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雨オルゴール
20
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ある人気バラエティ番組で、新企画が発表された。
『半年間、二人で企画を作り、人気No.1ペアを目指せ!』
「涼架、俺と組も!」
元貴が立ち上がると、すぐに若井も続いた。
「涼架、俺とだろ?」
二人が火花を散らす中、涼架は少し考えてから、てくてくと歩き出した。
「阿部ちゃん!」
「あ、涼ちゃん」
涼架が選んだのは阿部だった。
「一緒にやろ?」
「もちろん」
こうして二人のペアが決まった。
半年間、二人はさまざまな企画に挑戦した。
アスレチックでは、阿部が涼ちゃんを支え。
料理対決では、仲良くハイタッチ。
動物園では、
「涼ちゃんも可愛いですよ」
「えへへ」
なんて自然に褒め合う。
そして、お化け屋敷では――。
「阿部ちゃん……!」
怖さに耐えられなくなった涼ちゃんが、阿部の腕にぴったりくっついた。
「大丈夫ですよ。私がいますから」
そのまま最後まで腕を離さなかった二人に、司会者が叫ぶ。
「もう、お化け屋敷じゃなくてデートじゃん!」
放送後、SNSでは二人が大人気。
『阿部×涼、完全にバカップル』
『公式バカップル認定!』
そんな声が相次ぎ、二人は番組公認の「バカップル」と呼ばれるようになった。
その頃、控室で総集編を見ていた元貴と若井は無言だった。
「……無理」
「……限界」
「腕組んでた」
「毎週ね」
「阿部ちゃんって呼んでた」
「俺たちは?」
「元貴」
「若井」
「普通だ……」
二人の嫉妬は日に日に膨らんでいった。
そして帰宅後。
「ただいま〜! 今日も楽しかった!」
「阿部ちゃんがね――」
「……また阿部?」
元貴が涼架をぎゅっと抱きしめる。
「今日は俺の日」
若井も反対側から抱きつく。
「俺も」
「ちょっと、狭いよ〜!」
涼架は困ったように笑った。
「でも仕事だよ?」
「分かってる。でも嫉妬する」
「毎週全国放送でイチャイチャ見せられる身にもなって」
「イチャイチャしてないよ?」
「してる」
二人の即答に、涼架は思わず笑う。
そして二人の頭をぽんぽんしながら言った。
「ごめんね。でも、ちゃんと一番好きなのは二人だよ」
「……ずるい」
「怒れなくなる」
涼架は今度は自分から二人を抱きしめた。
「じゃあ、今度は三人で企画やろ?」
「三人なら誰も嫉妬しないでしょ?」
元貴と若井は顔を見合わせる。
「……それ、絶対やる」
「今度は『バカトリオ』って呼ばれるくらい仲良くしよう」
「ふふっ、いいね!」
三人の笑い声が部屋に響く。
――ただし、その横ではテレビから、
『番組公認!阿部×涼のバカップル名場面集!』
という声が流れていた。
元貴と若井は同時にテレビを見る。
「……やっぱり、ちょっと嫉妬する」
「ふふっ!」
涼架は笑いながら、二人の手をぎゅっと握った