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その日はいつもと同じだった。
ロボットが周辺を確認し、危険がないかを調べる。子供はその後ろを歩く。
「お母さん今日はどこまで行くの?」
『少し遠くまで行く』
「じゃあさ、あそこも見れる?」
子供が指さしたのは、壊れた街の外れだった。建物が密集し、視界が悪い場所。ロボットは一瞬だけ迷う。
ーー危険度 中
ーー同行者あり
『近ずきすぎるな』
「はーい」
返事は軽かった。街に入ると、音が増えた。風で揺れる鉄、どこかで鳴る古い機械。子供は興味深そうに周りを見る。
「ねぇお母さん、人がいたらどんな声だったのかな」
『記録上、人間の声はーー』
その時、警告音が鳴った。
ーー索敵反応
ーー複数
ロボットは即座に子供を背中にかばう。
『動くな』
だがその瞬間
ドンッッ
強い衝撃が来た。
ロボットはすぐに子供を呼ぼうとする。
だがーー
そこに、子供はいなかった。
『対象確認』
子供の姿がない。代わりに黒い装甲の、戦闘用ロボット達がいた。
その一体が、腕で何かを抱えている。
子供だった。
「お母さん!!」
叫ぶ声がはっきりと聞こえた。
ロボットは即座に銃を構える。
『対象を離せ』
返答はない。
敵ロボットは、子供を拘束したまま後退する。
『離せ!!』
ロボットが前に出ようとした瞬間、強い電磁ノイズが走った。
ーー行動制限
ーー一時停止
足が、動かない。
子供は必死に手を伸ばしていた。
「お母さん!!お母さん!!!」
その声がどんどん遠ざかる。
ロボットは立ち尽くすしかなかった。
やがて敵影は消えた。
静かになった街で、ロボットだけが残される。
ーー保護対象、喪失
ーー任務、失敗
初めてその判断が下された。
ロボットはゆっくりと拳を握る。
『…..待て…』
誰に向けた言葉なのか、自分でも分からない。だが次の行動は決まっていた。
ーー略奪
ーー対象を、取り戻す。
ロボットはまた動けるようになり、街を歩き始めた。