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話は変わってビスケットタウンの話。
「ダニエラさんは、それだけ過酷な状況で、よく公爵になれましたね?」
「違うのよ。むしろ、逆なの!
結論から言うと現帝王の兄弟で公爵になったのは、あたしだけよ。
あたし以外の男兄弟は全員亡くなってるわ。
不自然でしょ。で、あたしは、現帝王から見たら、安全牌なのよ。意味わかるでしょ?」
「なるほど。怖いですね。」
「そうなのよ。あー見えて、現帝王は、ビビりなのよ。そのくせプライドが高いから、タチが悪いの。あ!男性器のことじゃないからね!」
わかっとるわい!
ちょいちょい入れてくるな!
「あとですね。気になったのが、この街には、奴隷がいないみたいですけど。」
「あ!それね!すごくない?実はね。1人もいないのよ!すごくない?」
なぜ、2回言う?
「はい、ビックリしました。」
「でもね。それを説明する前に、この国の奴隷制度について、話するわね。
ちなみに、ニコラスもナタリアも奴隷解放軍のメンバーだから、気にしなくていいからね!
この街には、この3人だけよ。昔は、もっと活発に動いてたんだけど、だいぶ有名になって来たんで、今は、資金調達が主な役割ね。
活動部隊は、各拠点に移してるのよ。」
「拠点はいくつあるんですか?」
「今は、三拠点ね。王国国境側に第一拠点、皇国国境側に第二拠点、そして、帝都の南に第三拠点よ。」
「なるほど。」
「それで、奴隷制度だけど、他の国の人は誤解しているみたいなんだけど、この国に奴隷を作る法律はないの!例えば、犯罪を犯した人が奴隷になることもないし、借金で奴隷になることもないのよ。」
「帝都には、たくさんいましたけど。」
「そうなの。奴隷の存在自体は、禁止してないの。ここがダブルスタンダードなのよね。
どういうことかと言うと、無理やり奴隷にすることは犯罪で捕まるわ。でも、同意があって奴隷になった場合は、認められるの。でも、普通、自分で同意するなんてあり得ないじゃない?だから、奴隷商人が、親から子供を買う場合のみね。人身売買よ。
奴隷商人から奴隷を買うことも、商売として認められてるわ。これも人身売買ね。
人をモノとして見てるのよ!だから、これが許容されてるの!ひどいもんだわ!
もう一つは、他国からの誘拐よ。これも子供ね。この場合は、無理矢理だから、犯罪なんだけど、他国の人間だから、訴えることができないの。ただし、肌の色が違うから、すぐバレてしまうのを防ぐために、裏でやり取りされているわ。もちろん、その奴隷の子も表には出ないようなところで、働かされてるの!
全部、奴隷商人が絡んでるわ。
だから、私たちの敵は、まず、奴隷商人ね。
普通の感覚じゃ、なろうと思わないけど、奴隷商人は、すごく儲かるのよ。
だから、奴隷も無くならないの。」
「なんか、難しいですけど、奴隷商人が人身売買と誘拐で奴隷を作っていると言うことですね。」
「そうよ。わかってるじゃない。」
「なんか、子供が犠牲になってるって悲しいですよね。」
「そう、それが、解放軍を作った理由よ。
王国や皇国からも抗議文は、来てるんだけど、帝国には、奴隷制度はないって突っぱねてるのよ。
それで、話を戻して、なぜ、この街には奴隷がいないか?ってことなんだけど。
昔は、この街も奴隷が大勢いたわ。で、逆に奴隷を誘拐していったの。そして、各拠点に送っていったの。少しずつね。
でも、また買うでしょ。でも、また誘拐する。でね。金額も金額なんで、そんなに何回も買えないでしょ。しかも、買っても、すぐにいなくなるんで、もう購買意欲がなくなるのよね。そして、この街での奴隷の需要がなくなったのよ。そうしてるうちに、奴隷商人たちの供給もストップしたってわけ。
奴隷が欲しい人たちは、街を出ていったけど、逆にそれを聞いて入ってくる人もいるのね。
今は、ここの街の住人は自由主義者しかいないのよ。あたしの誇りよ。」
「素敵です。理解しました。」
「ただ、やっぱり帝都からすると、この街は異常なのよ。今はまだあたしがアホだから、と思ってるんで、この街が誘拐の的にされてるということになってるけど、もう、バレるかもしれないわね。」
「じゃ、この先、どうするつもりなんですか?」
「そこなのよ。まだ決心がついてないのよ!
みんなの命がかかってるんだもの。負ける戦いは出来ないわ。
だから、今はまだ先の計画はないわ。」
「わかりました。
それじゃ、あと、行ってない2つの拠点に行って来ます。
レイラ!ごめんやけど、そこでも解呪をお願いしたい。もちろん、付きっきりでエナジーチャージするから。お願い!」
「承知★」
「おー、ユメくん!レイラちゃん!
本当にいい子たちね。もう一度、ハグしちゃう。」
それはいらん!けど、もう遅い。
少しでもダニエラさんに協力するため、さらにちょっと寄り道。王国や皇国も絡んでるみたいってのも理由の一つで、ほっとけないよね。
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