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教師「それでは杖を持って下さい。配られた半紙に杖を振って「浮遊せよ」です。さあ、始め!」
教師の号令と同時に、教室では「浮遊せよ!」と呪文の合唱が始まった。
私たち一年生の最初の授業は、一番簡単と言われている「物を浮遊させる魔法」を覚えることだ。
杖を必要としない「無杖魔法」という。
例えるなら、ほうきでの移動手段によく使われるものに似ているためだそうだ。
カゴメ「…浮遊せよ」
魔法書に書かれている通りに、杖に魔力を少量注ぎ、半紙に向かって一振りする。
すると魔法をかけられた半紙は、杖と糸で繋がれてるようにふわふわを宙に浮き始める。
教師「素晴らしい!初めてにしては上出来です! 」
私たちの魔法練習を見回っていた教師が、私の成功を褒めにきた。
他の生徒たちの注目の的になり、とても恥ずかしくなる。
カゴメ「あ…いえ、そんなこと…」
教師「皆さん、カゴメさんのように半紙をふんわり浮遊させるのが理想的です。あとは、空中で長時間停止させることができれば文句なしです」
阿形「すっごいねカゴメちゃん!先生に褒められるなんてさ!」
隈取「俺たち似組の中で最初に浮遊魔法を成功させるなんてな!俺も負けてらんねぇぜ!」
授業終了後、すぐに阿形くんと隈取くんが私の机の前に集まってきた。
カゴメ「…すぐできて当然だと思いますわ、あんな簡単な魔法」
隈取「なんだそりゃ、照れ隠しってやつか?笑」
カゴメ「そ、そんなわけ…!」
阿形「あはは笑、顔真っ赤だよー笑」
二人共、私の事を面白がって笑い始める。
こういうところが子供っぽいのだろう。
カゴメ「全く、もう!次の授業は外よね?早く準備しないと置いて行っちゃうわよ! 」
阿形「わーごめんって、待ってよー!」
隈取「おいおいほんの冗談だって」
そそくさと実技授業の準備をしに向かうように立ち上がると、二人は武器杖と着替えを掴んで慌てて付いてきた。
運動着に着替え運動場に集合すると、中央辺りで仁王立ちをする、筋肉質な男性教師が待っていた。
教師「ようこそ!期待の新入生諸君!」
はっきりとした声色で私たちを迎えてくれた熱血的な教師は、慣れた手付きで太陽や影の位置を確認する。
教師「よし!予定通りの時間だ!では、今回の授業、「基本攻撃魔法」を一つ覚えてもらおう!」
そう言うと私たちに背を向け、杖を指揮者のように大きく振った。
「突き立て!」と言う呪文と共に、目の前に次々と的が地面に突き刺さり、設置された。
生徒の驚く声を聞き、面白そうに笑いながら教師は振り返った。
教師「はっはっは!驚かせてすまない!この的に魔法を当てられたら合格だ!」
三メートル程的から離れるよう言われ、私たちは急ぎ足で的から離れた。
教師は全員移動をしたことを確認すると、武器杖を取り出し、的に向かって刺すように杖を振った。
教師「…打て!」
陽気で爽やかな印象から一変、鋭く真剣な声色で呪文を唱える。
同時に杖から不思議な光が放出し、流星のように的を貫いた。
武器型に変形すらしていないのに、的の中心が欠けてしまっていることから、相当な実力者だということがわかる。
教師「…よし!これが「基本攻撃魔法」だ!では、諸君もやってみてくれ!」