テラーノベル
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テレビの前、ソファに座ってる〇〇はクッションを抱えて、真剣な顔で画面を見てた。音楽番組。スタジオの照明がきらきらして、知らないバンドが演奏してる。
「……この曲、いい」
ぽつりと〇〇が言った、その一言。
その瞬間。
部屋の空気が、ほんの一拍だけ止まった。
キッチンで水を飲んでたもとが、グラスを置く音がやけに大きくなる。
床に座ってスマホをいじってたひろは、ちらっと視線だけテレビに向ける。
りょかはキーボードの前に座ったまま、何も言わずに鍵盤から手を離した。
……誰も、すぐには何も言わない。
でも、3人とも同じことを考えてた。
(それ、俺らの前で言う?)
画面の中では、ボーカルがスポットライトを浴びて歌ってる。
〇〇は身を乗り出して、目を輝かせてた。
「歌声、すごいなあ……」
「……へえ」
もとの声が、やけに低い。
〇〇は振り返る。 「なに?」
「別に」 もとはソファの背もたれに肘をかけて、そっぽを向く。 「普通じゃない?」
ひろがスマホをぎゅっと抱きしめながら、ぼそっと言う。 「……ああいうのが好きなんだ」
「え?」 〇〇はきょとん。
りょかは無言のまま立ち上がって、〇〇の横に座る。
「ねえ〇〇」 柔らかい声だけど、目はじっとテレビを見てる。 「そのバンド、そんなにいい?」
「うん、いいと思うよ?」 何も疑わず答える〇〇。
――その瞬間。
「……はあ」
ひろが盛大にため息をついた。
「ちょ、なに?」 〇〇が慌てる。
もとは腕を組んで、完全に不機嫌。 「俺らが出てない番組、そんな真剣に見なくてよくない?」
「え!? なんで!?」
「なんでって……」 ひろが目を逸らす。 「……別に」
りょかは〇〇の肩に頭を乗せて、静かに言う。 「俺たちの前で、他のバンド褒めるの、ちょっと心にくる」
〇〇は一瞬固まってから、ゆっくり理解していく。
「……え、もしかして」 「嫉妬……してる?」
「してない」 もと即答。
「してるでしょ」 〇〇が即ツッコミ。
りょかは否定も肯定もしないまま、〇〇の指をそっと絡める。 「だってさ、〇〇が楽しそうに見てると……」 「取られそうで、嫌なんだよ」
その言葉に、〇〇の胸がきゅっとなる。
「取られないよ」 〇〇は笑って言う。 「だって、私が好きなのは——」
言い終わる前に、もとが〇〇の顎に指をかけて、ぐっと距離を詰める。
「……最後まで言わないで」 低い声。 「分かってるけど、聞きたくない」
ひろは反対側から、〇〇の手首を優しく掴む。 「〇〇が他の音楽見てるだけで、こんなになるの、正直ダサいって思うけどさ」
「けどさ?」 〇〇が聞くと、
「俺たちだけ見てて欲しい」
りょかは〇〇の耳元で囁く。 「〇〇が拍手する場所は、俺たちのステージだけでいい」
テレビでは曲が終わって、歓声が上がってる。
でも〇〇の世界は、もうテレビじゃない。
3人に囲まれて、身動きが取れない。
「ね、番組変えよ」 もとがリモコンを取る。
「えーまだ……」
「ダメ」 3人同時。
画面が暗転して、部屋が静かになる。
その静けさの中で、ひろがぽつり。 「……俺たちの曲、聴く?」
りょかはもうキーボードに向かってる。 「今なら、〇〇専用ライブ」
もとは〇〇を引き寄せて、膝の上に座らせる。 「最前列な」
〇〇は吹き出して笑う。 「なにそれ、可愛いじゃん」
「可愛くない」 もとがむっとする。 「本気だから」
音が鳴る。
知ってるメロディ。
大好きな声。
〇〇は自然と目を閉じて、3人の音楽に包まれる。
曲が終わったあと、〇〇は小さく拍手して言った。 「やっぱり、これが一番好き」
その一言で。
もとが満足そうに笑って、〇〇の額にキス。 ひろは照れ隠しに頭を撫でて、 りょかは安心したみたいに〇〇を抱き寄せる。
「……他のバンド見てもいいけどさ」 ひろが言う。
「嫉妬するのは、許して」 りょかが続ける。
もとは耳元で、低く囁く。 「〇〇が好きなの、俺たちだけでいい」
テレビはもう消えたまま。
でも、音楽はちゃんとここにある。
〇〇の居場所も、
3人の視線も、
全部、同じ場所に集まってた。
―――
よいしょはいよいよい
今日はね大大大っ嫌いな彼氏を振ったよ!!!
あ、私に彼氏いたんだーだって!?そんな私に彼氏のひとりやふたりいませんよ!!(ちょっと何言ってるか分かんない)もうフリーだよ!みんな!うちの事奪い合って!!(?)
コメント
8件
うわこれはおいらが取るしかねぇな!!
彼氏いなくなったの?! チャンス✨