テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「あーあー、こちらアンプ警察特殊部隊」
無線から、あっきぃの平坦な声が響く。
「ついに犯人を追い詰めました」
あっきぃが、かすかに微笑んだ。
「…遊んであげようか」
その一言で、六人は一斉に動き出す。
――その夜、世間を騒がせていた強盗犯は、アンプ特殊警察の手によって完璧に制圧された。しかし、彼らが本当に追うべき「本物の悪夢」は、未だ闇の中に紛れたままである。
【――東都新聞 社会面より抜粋――】
『スマイルキラー、今夜も出現か。犠牲者はこれで24人目。』
【昨夜未明、またしても同一犯とみられる狙撃事件が発生した。警察の厳戒態勢をあざ笑うかのように、現場には一切の遺留品が残されていない。世間ではこの神出鬼没の犯人を「スマイルキラー」と呼び、恐怖に震えている。アンプ特殊警察部隊は「総力を挙げて捜査中」としているが、未だ有力な手がかりは掴めていない模様だ――。】
「あ〜……今日もつっかれたぁ!」
深夜の事務所。事件を解決して帰還したあっきぃが、キャスター付きのイスに深く腰掛け、天井を見上げて大きく伸びをした。
その視線の先、デスクで未解決事件の資料を睨みつけているぷりっつが、重いため息をつく。
「ほんま……最近、街の治安悪すぎよなぁ」
ぷりっつの視線の先には、ちぐさが広げている朝刊の文字――【スマイルキラー】の5文字が、不気味に躍っていた。
「ほんとに、コイツだけは手強いよなぁ……」
まぜ太がちぐさの肩越しに新聞を覗き込み、苦々しく眉をひそめる。
「あぁ。手掛かりなしの連続射殺事件、か。俺達がどれだけ全力を尽くしても、証拠ひとつ出てきやしない」
あっとが呆れたように肩を落とし、手元のペンをデスクに放り投げた。緊迫した空気が、じ
わじわと事務所を支配していく。
「うわぁ……怖いね。早く捕まるといいのに……」
張り詰めた空気を和らげるように、トレイを持ったけちゃが、いつも通りの優しい足取りで皆にお茶を配り始めた。
湯気と共に広がる、おっとりとした声と、いつもの穏やかな笑顔。
ポンコツでマイペースな彼だからこそ、場はいつもどこか落ち着いている。
「ありがとぉ〜、けちゃぁ!」
ちぐさがお茶を受け取り、飲んでいる。
きっと喉が乾いていたのだろう。
一方ぷりっつはデスクに突っ伏し、モゴモゴとなにかを呟いている。
けちゃが、首をかしげる。
「…皆、疲れてない? 大丈夫?」
「今日はもう、帰ろっか」
そう言って、けちゃはテキパキと帰る準備を始めた。
みんなは唖然としていたものの、我に返り、準備を進めた。
「じゃあみんな、また明日ね〜」
いつも通りのおっとりした笑顔で手を振り、けちゃは誰よりも早く事務所を後にした。
「あいつ、いつもマイペースやなぁ」
「ま、けちゃおのおかげで少し肩の力抜けたわ。俺たちも帰るか」
5人も上着を羽織り、事務所の電気を消して外へ向かう。
――しばらくして、静まり返った自室。
けちゃは、お気に入りのマグカップから立ち上る湯気をじっと見つめていた。
窓の外からは、遠くの街の喧騒がかすかに聞こえてくる。
さっき事務所でみんなが美味しそうにお茶を飲んでくれた顔を思い出し、ふふ、と喉の奥で小さく笑った。
机の上には、ちぐさから貰ったお揃いのノート。
けちゃはペンを取ると、その24ページ目に、新しくひとつの『星マーク』を丁寧に書き足した。
ぽつり、とおっとりしたハニーボイスが部屋に落ちる。
「みんなといるの、本当に楽しいなぁ」
窓を開けると、夜の冷たい風がピンクの髪を小さく揺らす。
けちゃは夜空を見上げ、いつもより少しだけ低い声で呟いた。
「……でも、これからもっと楽しく過ごせるんだろうな」
けちゃは、口元を袖で覆い隠した。
袖のしたでは、かすかな微笑みが漏れていた。
その時ー遠くの路地裏で、小さく火花が散ったような気がした。
コメント
1件
おお、1話からこれは…ゾクッときたわ。 最初は強盗制圧の特殊部隊ものかと思いきや、スマイルキラーっていう連続狙撃犯がちらついて、しかも最後のけちゃの「星マーク」と「これからもっと楽しく過ごせる」ってセリフで一気に色が変わった。優しそうな見た目でお茶配ってる裏で24人目って…やばい伏線の張り方。 続きめっちゃ気になる🔥
240
音夢〜nemu.〜
63
#初心者だからつまんないかも....
おでん🍢
42