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ご本人様とは全く関係ありません
ためていた連載の下書きを使い切りました。
やばいです。この後の展開、私にですら、
分かっておりません。どうしましょう……笑
Dream5 醒めても消えない夢
夢から醒めても、自分のなかに残るもの
ハッと目が醒めた。
長い長い夢をみていた気がする。
視界はぼんやりとしているが、
さっきまで見ていた月と桜の色と違い、
辺り一面白色で
覆い尽くされているのが分かる。
自分の腕につながっている管を見ると、
それは点滴だった。
……ぁ、ここ、病院か……?
消毒液のような匂いが
静かな部屋に満ちている。
ふいに、手が温かいことに気づいた。
自分の体温よりも、少し熱を帯びた温かさ。
ゆっくりと視線を落とすと、
白いシーツの上で、
誰かが俺の手を掴んでいた。
確かめるように指先を動かすと、
その手は力を込めた。
まるで、離れない、そう告げるように。
「……ぁ、お……?」
声を出すのも久しぶりな感覚がする。
喉を震わせてもかすれた声しか、出ない。
それでも、君の名前を呼んだ。
すると、
伏せられていた長いまつげが
ふるりと動き、
群青色の髪がわずかに揺れた。
ゆっくりと顔が上がり、
まだ眠そうな目が、俺を捉えた。
「……ないこ?起きたん……?」
信じられない、という色が
その低くて優しい声にも、
深海のような青い瞳にも滲んでいた。
俺は小さく息を吸い、
返事のかわりに重い腕を持ち上げ、
そっとまろの頬に触れた。
思うように動かない指先。
それでも確かに伝わる、まろの温もり。
逃げることもない。
消えることもない。
今、君と紡ぎ、君と創るためにある
この瞬間に存在している現実。
まろの頬を包むように手のひらを添えると、
まろは小さく息を呑んだ。
「……夢、やない……?」
その呟きが震えていて、
胸の奥がきゅっと締め付けられる。
「……うん」
喉に引っかかる声だけど、
ちゃんと、まろには届くように。
「俺、起きたよ」
まろとまた会えたのが嬉しくてふわりと笑う。
その瞬間、まろは崩れ落ちるように
泣いたんだ。
まろの涙が落ち着くまで、
どのぐらい時間が経ったか分からない。
たまたま俺の病室に見回りに来た
看護師さんが扉を開ける、その瞬間までは、
ずっと泣いていた。
そのまま看護師さんにに呼ばれて、
俺は検査室に運ばれた。
視界いっぱいに広がる真っ白な天井。
淡々と響く機械音と、
流れるように続く検査の説明。
それらをぼんやりと聞き流しながら、
胸のなかでは、
現実に戻ってきたという実感で
あふれていた。
「少し眩しいですよー」
「力抜いてくださいねー」
言われるがまま小さく頷きながらも、
意識の端では、
さっきまで感じていたまろの温もりが
まだ手のひらに残っていた。
ふと、検査室の外、廊下の向こう側で
聞き覚えのある声が重なって聞こえた。
「え、まだ終わってへんの?」
「しばらく時間かかるって、
看護師さんは言うとった」
「しばらくってどのぐらい!?
僕もう待てないんだけど。」
「いむくんもうちょい待とな?
心配なのは分かるけど。
りうちゃんは、無言で貧乏ゆすりするの
やめよな??怖いよ、今のお前??」
カーテン越しでも分かるほどの
騒がしさと気配が一気に近づいてくる。
「っあ!いむくん!?」
その声が聞こえた次の瞬間。
看護師さんたちの制止も追いつかないまま、
カーテンが勢いよく開いた。
「ないちゃん!!」
目を真っ赤にしたいむが
ほとんど飛び込むように駆け寄ってきた。
ここ病院、お前ら静かにしろ。
という言葉は久しぶりの再会で、
喉に詰まった。
「……生きてる……」
その後ろでは、
りうらがほっと息をつくように笑っていた。
言いたいことは山ほどある。
けれど、今は
「勝手に殺すな、ばか
まぁ、でも、ただいま」
それだけで十分だろう。
その言葉を聞いて、
少し離れた場所で静かにこちらを見守っていた
初兎ちゃんとあにきが、
「いつも通りやな」
と、安心したように笑った。
まろは
「ないこだけ、
1人先に死んでもらっちゃ困るわ」
と、りうらのおでこを軽く小突いた。
さてと。
この状況をどう収集しようか。
まろやりうら、初兎ちゃんとあにきは
何一つとして問題ない。
問題があるとすれば――
俺のベッドの横で
今にも泣き出しそうな顔のいむ。
明らかに検査の邪魔になっている。
頬をベシベシ叩いても、
アホ毛を引っ張っても、
動く気配が全くない。
どうすることもなくなって、
仕方なく看護師さんに目線を合わせた。
その看護師さんは少し困ったように
それでもどこか優しく苦笑いをして、
いむをそっと引き離していく。
そうしてようやく、
検査は何事もなかったかのように再開された。
検査が終わり、病室に戻る頃には、
窓の外はすっかり夕暮れ色になっていた。
カーテンの隙間から差し込む橙色が
白いシーツにゆっくりと影を落とす。
「……やっと、みんなで集まれたな」
4ヶ月ぶりや、とまろが息を吐き、
ベッド横にある椅子に腰を下ろした。
それを合図にしたように、
他のみんなもどこからか椅子を引き寄せ、
自然とベッドを囲む形になる。
4ヶ月。
改めてそう思うと、胸の奥が少しだけ痛んだ。
俺は、その間ずっと眠っていたのだ。
久しぶりの再会のはずなのに、
誰もすぐには言葉を発せなかった。
喜びと安堵、
それからまた全員で集合できた安心感が
大きいからだろうか。
「ねぇ、ないくんは」
1番最初に口を開いたのはりうらだった。
いつもより一段低く、慎重な声。
「……夢、見てた?」
瞬間、ガタッといむが立ち上がった。
「……うん」
少し間をおいてから俺は頷く。
「りうらといむも見てるって
夢の中でも言ってたもんね」
そう言うと、
いむは唇をギュッと噛み締め、
視線を落とした。
「ないちゃん、ごめん。
僕、離れないって言ったのに……」
突然の謝罪に、
俺は怒る気はさらさらになかった。
だから
「離れなかったら」
はっきりと、けれど責める気は一切込めずに
言葉を返した。
「いむと今、こうして話せてないわけでしょ?
だから、置いていってくれて正解」
ね?と小さく笑いながらいむを見る。
いむは一瞬きょとんと目を見開き、
ぐしゃっと顔を歪めた。
そして、こらえきれなかった感情が
溢れたみたい何度も、何度も大きく頷いた。
「……っ、うん……」
震える声に、いむをそっと撫でた。
「……申し訳ないんやけど」
その空気を割るように
初兎ちゃんがおもむろに口を開いた。
「夢って……なんの話……?」
その言葉に俺とりうら、いむは
顔を見合わせる。
あぁ、そっか。
この話をしていない人もいるんだ。と、
今更のように気づいた。
なぜ、
りうらやいむが消えたり。
なぜ、
季節感が急におかしくなったり。
そして、
どうして俺たちだけが、
同じ〝違和感〟を抱えた夢を見ていたのか。
それは4ヶ月前に遡る――