を開閉している用務員のおじさんの顔があった。

首から下はない。

僕は心臓がバクバク鳴りだして、吐き気が緩やかに喉元まで漂ってきたけど。ぐっと抑えて、その首へと近づいた。

用務員のおじさんは目はしっかりと開いている。

口を開閉しているけれど、何も言わなかった。

その目は僕を見てはいない。

そう、視界に入っていないみたいだ。


「大丈夫?」


そう呼びかけても用務員のおじさんは、口を開閉しているだけで、視線もあらぬところを見ていた。

そうだ。この首を持って、警察の人のところへ行こう。

多分、ちょっと怒られるくらいで済むだろう。

僕は用務員のおじさんの首を持った。

それは想像以上に重かったが、ぐらつきながら両手で抱えて持ち上げた。

辺りを見回しても、他の体の部位は見当たらない。


そんなことより、早く持って行かないと、この人が死んでしまうかもしれない。


校舎の廊下を足早に靴音を立てて、歩いていると、前方にゴクリ。という何かを飲み込む音がした。

なんだか不気味な音だった。

白いスープと死者の街

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